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2021-07-31 22:30:00

連載・外食トレンド コロナ禍で生まれた新・軽食ジャンル「0.7食」とは

2021/07/28 05:54 
有木真理(リクルート『ホットペッパーグルメ外食総研』上席研究員)

コロナ禍における
食生活変化の実態

 新型コロナウイルス(コロナ)の影響が長引くなか、人々の生活スタイルが一変してしまったことはみなさんもご存じのとおりである。 そうしたなか人々の「食」にも変化はあったのだろうか? ホットペッパーグルメ外食総研は調査によりその実態に迫った。

 最初に調査したのは「コロナ太り」についてだ。 「自粛生活やリモートワークで、通勤などの日常的な活動量と消費カロリーが減り、太った人が増えたのではないか」という仮説を基に調査を行った。

 結果、コロナ禍において「体型の変化があった」人は女性34.6%、男性27.2%だった。 その内訳を見ると、「太った」と回答した女性は24.5%、男性19.1%、「痩せた」と答えた女性は10.1%、男性8.1%で、「コロナ太り」をした人だけでなく、痩せた人も男女ともに一定数いることがわかった。 これは、日常的なカロリー消費が減った人もいる一方、自粛生活で自分の体と向き合う時間ができ、ワークアウトを日常的に取り入れたり、食生活を気遣うようになったりした人もいたのだと推測できる。 コロナ禍の体型変化についてはライフスタイル全般が影響していると考えられる。

 次に、コロナ禍が食生活に与えた影響について調査を実施した。 すると、食事回数または食事量に変化があったという人が約半数いることがわかった。 そこで「1日の食事回数」と「1回当たりの食事量」の増減を調査し、図のようにマトリクス化した。 変化のパターンで最も多かったのは「食事回数・量ともに減った」で15.9%だった。 ここにもライフスタイルの変化が影響していそうだ。

 図「1日の食事回数」と「1回当たりの食事量」の増減を調査結果のマトリクス

図「1日の食事回数」と「1回当たりの食事量」の増減を調査した結果のマトリクス

3食のうち1回は
「おやつ以上食事未満」に!?

「食事」はライフスタイルそのものと考えられる。 「1日3食」は、コロナ前のライフスタイルに合った食生活だったが、当然普遍的なものではない。 諸説あるが、もともと日本人は朝と昼とを兼ねた食事1回と、明るいうちに済ませる夕食の「1日2食」だったという。 しかし、夜遅くまで活動する習慣がついてからは朝食、昼食、夕食の3食になったと言われる。 このように、ライフスタイルの変化は食生活の変化に大きな影響をもたらしているようだ

リモートワーク生活では、昼食として「おやつ以上食事未満」のような軽食をとる傾向が増えるとも考えられる
リモートワーク生活では、昼食として「おやつ以上食事未満」のような軽食をとる傾向が増えるとも考えられる

 これをコロナ禍での生活に当てはめると、1日の過ごし方も大きく変わった結果、食生活にも大きな変化があったと考えられる。たとえば、自宅でのリモートワークでは通勤など移動を伴わないため、朝食後あまりおなかが減らない。となると、昼食として「おやつ以上食事未満」のような軽食をとる傾向が増えるのではないか?という仮説が立つ。

 

 そこで、「朝昼晩の食事量が多いと感じ、3食のうち1回はおやつ以上食事未満の軽食にしたいと感じますか?」という質問を投げかけたところ、約16%が「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答。ホットペッパーグルメでは、このような「おやつ以上食事未満」の軽食ジャンルにトレンドの兆しを見出し、「0・7食」と名付けた。

新たなトレンドの兆し!
「0.7食」の人気アイテム

 では「0.7食」において、どんなアイテムが人気なのだろうか? 

