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2023-12-27 12:06:00

飲食店が2024年に注目する街&グルメトレンドを調査! キーワードは「再開発」「ノンアル」

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画像素材:PIXTA

新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、アフターコロナの意識が明確になった2023年も残りあとわずか。2024年は何がトレンドになると飲食店経営者は見ているのだろうか。今回は、弊社が実施したアンケート調査の結果から、2024年に注目する「街」と「食」について紹介する。

【注目記事】副業をする理由1位は「収入口を増やすため」。飲食店経営におけるオーナーの本音を調査

■調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:279名
調査期間:2023年11月27日~2023年12月3日
調査方法:インターネット調査

■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち67.7%が1店舗以内の運営店舗。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は58.8%(首都圏の飲食店の割合は75.6%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される。

画像素材:PIXTA

2024年に飲食店が注目したい街1位は「渋谷」

まず飲食店経営者に、2023年にグルメ雑誌等で取り上げられた東京23区の18の街(※下記表を参照)に「その他」を加えた候補から、飲食店として2024年に最も注目している街を聞いたところ、1位は「渋谷」(11.8%)となった。渋谷駅周辺は「100年に1度」ともいわれる再開発が行われており、11月には「渋谷サクラステージ」が開業、2024年には複合施設「渋谷アクシュ」がオープンする予定だ。選定理由には「トレンドが集まる街だから」「駅前の再開発が進み街に活気があるから」「インバウンドや若者が集まる街だから」などが挙げられており、再開発への注目度の高さが明らかとなった。

2位は「麻布十番・六本木」(11.5%)。「麻布台ヒルズがオープンしたから」「店舗の入れ替わりが激しく、実力店が軒を連ねている」「インバウンドと高所得者の両方を上手く取り入れていける場所だから」といった理由が挙げられており、こちらも麻布台ヒルズを中心とした再開発が注目されている。

3位は「銀座・有楽町」で、「インバウンドが多いから」「日本で最高峰の立地だから」「新しい発想と技術の料理人が集まりそう」といった選定理由が挙げられた。5類移行後にインバウンド需要が増えたこともあり、2024年も国内外から人が集まる場所として注目される。

なお、4位は「東京・日本橋」(10.4%)、5位は「浅草・押上」(5.7%)。上位5位までのうち、「渋谷」「麻布十番・六本木」「東京・日本橋」は再開発が進んでいる街、「銀座・有楽町」「浅草・押上」は商業施設や観光地がある定番の街という結果となった。

飲食店リサーチ「2024年に注目の街・食トレンドについて」より

【注目記事】卓上サワーの仕掛け人が語る「2023年の居酒屋トレンド」。エンタメ性がヒットの鍵に?

外食トレンドのキーワードは「低・ノンアルコール」「コミュニケーション重視」

2024年に流行りそうな外食トレンド(メニュー、業態、コンセプトなど)については、さまざまな意見が寄せられた。なかでも「低・ノンアルコール」「コミュニケーション重視」といった点がキーワードといえるだろう。

2023年も低アルコール・ノンアルコール商品が多数発売され、健康志向の高まりからベジタリアンやヴィーガン対応の店も注目されたが、2024年も引き続き需要があると見られている。また、コロナ5類以降は改めてオフラインでのコミュニケーションが見直されたこともあり、飲食と人、モノ、コトを組み合わせた体験型の飲食店にも注目するという声が複数あった。

飲食店経営者に、回答したものが流行ると考えた理由を聞いたところ、「店舗視察をする中で感じたから」という回答が圧倒的だった。「SNSで見かけるから」という回答も多く、飲食店経営者は実際に店舗を視察し、SNSやメディアなどからトレンドをチェックしていることがわかる。

飲食店リサーチ「2024年に注目の街・食トレンドについて」より

2024年はインバウンドを含む、外食需要のさらなる高まりが期待される。動き続ける街やトレンドに注目しつつ、自店の経営に活かしていってほしい。

飲食店が2024年に注目する街&グルメトレンドを調査! キーワードは「再開発」「ノンアル」 | 飲食店ドットコム ジャーナル (inshokuten.com)

 


2023-12-27 12:04:00

中国、コーヒーチェーン店舗数が米国を抜いて世界最多に luckinとCottiが急拡大

世界のコーヒー市場を調査・分析する英ワールド・コーヒー・ポータルのリポートによると、コーヒーチェーンが展開する店舗の数で、中国が米国を抜いて世界最大の市場となったことが分かった。過去20年間の調査では、米国のコーヒーチェーン店舗数が一貫して世界最多となっていた。