 「今後食べてみたいおやつ以上食事未満の軽食」について調査をしたところ、1位はフルーツ大福、2位はマリトッツォ、3位はフルーツサンドと、スイーツのなかでも比較的お腹にたまるものが上位にランキングした。

たっぷりの生クリームを挟んだスイーツ「マリトッツォ」は、食品スーパーやコンビニチェーンでも商品化され、一気にブームになった
たっぷりの生クリームを挟んだスイーツ「マリトッツォ」は、食品スーパーやコンビニチェーンでも商品化され、一気にブームになった

 カラフルな断面のインパクトが強いフルーツ大福、軽い食感の生地にたっぷりの生クリームを挟んだスイーツ「マリトッツォ」のほか、ぷるっぷるの台湾カステラなど、SNSで話題となっているスイーツが上位に顔を連ねており、ひきつづき「SNS映え」の影響がうかがえる。

 これらのメニューは専門店だけではなく、輸入食品を扱う食品スーパーやコンビニエンスストアなどでも販売され、気軽に手に入ることも異例の早さでブームになった要因の1つだろう。

 人々のライフスタイルの変化は、食生活に変化をもたらす。結果、新たに魅力的なアイテムが生まれ、人々の「食生活」がさらに豊かになることを心より願ってやまない。

【執筆者】

執筆者

有木真理(リクルート『ホットペッパーグルメ外食総研』上席研究員)
㈱リクルートライフスタイル沖縄の代表を務めるとともに、ホットペッパーグルメ外食総研の上席研究員として、食のトレンドや食文化の発信により、外食文化の醸成やさらなる外食機会の創出をめざす。自身の年間外食回数は300日以上、ジャンルは立ち飲みから高級店まで多岐にわたる。趣味はトライアスロン。胃腸の強さがウリで、1日5食くらいは平気で食べることができる。

連載・外食トレンド コロナ禍で生まれた新・軽食ジャンル「0.7食」とは _小売・物流業界 ニュースサイト【ダイヤモンド・チェーンストアオンライン】 (diamond-rm.net)

 


2021-07-31 22:18:00

中国「夜経済」の現状は

中国「夜経済」の現状は

(出所:iimediaより1元=16.5円で計算 同ソースでは2020年は対前年比+5%となっているが、報告実数を適用)

夜経済(ナイトタイムエコノミー)とは、夜6時から翌朝6時までの時間帯の経済活動を指す。

中国の夜というと、違法KTV(カラオケTV→転じて接客を伴うカラオケ店)や風俗といった「地下経済」のイメージを持つ読者もいると思う。

1980年代以降、各地で違法性のある店舗の開業と、取り締まりの「いたちごっこ」が行われてきたのも事実である。

2010年以降の中国は、国を挙げて飲酒関連事業だけでなく、様々な娯楽、地域の文化施設との組み合わせで「夜経済」の活動を展開し、消費拡大につなげようとしている。

コロナ後だから、この議論が起こっているのではない。コロナ前から夜経済効果については、国を挙げた消費拡大の施策として討議が行われている。

中国の夜経済は、2016年から20年までに、年平均17.9%の成長率をみせている。

中国は、コロナ発生から通常経済活動再開までの期間は、日本に比較して極めて短期間であった。とはいえ、2020年社会消費小売総額は39.2兆元(約647兆円)で前年比マイナス3.9%であった。

そんな中でも、2020年も夜経済市場が拡大した事は、非常に特徴的である。 

夜経済1.0版

夜経済1.0版

夜経済の始まりは、広東省広州市に1984年設立されたネオン街の夜市だ。これが中国夜経済1.0版と言われている。

個人屋台からレストラン、バー等の飲食街に発展。ショッピングセンターが建設され、その中には、映画、劇場の施設を導入。更に博物館など文化施設へと拡がっていった。

各地の都市でも広州と同様に、活発な夜間の商業活動が進んできた。

都市部での居住人口集中度が高まるにつれ、都市中心部の一日の経済活動を重視し、地域の住民、就業者、そして旅行集客、消費に繋げる動きが活発化していると言える。

訪日客頼みだった日本の「夜経済」

日本では、コロナ前の2019年 国土交通省観光庁は、「ナイトタイムエコノミー推進に向けたナレッジ集」を発行している。また、各地で推進するために観光地域つくり法人(DMO)の登録制度を進めている。(DMO =Domestic Management/Marketing Organization)