中国では過去1年間で、コーヒーチェーン店舗数が58%増加して4万9691店となり、米国の4万62店を1万店近く上回った。とくに、瑞幸咖啡(luckin coffee)は5059店舗の純増、庫迪咖啡(Cotti Coffee)は6004店舗の純増と急速に店舗数を伸ばし、中国のコーヒーチェーン店舗数の増加に大きく貢献した。スターバックスは785店舗の純増にとどまった。

中国のなかでも、上海は世界最多のカフェがある都市として知られる。生活関連サービス大手の美団(Meituan)などがまとめた「2023年中国都市コーヒー発展リポート」によると、2023年5月時点で上海のカフェは世界最多の8530店舗で、ニューヨークやロンドン、東京などを大きく上回った。

(36Kr Japan編集部)

中国、コーヒーチェーン店舗数が米国を抜いて世界最多に luckinとCottiが急拡大 | 36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

 


2023-12-27 12:03:00

中国各地で余剰食品を無償・割引販売で提供 フードロス解消へ

中国北京市朝陽区にあるケンタッキーフライドチキン(KFC)藍橋店の入り口に、縦型の冷蔵庫が置かれている。KFCが設置したフードステーションで、地域の住民や配達員、清掃作業員がやって来て、冷蔵庫から包装された食品を持っていく。
 
中国ではここ数年、食品ロスを根本から解決し環境汚染を減らすため、各地でフードステーションや「剩菜盲盒」(売れ残った食品の福袋・ブラインドボックス)などが各地に登場している。これらは政府や飲食企業、公益団体が音頭を取り、品質保持期限内の余剰在庫を特別価格で販売したり、公共福祉の観点から無償配布したりする新しい消費モデルだ。
 
KFCは2020年にフードステーションプロジェクトを立ち上げ、一部店舗で余剰食品(品質保持期限が近く、通常商品として販売できない食品)を必要な市民に無償で配布している。藍橋店のマネージャーは「売れ残った食品があると、翌日の午前と午後の2回に分けて出している。ほとんどその日のうちに引き取られていく」と紹介した。同市東城区にあるKFC珠市口店で、以前余剰食品を受け取ったことがあるという若者の趙さんは「フードロス問題を解決するための良い方法だ。普段は仕事時間が不規則で、食事を食べ損なうことが多いが、フードステーションができたおかげで、仕事終わりに食品をもらって帰り、家で温めて食べられるようになったのでとても便利だ」と話した。
 
今年に入って広東省や福建省、江蘇省などの地方政府部門が企業と協同でフードステーションを相次いで設置している。広東省深圳市福田区では10カ所の街道に設置され、利用者は延べ6万1千人を超えた。
 
フードステーションの他にも「ブラインドボックス経済」の流行が余剰食品の新たな行き先を生み出している。多くのインターネット企業が飲食企業と協力し、オンラインと対面式のハイブリッド形式で価格面での優位性を築きながら余剰食品を「ブラインドボックス化」して販売を加速させている。この販売形式は現在、北京市や上海市、江蘇省南京市などで静かなブームとなっており、「アラームをセットしておかないと、もたもたしていると買えない」と語るネットユーザーさえいる。
 
湖南省長沙市に住む26歳の女性、孫さんは「余剰食品ブラインドボックス」のリピーターで、「最初は12.9元(1元=約20円)でパンを2つ買った。朝食を安く済ませられるので、よく利用するようになった。ブラインドボックスの面白さは何が手に入るか開けるまでわからないところで、とても斬新だ」と語る。
 
北京市弁護士協会消費者権益委員会の饒偉副主任は「余剰食品ブラインドボックス」について、取引が成立しなかった食品に再販の可能性をもたらし、販売業者の運営コストを下げ、消費者がコストパフォーマンスの高い食品を購入できるようにすると同時に、フードロスの削減にもつながると指摘した。中国情報協会の朱克力常務理事は、食品ロス削減と環境保護は現代社会の重要なテーマで、飲食業界は監督管理や評価を強化して、環境保護が真の成果を生むよう引き続き努力しなければならないと述べた。また、一般消費者への教育や働きかけを強化し、環境保護に対する意識や参加を高め、飲食業界のグリーン(環境配慮型)な発展を共同で推進する必要があるとした。(新華社北京)

中国各地で余剰食品を無償・割引販売で提供 フードロス解消へ | 36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

 


2023-12-23 14:44:00

千葉市/ドローン宅配構想の最終課題「ラストマイル配送」実証

2023年12月20日/IT・機器

千葉市は12月20日、都市部でのドローン等を活用した宅配サービスの実証実験を、同市美浜区若葉で実施した。

<ドローンポートを介したドローンと自動配送ロボットの連携>

<マンション内のセキュリティを通過する配送ロボット(千葉市提供)>
20231220chiba5 520x337 - 千葉市/ドローン宅配構想の最終課題「ラストマイル配送」実証