DMOに期待される役割は法人間の典型と役割分担を行い効率的な観光地域つくりとなる。(出所:観光庁ホームページより

上記ナレッジ集では、ナイトタイムエコノミーを推進している例としてロンドン、ニューヨーク各経済規模は3.7兆円と2.1兆円と表している。

日本の場合は、夜経済を訪日外国人の消費拡大を当て込んだものと受け取れる。

残念ながら2020年以降状況は大きく変化しており、この戦略は見直さざるを得ない状況となっている。

政府の消費促進における夜経済の位置づけ

政府の消費促進における夜経済の位置づけ

2019年8月、国務院弁公庁は消費に関する2つの意見書を提示している。

  1. 「流通の発展加速化と、商業消費の促進を行う事に関する意見」(关于加快发展流通促进商业消费的意见)
  2. 「文化、旅行消費の潜在力を更に高めるための意見」(关于进一步激发文化和旅游消费潜力的意见)

1.は、20条の消費促進策と、それに伴う流通体制の発展を提示。この中に夜間のビジネスと市場の活性化が含まれている。

国家レベルの消費促進策のひとつが夜経済の拡大と言える。
                                 
要点は以下となる。

  • 主要商圏と特色あるショッピングストリートの開発
  • その為に文化、旅行、レジャー等のニーズと緊密な連動が必要
  • 営業時間の延長、深夜営業専用区、24時間営業店の充実
  • 更に「深夜食堂」等特色あるレストラン区の設置も検討
  • 夜の消費を促進する為に夜間交通整備、安全、環境整備の実施(発展改革委員会、工業情報化部、公安部、農業農村部、商務部、緊急部、税関総局、食品薬品監督管理局が担当部分の責任部署となる)

出典:中国中央人民政府HP

「深夜食堂」は、日本の同名TVドラマが中国でもリメイクされ、放送されている。

ドラマのタイトルを引用しているのかは不明だ。しかし、この記載により日本の夜消費についても興味、研究があったとも思われる。

この時点で各都市の試験区による夜経済整備状況が報告されていた一方で、政府の継続的な支持を求める声も出ていた。

夜経済の事業に資源投入し、その後新たな規制が出る事も恐れていた地域、企業があったためとみられる。

2.については、全体目標は文化、旅行領域における施設、消費環境及び伴うサービスの改善から消費拡大につなげる事にある。

11条になる意見のひとつに「休暇と夜経済(夜間経済)」があり、要点は以下となる。

  • 有給休暇の実施により、祝日以外の観光消費の拡大
  • 観光ピーク時の消費者動向把握により景勝地と周辺高速道路の接続及び管理強化
  • 安全確保等条件を満たす景勝地のナイトツアーサービスの奨励
  • 観光地でのディナー、ショッピング、舞台芸能、24時間書店の奨励
  • 2022年までに200か所以上の国家レベルのナイトタイム消費区の構築

出典:中国中央人民政府

これらの政策は2020年に本格化する予定であったが、中国でも20年上半期はコロナ禍により、延期を余儀なくされた。

再起動した夜経済2.0

再起動した夜経済2.0

コロナ禍を経て、中国の「夜経済」政策は再び動き始めた。

2021年初めに中国商業聯合会(中国商業全般管轄、民政部管理)が「2021年商業十大重点展望」を発表した。

毎年発表しているものであるが、第十四次五カ年計画初年であり、前年のコロナ後を受けての時期だけに注目された。各項目との連動する点があるが夜経済についても重点として提出している。

  • 現在、夜経済は都市経済の活力の重要な指標である
  • 夜経済は内需の拡大、市場繁栄、雇用創出等多くの効果がある。
  • 2.0版として単一業態のビジネスモデルから複数の業種業態との融合により各シーンでの販売拡大につなげ、都市間競争を進める

各都市で特徴ある夜経済モデル創りを進める事、これは都市部生活者だけでなく観光業として外部からの流入による消費拡大の為、各業態が連携し新たな消費シーンを創る事を求めている。

観光において夜間のコンサート、芸術活動以外に遊覧、博物館時間延長等文化活動の推奨でコト消費の場を増やし、これらと交通機関、外食産業、宿泊施設との連携(観る、遊ぶ、食べる、住む)により消費拡大を図っている。

ナイトツアー

中国大手旅行サイト「C-Trip」は2021年7月、旅行業+夜経済実績について「2021年上半期ツアー夜経済報告」を発表している。

夜の観光地入園料販売額は2020年上半期比469%、2019年同期比でも106%と大幅な増加を示している。

利用客は観光地周辺からが約40%、女性が53%、そして年代別では「90后」が34%、「80后」が29%、「00后」が12% で、合計75%を占める。

特に90后世代は、2019年比3倍、00后世代は同4.5倍と急増している。また親子での「夜遊び」も昨年比215%と大きな伸びを示している。 ロケーションは近場。若年層、親子連れ、女性の志向をつかむ事が必要ともいえる。

人気都市

C-TRIP社レポートではナイトツアー目的地トップ10は、洛陽、上海、深圳、 広州、西安、武漢、杭州、北京、三亜、成都であり、4月に新華社シンクタンク、テンセントWeShowが発表した「2020年中国夜経済に十大影響力ある都市」では、重慶、成都、長沙、青島、北京、西安、上海、深圳、広州、武漢となる。
                                        
両方から歴史的建造物、遺跡のライトアップ、3D映像組、夜景ショーアップ等中国伝統と新技術の組合せに飲食、購買行動を促している地域が多い印象を受ける。

夜経済と小企業活用

夜経済と小企業活用

2021年7月、前述の国家レベルの200か所の夜経済モデル区の建設につき、文化観光部から正式な通知が発布された。

各省(区、市)に8月13日を締め切りに、迅速に文化・娯楽・観光集積地を選定し、新たな消費モデルを構築するよう求めている。

また中国商業聯合会は夜経済において小店舗の活動に大きなポテンシャルがあると訴えている。

ここでの小店とは従業員10人前後、年商100万元以下(1,600万円)の小企業、またはEC営業額1,500万元(2.5億円)としており、地域社会に最終消費者へ供給する毛細血管的な役割と機能があるとしている。
       
消費者に近い業界である、外食産業について国家統計をみると、小規模企業の環境に変化がみられる。

2020年末で外食店舗総数は前年の712万から635万へと約11%の減少となった。

この外食産業は2021年1-6月で急激な回復を示しており、限度額以上の企業売上は2020年比+56.3%だが、外食全体の2020年同比は+48.6%となっており、小規模企業の回復は遅れている。 

国を挙げての夜経済活性化の背景

中国政府は、国内経済拡大に夜経済の再活性を掲げている。中国にが8,000万強の小企業があり、同従事者は約2億人と推測されている。

夜経済の振興は、コロナ後の回復が遅れている、小企業支援策の意味合いも強いと考えられる。

拡大続ける中国の「夜経済」 | Frontier Eyes Online by フロンティア・マネジメント (frontier-eyes.online)

 


2021-07-31 22:12:00

2021年7月16日(金)08:06 やじうま速報

大手外食会長4人、文春砲に撃たれた。まん防下で3時間にわたる飲酒で、謝罪文にまで追い込まれる。

記事への評価

★★★★★4.0

取材・執筆 : 加藤一 2021年7月16日

キーワード :   

 自民党の穴見陽一衆院議員(51)が7月8日、都内飲食店にて3時間にわたり、ロイヤルホールディングスの菊地唯夫会長、「和食さと」のSRSホールディングスの重里欣孝会長、モスフードサービスの櫻田厚会長らと酒を伴う会食を行っていたと「週刊文春」が報じた。
<関連記事>
【社説】小池都知事が大企業への協力金支払いを決断。業界全体で声を上げた勝利だ
際コーポ・中島社長、小池都知事に物申す! 「大企業にも時短協力金を平等に」
【速報】禁酒令解禁19時まで、濃厚。21日から「まん防」で時短は続きそう。
 穴見議員は、ファミレス「ジョイフル」の株式会社 ジョイフルの会長でもある。ジョイフル社長は夫人の穴見 くるみ氏。4人とも農林水産省認可一般社団法人の日本フードサービス協会の理事。週刊文春は、大企業にも時短協力金を認めるよう働きかけ、「4氏の経営する会社がこれまでに受け取った新型コロナ関連の協力金や助成金の合計は、決算資料に記載があるだけでも約59億円に及ぶ。」と指摘。まるで私腹を肥やしたかのような文章となっている。
 良くないのは、大手外食企業トップが飲酒のルールを守らなかったこと。会合に使われた飲食店はモスフードサービスが運営し、しかも協力金を申請していたことが火に油を注いだ。ロイヤルなどは謝罪文をHPで発信せざるを得ない状況に追い込まれた。
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2021-07-31 22:10:00