<玄関前でロボットから荷物を受け取る住人(千葉市提供)>
20231220chiba6 520x313 - 千葉市/ドローン宅配構想の最終課題「ラストマイル配送」実証

実証実験は、ドローン運行事業を手がけるダイヤサービスを実施主体とした共同企業体(SBS即配サポート、日本調剤、三井不動産レジデンシャルサービス、ブルーイノベーション、千葉市)が、国土交通省の実証事業「無人航空機等を活用したラストワンマイル配送実証事業」の採択を受けて実施したもの。

千葉市美浜区にある若葉3丁目公園内をドローンが手動操作で数百m飛行し、マンション付近に設置したドローンポートに着陸。ドローンポートを介して、医薬品を想定した荷物を地上配送ロボットへ受け渡し、高層マンション個宅の玄関前まで配送する一連の過程を実証した。

当初、ドローンの制御は千葉県船橋市にあるSBS即配サポートの倉庫から遠隔で行う計画だったが、通信トラブルにより急遽、現地のオペレーターによる手動操作へと変更。ドローンポートへの着陸のみ自動操縦で行ったことで、同実証の要であるドローンと自動配送ロボットの連携に関しては無事実証することができた。

<千葉市ドローン宅配構想のルートと、これまでの実証実験概要>
20231220chiba4 520x289 - 千葉市/ドローン宅配構想の最終課題「ラストマイル配送」実証

千葉市は、ドローンや自動走行ロボットの国家戦略特区に指定されており、東京湾臨海部の物流倉庫から幕張新都心まで東京湾上空飛行を行い、海上から花見川を遡上し、若葉住宅地区のマンションへ宅配を行う「千葉市ドローン宅配構想」を掲げ、2016年から計9回にわたる実証実験を行ってきた。

前回(2022年12月)の実験までに、飛行レベル3(無人地帯での目視外飛行)での運航管理システムによる一対多運航を実証しており、10回目となった今回の実証実験でラストワンマイル最後の課題をクリアしたことで、ドローン宅配構想での一連の動きを全て実証することができた。

<神谷 俊一 千葉市長>
20231220chiba 520x347 - 千葉市/ドローン宅配構想の最終課題「ラストマイル配送」実証

実証実験終了後、現地を視察に訪れていた千葉市の神谷 俊一市長は、「ドローン宅配構想では2016年以降の実証実験で飛行ルートについては検証を終えており、今回、最後の検証要素だったラストワンマイルの配送を実証することができた。最後の課題を実証できたことで、市街地でのドローン配送がまた一歩実現へと近づいた」と実証実験への感想を述べた。

その上で、「今後はレベル4で都市部をどう飛行していくかや、ビジネス化に向けた収益化モデルをどのように組み立てていくかなどを検討し、都市部でのドローン配送の社会実装がより早期に実現するよう、事業者によるドローン配送のサービス化に向けた取り組みを最大限支援していきたい」と語った。

千葉市/ドローン宅配構想の最終課題「ラストマイル配送」実証 ─ 物流ニュースのLNEWS (lnews.jp)

 


2023-12-23 14:41:00

生野菜を食べない中国で、なぜ「サラダ」は定着できたのか

フリーライター:牧野武文

「食生活」というのはほとんどの国において、多かれ少なかれ海外の食文化の影響を受けながら変化していくものだ。今や世界第2位の経済大国である中国においてもそれは同様で、とくに大きな経済成長を遂げたこの20年に食生活が目まぐるしく変わった。ただ、その変化の過程には、高級化→中食化→内食化→中華料理化と進んでいく、中国ならではの”一定の法則”がある。

サントリーの烏龍茶が中国での下馬評を覆した理由

中国の盒馬鮮生(フーマ)
中国も他国の食文化が多く流入するが、その進化の過程は独特だ

 1995年、サントリーが中国でペットボトル飲料の「烏龍茶」を発売したとき、多くの中国人は「失敗するだろう」とみていたという。なぜなら、当時の中国にはお茶(とくに中国茶)を冷たくして飲む習慣がなかったからだ。

 ところが実際に発売されると、若者が飛びついた。サントリーが中国では「無糖」「微糖」「加糖」という3種類を展開したことで、若者は清涼飲料として受け入れたのだ。これをきっかけに中国でも冷たい中国茶を飲む習慣が広がり、今では「タピオカミルクティー」など、若者はむしろ冷たいお茶を好んで飲むようになっている。