飲食店のデリバリー導入、成功する秘訣は? 人気店『クリスチアノ』の戦略

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デリバリーサービス「Wolt(ウォルト)」で商品を配達する様子。新型コロナウイルス感染拡大防止のため商品の手渡しは避け、店頭のカウンターに置いて受け渡しを行う

新型コロナウイルスの影響の長期化により、売上確保に悩む飲食店が後を絶たない。現状を打破する一手としてデリバリーを検討する店舗も増えているが、他店舗との差別化が難しい、どのデリバリーサービスを選べばいいかわからないなど、悩みを抱えているケースもあるだろう。

デリバリーを上手く収益化するために、飲食店はどのような戦略を立てるべきなのだろうか。東京・渋谷区でデリバリー事業を積極的に行うポルトガル料理店『Cristiano's(クリスチアノ)』を取材した。

『クリスチアノ』の店内。木を基調とした落ち着いた空間

大人世代に人気のポルトガル料理店

佐藤幸二氏が店主を務める『クリスチアノ』は、2010年に「珍しい国の料理をリーズナブルに食べられるお店」をコンセプトにオープンした。店を代表するメニューは「バカリャウ」と呼ばれる干し鱈(たら)を使った料理。バカリャウは熟成感のある白身魚で、干物に似ており日本人の口にも合いやすいという。ほかにも素朴で家庭的な味わいが魅力のポルトガル料理がそろい、店内のゆったりとした雰囲気も相まって大人世代のお客を中心に支持を集めている。

現在はイートインに加え、テイクアウトやデリバリーも実施。デリバリーは、スタッフが行う自社配達と、「Wolt(ウォルト)」でのデリバリーサービスの両方を使い分けて行っている。

自社配達ではイートインと同じポルトガル料理のメニュー、「Wolt」でのデリバリーは「牛サガリ肉炭火焼き弁当」など、ジャンルにとらわれない気軽なお弁当が中心だ。いずれも比較的手頃な価格帯で、近隣住民に高い人気を誇っている。

デリバリー戦略について話す『クリスチアノ』店主・佐藤幸二氏

デリバリーによってこれまでリーチできなかった層の顧客を獲得

同店がデリバリーを始めたのは、最初の緊急事態宣言が出た直後の2020年の4月7日。当初は外部のデリバリーサービスを利用せず、スタッフ自らがチラシを配布し、自社配達のみを行っていた。

「僕らが自社配達を始めたばかりの頃は、まだ“レストランのデリバリーは特別な日に頼むもの”という認識が一般的だったと思います。なので、いつもお店で出している料理をそのまま提供していました」

近隣住民にダイレクトに周知できるチラシ配布が功を奏し、自社配達の事業は順調に成長。常連客だけでなく、新規客からの注文も増加した。

「自社配達を始めてから、これまでお店に来たことがなかった方にもうちの料理を食べてもらえるようになりました。特に、お子さんがいてなかなかレストランでご飯を食べられない方や、“近隣に住んでいて前から気になっていたけれど、いつも満席で入れなかった”という方に喜んでもらえたのはとても良かったですね」

デリバリー商品の調理の様子。炭火でしっかり焼き上げる

もともと近隣が住宅地なうえ競合店が少なく、デリバリーの需要があることは把握していたという佐藤氏。その読みは当たり、多いときでは1日50件以上の注文が入ることも。酒類販売業免許を取得し、料理に合わせた酒類の提供で売上が増やせたことも大きかった。

「ただ、ずっとレストランメニューを中心に配達するのは負担が大きく、自社配達に絞って続けるのは難しいなと。そこで、フードデリバリーサービスを活用して、“お弁当”の配達を始めることにしたんです。商品をパッケージ化することで作業負担が減り、今は無理なく続けられています」

「Wolt」のデリバリーで提供している「鶏モモのオレンジ弁当」(左上/1,030円)、「豚とハマグリのアレンテージョ弁当」(右上/1,190円)、「牛サガリ肉炭火焼き弁当」(右下/1,350円)、エッグタルト「パステル・デ・ナタ」(左下/290円)

配達パートナーのホスピタリティを重視

佐藤氏がデリバリー事業の成功を左右すると考えている要素のひとつが、デリバリーサービス会社の選び方だ。特に、商品を代わりに運んでくれる配達パートナーの質は重要。配達パートナーへの評価は、店舗の評価に直結するからだ。店舗になんら落ち度がなくても、配達した際の対応が悪ければ、お客が店舗にマイナスイメージを持つのは避けられない。

「配達に不備があった際に、お客様から“こんなスタッフに依頼しているんだから、どうせお店もイマイチなんでしょ”と思われてしまうのはすごく残念ですよね。なので、デリバリーサービス会社を選ぶにあたっては、配達パートナーの意識の高さを特に重視しました。そこで気になったのが『Wolt』です。実は、デリバリーサービスを利用する前から『Wolt』のことは知っていました。北欧を中心にビジネスを拡大しているスタートアップ企業ということで、飲食店関係者の間では有名なんです」

「Wolt(ウォルト)」は現在23か国、180以上の都市で展開しているフィンランド発のデリバリーサービス。2020年3月から日本にも進出し、現在19都道府県30都市に展開している。

「僕も自分が住んでいるエリアでサービスが始まった初日に、ユーザーとして利用してみたんです。『Wolt』の紙袋が可愛かったことと、配達パートナーの対応が素晴らしかったことが印象的でした」

対面した配達パートナーがホスピタリティを何より大切にしている姿に魅力を感じ、日本でのヒットを確信。今後への期待や信頼感から、デリバリー事業を拡大するときには迷わず「Wolt」を選んだという。

店頭に置かれた「Wolt」のチラシ。鮮やかな水色が目印となっている

使い方が簡単で配達料も安価な「Wolt」

「Wolt」をどのように使っているのか、佐藤氏にその活用方法を聞いた。

「実際に『Wolt』を使ってみたところ、流れが非常にわかりやすくて助かりました。支給されたタブレットにアプリが入っているのですが、そこに注文が届くと『ピンポーン』と通知音が鳴ります。僕たちはアプリでオーダーを確認して、何分で届けられるかを入力するだけ。あとはいつもと同じように料理を作って箱に詰めて、店に来てくれた配達パートナーに渡し、受け渡し完了ボタンを押して終了です」

その裏側では、「Wolt」の社員が注文から到着まで一連の流れをモニタリングし、お客様の要望やクレームにすべて対応。店舗は安心して商品の準備に集中できる。

また、店舗が支払う手数料は注文があった場合のみ発生する完全成果報酬制で、掲載費用は永久無料。初めて利用する飲食店は、3か月間のお試し期間付きだ。ユーザーが支払う配達料金も食事代+99円からと安価。店舗とユーザーの両者にとってリーズナブルなサービスで、高い評価を得ている。さらに佐藤氏が魅力に感じているのが、配達パートナーの質の高さだという。

「全体的に満足していますが、やはり一番魅力を感じているのは配達パートナーが信頼できること。『Wolt』のサービスを利用して店の評価が下がったことは一度もないので、とてもいい対応をしてくれているんだと思います。これまで『クリスチアノ』によく来てくださっていた常連さんの中には、コロナ禍によってあまり外出ができなくなった方もいます。デリバリーはそういう方々とのつながりを維持して“僕ら頑張ってるよ”と伝える手段でもある。だからこそ、お客様と丁寧に接してくれる『Wolt』のデリバリーには本当に助けられています。サービスにとても満足しているので、デリバリーはWoltに一本化しました」