 このように中国にも欧米や日本、中東、東南アジアの食文化が流入しているが、その定着プロセスには一定の法則性がある。そして、そのプロセスの要所要所で、その食文化をより豊かなものにする食材や調味料を提供できた飲食店や企業が「定番」として定着するのだ。では、その法則性とはどのようなものだろうか。サラダを例にとって解説していこう。

海外発の「高級料理」として流入したサラダ

 そもそも中国の伝統的な食文化の中では、「冷たいもの」と「生もの」を食べる習慣はなかった。「冷たい食品は体を冷やし、健康を害する」という古来からの教えがあり、また、公衆衛生が成熟していなかった時代における食中毒を防ぐための生活上の知恵でもあったと思われる。

 そうした背景から、中国では加熱されていない・温かい状態で食べられない食品は「食事」として認識されづらい時代が長かった。冷たいものだけでなく常温のものについても同様で、たとえば今でもパンは「間食」としてのイメージが強い。

 当然のことながら、「サラダ」も一食のメニューにはなり得なかった。中華料理を思い浮かべればわかるとおり、基本的に野菜は熱を通して食べるのが常識だったからだ。

 しかし昨今の中国では、サラダは中国の食文化において一定の地位を得るようになっている。そこに至るまでには、前述の”法則”どおりのプロセスを踏んでいるのだ。順を追って説明していこう。

①海外の”高級文化”として流入

 実は上海では、サラダは料理として古くから知られていた。租界に住む外国人たちが毎日のように食べていたからだ。しかし、ごく一部の中国人を除いて、サラダ文化が租界外の人間に浸透することはなかった。

 そうした状況に変化を及ぼしたのが、1990年の「ピザハット」の進出だ。中国では宅配主体の日本とは異なり、「ピザレストラン」として展開を始め、そこでのメニューの1つに「サラダバー」があった。ただし、夕食で20元、朝食であれば10元以下が相場だった当時、ピザハットの客単価は70元から80元、サラダバーは25元と値が張った。そのため中国においてピザハットは誕生日やデートで行くような場所となり、必然的にサラダそのものも「高級で海外文化の香りがするメニュー」として、静かに認知が広がっていくことになったのである。

②健康効果が注目される

 医食同源の国である中国では特定の食品が普及するうえで、「健康効果」があることはほぼ必須になる。そのため2010年代になると、サラダは「減肥(ダイエット)」に励む若い女性から、幅広い年齢層へと徐々に広がっていくようになる。

 減肥薬(やせ薬)の流行など、過度なダイエットによる弊害が知られるようになり、次第に「減脂」「減糖」といった合理的な健康食として、またビタミンなどの栄養素を多分に含むメニューとして、サラダの摂取が拡大していくようになったためだ。同時に、ドレッシングも「ノンオイル」が注目されるようになっていった。

001 サラダ関連のキーワードに関するSNSの分析。2020年のコロナ禍に入り、「餐庁」(レストラン)の順位が下がり、「減脂」(低脂肪)の順位が上がっていることがわかる。コロナ禍で内食化が加速をした。游仁信息科技(https://www.yo-ren.com)提供データ。
サラダ関連のキーワードに関するSNSの分析。2020年のコロナ禍に入り、「餐庁」(レストラン)の順位が下がり、「減脂」(低脂肪)の順位が上がっていることがわかる。コロナ禍で内食化が加速をした。游仁信息科技(https://www.yo-ren.com)提供データ。
SNS「小紅書」(RED)のキーワード分析。円が大きいほどキーワードの出現回数が多く、接続線の数字が関連の強さを表している。右の黄色いゾーンでは「餐庁」と「約会」(デート)、「探店」(レストラン巡り)のリンクが強く、外食のサラダは洗練されたイメージが強い。一方、左下の緑色ゾーンで大きいのが「沙拉」(サラダ)と「減肥」(ダイエット)のリンクが強く、「沙拉汁」(ドレッシング)が大きな関連要素になっている。また、中華風サラダ料理「大拌菜」とサラダを「丘比」(キューピー)が仲介している。サラダのバラエティを広げる上で、ドレッシングの多様さが大きな働きをしていることがわかる。游仁信息科技提供データ。
SNS「小紅書」(RED)のキーワード分析。円が大きいほどキーワードの出現回数が多く、接続線の数字が関連の強さを表している。右の黄色いゾーンでは「餐庁」と「約会」(デート)、「探店」(レストラン巡り)のリンクが強く、外食のサラダは洗練されたイメージが強い。一方、左下の緑色ゾーンで大きいのが「沙拉」(サラダ)と「減肥」(ダイエット)のリンクが強く、「沙拉汁」(ドレッシング)が大きな関連要素になっている。また、中華風サラダ料理「大拌菜」とサラダを「丘比」(キューピー)が仲介している。サラダのバラエティを広げる上で、ドレッシングの多様さが大きな働きをしていることがわかる。游仁信息科技提供データ。