「Wolt」では配達パートナーに適性テストを実施し、合格者のみが登録可能となる。保温性の高い専用バッグを貸与するなどし、配達パートナーのサービス向上にも力を入れている。大切な商品をきちんと届けてくれるという信頼があれば、店舗側も安心して任せられるだろう。

店内ではカレーペーストや缶詰を販売。こうしたレトルト商品の一部は「Wolt」を利用してデリバリーで購入することも可能だ

今後はアフターコロナも見据えたデリバリー戦略を展開

「Wolt」の導入によって、デリバリー事業の拡大に成功した『クリスチアノ』。今後は、デリバリーで得られたデータを活用することも検討しているという。

「例えば、デリバリーの人気商品や注文の入る時間帯のデータを集計すれば、イートインの営業に活かすこともできますよね。この街の方々を楽しませるのが僕たちの役割。今後はニーズの分析に基づいたサービス提供にも挑戦していきたいです」

ほかにも佐藤氏が検討しているのが、自社で開発したレトルト食品を「Wolt」で配達し、各家庭でローリングストックとして使ってもらうこと。ローリングストックとは、保存期間が長めの食品を定期的に消費し、食べた分だけ買い足していく備蓄方法。常に一定の食品を備蓄でき、いざというときの賞味期限切れを防げるとして、国や自治体も普及を推進している。

「自社で缶詰やカレーなどのレトルト食品を開発していて、すでに『Wolt』でもいくつか販売しています。今後はさらにラインアップを充実させ、お客様が普段から当たり前に自社の製品を食べていただける状態を作りたいです。あとは、配達パートナーが近隣の店舗を行き来し、複数店舗の商品をまとめて配送してくれるサービスがあったら嬉しいですね。ホスピタリティがしっかりしている『Wolt』になら、安心して任せられるので。今後も期待しています」

『クリスチアノ』のように将来を見据えてデリバリー戦略を練ることは、コロナ禍ではもちろんアフターコロナでも有効な手立てになるはずだ。この機会にデリバリー事業を始めたい、拡大したいという飲食店はデリバリーサービスのプラットフォーム選びにもこだわってみてほしい。

■「Wolt(ウォルト)」のサービス概要はこちらから
・創業:2014年、フィンランド・ヘルシンキ
・サービス展開地域:23ヵ国180以上の都市でデリバリー事業を展開
・登録ユーザー数:1,200万以上
・レストラン/小売パートナー数:45,000以上
・従業員数:3,200名以上
・配達パートナー数:90,000名以上
・アプリに対する評価:App Store 4.8/5, Google Play 4.7/5 の高評価
・資金調達総額:8億5,600万ドル(約888億円)

■導入に関するご相談やご質問はこちら
お問い合わせの場合は「Foodist Mediaの記事を見た」と伝えていただくとスムーズです。お気軽にご連絡くださいませ。
・電話でのお問い合わせ:03-4540-4910(受付時間:月〜金 10:30~18:00)
・LINEでのお問い合わせ:こちらをクリック(受付時間:月〜金 10:30~18:00)

『クリスチアノ』
住所/東京都渋谷区富ヶ谷1-51-10
電話番号/03-5790-0909
営業時間/18:00~24:00(L.O.23:00)
定休日/無休
席数/38

[提供]Wolt Japan株式会社

飲食店のデリバリー導入、成功する秘訣は? 人気店『クリスチアノ』の戦略 | Foodist Media by 飲食店.COM (inshokuten.com)

 


2021-07-31 22:07:00

約6割の消費者が緊急事態宣言中も外食へ。「飲食店を応援したい」との声も多数

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画像素材:PIXTA

収束の見えない新型コロナウイルスの感染拡大。飲食店へ時短営業や酒類提供の自粛要請が繰り返され、いまだ外食の機会が制限される状況が続いている。そんな中、DMM.comは緊急事態宣言中の外食状況や、コロナ禍の食生活の実態を明らかにするために、「食生活と外食に関する調査」を実施。今回は、その調査結果を紹介していく。

調査主体:合同会社DMM.com
調査期間:2021年6月11日(金)~6月15日(火)
調査対象:全国の20代~50代のビジネスパーソン男女
有効回答数:500件
詳しい調査結果はこちら

【注目記事】withコロナ時代の外食の“兆し”は「イエナカ外食」。リクルートが「コレカラ会議」開催

緊急事態宣言中に約6割が外食を経験。最多の理由は「美味しいものを食べたい」

まず、緊急事態宣言中の外食状況について見ていきたい。今年の緊急事態宣言中に「外食した」と答えた人は58.0%と全体の6割近くを占めた。

昨年の緊急事態宣言中と比較すると、人々の意識の変化が伺える

外食をした理由としては、「美味しいものを食べたい(55.9%)」が最も多く、次いで「飲食店を応援したい(37.6%)」、「ストレス解消(30.3%)」などが挙げられた。

ストレス発散や気分転換に外食をしたいと考えている人も多いよう

一方、自炊についての調査では、自炊の頻度を「毎日(38.4%)」と回答した人が4割近くになった。そのうち、自炊の理由で最も多かったのは「節約になるから(48.1%)」で、「料理が好き・趣味(18.6%)」という回答は2割以下に留まった。この結果からは、「生活のためにやむを得ず自炊している」というムードも感じられる。実際に、約6割の人が自炊を負担に「感じる(19.8%)」、「どちらかというと感じる(38.8%)」と回答していた。

潜在的な外食需要は多いと推測される

上記の結果を見ても、新型コロナウィルスの影響による長引く自粛生活の疲れが、人々の「美味しいものを食べたい」という意識を少なからず高めていることは間違いないだろう。こうした背景も、緊急事態宣言中の外食率の高さに繋がったと考えられる。

宣言中の外食はやはり「少人数」に。一方で「飲食店を応援したい」の声、多数

次に、緊急事態宣言中に外食した人を対象とした、外食時の利用状況について紹介する。

宣言中の外食頻度については、「週に1~2回(37.6%)」、「月に1回(32.1%)」、「月に1回以下(18.3%)」という結果に。外食時の人数は「2名(54.5%)」が最も多く、次いで「1名(35.5%)」、「3名(27.2%)」との回答が続く。

感染対策のためにできるだけ頻度を減らしている様子が垣間見える

宣言中の外食1回あたりの平均支払金額は、ランチで最も多いのが「500円以上1,000円未満(51.7%)」で、宣言前から変化はあまりないと考えられる。一方、ディナーは、「1,000円以上2,000円未満(24.8%)」が最も多く、最少額である「1,000円未満(17.9%)」も2割弱いた。時短営業や酒類の提供自粛などが要因で減額していると考えられる。

ディナーに関しては、時短営業やお酒の提供不可などによる影響が顕著に

また、利用するお店については約9割の人が「緊急事態宣言前から利用していた店(60.6%)」、「どちらかというと緊急事態宣言前から利用していた店が多い(29.3%)」と回答。馴染みのある飲食店が宣言下で困っているのを「応援したい」と考える人が多いようだ。

営業制限を余儀なくされ困っている飲食店を応援したいと考えている人は多いよう

実際、「コロナ禍で飲食店を応援したいと思うか」という質問には、8割以上の人が概ね「そう思う」と回答(「とても思う(18.0%)」、「思う(30.8%)」、「どちらかというと思う(33.4%)」)。飲食店が置かれている状況は依然として厳しいが、多くの人が飲食店を応援したいという思いを持っていることがわかった。

外食しづらい状況においても、多くの人が飲食店を応援したいという思いを抱いている

コロナ禍で飲食店を取り巻く状況は日々変化している。こうしたデータは、その変化を裏付けるものとして参考になるはずだ。ぜひ、日々の営業に役立ててほしい。

約6割の消費者が緊急事態宣言中も外食へ。「飲食店を応援したい」との声も多数 | Foodist Media by 飲食店.COM (inshokuten.com)

 


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