 

フードデリバリーの勃興が中食化、そして内食化を促す

③デリバリーによる中食化

 それでも、サラダは「飲食店で食べるもの」という中国独特の意識は残っていた。そこに変革を起こしたのが、2016年に創業したアリババ系の新小売スーパー「フーマフレッシュ」をはじめとするデリバリー、クイックコマースの勃興による、「サラダの中食化」である。

 中国でも温度管理が徹底された物流網、配送体制が確立されたため、新鮮なサラダを自宅で食べられるようになった。自宅で食べる”ちょっとおしゃれなメニュー”、ホームパーティーメニュー、あるいは健康的な食事メニューとして、食卓にも徐々にサラダが登場するようになっていった。

 

④内食化

 中食化に至ればそのまま内食メニューとして定着するのは自然な流れだが、中国の場合、コロナ禍がこれを加速させた。外出自粛が迫られた中で健康に対する関心がより高まり、自分で食材を工夫してサラダをつくる人が増加したのだ。

 この内食化の流れの中でポイントになったのが、サラダの味を決めるドレッシングだ。多種類のドレッシングが発売されたことで、サラダがサイドメニューから朝食のメーンメニューに格上げされていった。さらに、野菜だけではボリュームが足りないため、鶏肉、チーズ、ローストビーフなどの食べ応えのある食材もトッピングとして使われるようになった。

 また、前述の新小売スーパーなどでは、このようなサラダ食材のセット販売も行われ、パックを開けて食器に移し、好きなドレッシングをかけるだけという調理の簡便さもサラダの普及を促した。

フーマフレッシュのアプリ上で表示されているサラダのメニュー
新小売スーパー「フーマフレッシュ」のサラダメニュー。ほぼ人気順に並んでいる。さまざまな食材がパッケージされていて、ドレッシングも付属している。配達エリア内であれば注文から30分で宅配してもらえる

独自改良を加えて「中華料理化」に至る

⑤中華料理化

 そして、最後に起こるのが「中華料理化」だ。中華料理の世界は広大で、どのような外国の料理でも、それに類似あるいは延長線上に位置づけられるような中華料理が存在していることが少なくない。

 サラダについても、「涼拌菜(リャンバンツァイ)」という中華メニューに親和性があった。これは鶏肉や中華ハム、キクラゲ、春雨、幅広麺などを一度煮た野菜と合わせてつくる料理で、夏バテしたときなどに食欲を回復するための料理として知られている。味付けはもちろん中華醤ベースになる。

 近年はこの涼拌菜とサラダが融合して、西洋料理とも中華料理とも言えない独特の”新中国料理”となり、家庭に定着している。そのため、中華風のサラダドレッシングも販売され、よく売れるようになった。また、紫芋や麺など炭水化物の多い食材とも合わせられるようになり、サイドメニューから完全なるメーンメニューとして成立しつつある。

 中国の食文化は、四千年の歴史の中で、大きな変革期を迎えている。海外から常に新しい食文化が流入し、豊かになった中国人たちはそれを楽しんでいる。しかし、中華料理文化の偉大な点は、日本が海外の食文化を受け入れたうえで独自改良を加えて“洋食”として昇華させたように、最終的に”中華料理”のメニューとして取り込めるように改良が加えられるという点だ。

 外から入ってきた食文化は、一定の法則に従って中国の家庭に定着をしていく。次のステップにシフトさせる働きをする飲食店、食品関連企業が新たな定番ブランドとして定着する傾向がある。

外から入ってきた食文化は、一定の法則に従って中国の家庭に定着していく。次のステップにシフトさせる働きをする飲食店、食品関連企業が新たな定番ブランドとして定着する傾向がある。

 今回はサラダを例にとったが、ほかの料理メニューもおよそ同じようなプロセスで消費市場に定着する傾向が強い。そして”次のプロセス”に移行する際に、そこでの変化を機敏にとらえ、求められる食材やメニューを提供できたプレーヤーが、”定番ブランド”の座を射止めることができるのだ。

 その意味で、話は冒頭に戻るが、サントリーの烏龍茶の中国での成功というのは、とても示唆に富む事例なのである。

 生野菜を食べない中国で、なぜ「サラダ」は定着できたのか _小売・流通業界 ニュースサイト【ダイヤモンド・チェーンストアオンライン】 (diamond-rm.net)

 


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