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数字で読み解くフードサービストレンド:話題の商品に飛びつく人、自分へのご褒美が増加
アフターコロナと値上げで消費者の行動が変化する中、飲食店利用者の価値観はどのように変化しているのでしょう。エヌピーディー・ジャパンが提供する外食・中食市場情報サービス「CREST」では、飲食店利用者に9つの価値観タイプから自分がどのタイプに最も当てはまるか選択してもらう質問があります。
客数ベースでどの価値観の人が多いのかその比率を見てみると、「無駄な消費はせず、普段から規則正しい生活を心掛けている」タイプの人は、2023年1~3月に17.5%でしたが、その比率はコロナ前から比べると減少していることがわかります。「特売・激安・お手頃の言葉に引かれ、常にお得に買いたいと思っている」タイプの人は、同14.5%を占めましたが、前年同期と比べるとやや比率減の傾向が見られます。
一方で、「新商品や限定商品などの話題の商品を見るとつい買ってしまう」「流行に敏感で、頑張った自分へのご褒美としておいしいものを買うことが多い」タイプの人の比率は、前者2タイプと比べると少ないですが、徐々に比率が増加しています。
値上げの中、安さだけでなく、目新しいもの、話題性のあるものを提供・訴求していくことや、自分へのご褒美需要を取り込んでいく施策が客数増加へのヒントとなりそうです。
(エヌピーディー・ジャパン 東さやか)
数字で読み解くフードサービストレンド:話題の商品に飛びつく人、自分へのご褒美が増加 - 日本食糧新聞電子版 (nissyoku.co.jp)
海外通信 外食ビジネスの新発想(67)飽きないきれいなグルメサラダブーム
「チックフィレイ」の「スパイシーサウスウエストサラダ」(11$9¢)スパイシーなチキンのグリル、サラダ菜のミックス、ミニトマト、モントレージャックとチェダーのチーズ、コーン、ブラックビーンズ、ポブラノ(マイルドな唐辛子)、レッドチリ/courtesy of Chick-fil-A
「ジャストサラダ」の「チポトレカウボーイ・デアリングチキン」(12$99¢)ロメインレタス、ビヨンドチキン、ピコ・デ・ガロ、アボカド、トルティーヤ、チポトレドレッシング/courtesy of Jus
「ジャストサラダ」の「アース・ボウル」(11$99¢ 0.74kg CO2e)オーガニックキヌア、ケール、クリーミーヴィーガンのフェタチーズ、ローストしたサツマイモ、アーモンド、バルサミコドレッシング、ビーツ、スライスしたリンゴ/courtesy of Just Salad
「ジャストサラダ」の「リユーザブル・ボウル」/courtesy of Just Salad
「スイートグリーン」の「フムス・クランチサラダ」フムス、オリーブ、ヒヨコ豆、トマト、キュウリ、千切りキャベツ、赤玉ネギ、バジル、パン粉、ロメインレタス、ケール、ペスト・ヴィネグレット/courtesy of SweetgreenSalad
「チョップト」の「チキン・ティンガ・ボウル」(13.99$)温かい雑穀、キャベツとコリアンダーのブレンド、アボカド、チキン、黒豆、コティヤチーズ、ネギ、トルティーヤチップ
「ジャストサラダ」ウエストボッカ店。サラダ専門チェーン店はどこも清潔で明るいインテリアだ/courtesy of Just Salad
「スイートグリーン」が導入したサラダ製造ロボット/courtesy of Sweetgreen
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●専門チェーンが続々登場 客の好みを反映するシステム
健康上、サステナビリティ上の理由から肉離れが続き、今やアメリカのベジタリアン人口は推定730万を超え、植物ベース食材の売上げは昨年80億$に達した。2018年の48億$から大きな増加だ。脇役だったサラダは食べ応えのあるメインディッシュになり、「スイートグリーン」「サラダワークス」「チョップト」「フレッシー」「ジャストサラダ」などのサラダ専門チェーン店が次々登場している。しかも、「マクドナルド」「ウエンディーズ」「チックフィレイ」などのファストフード店でも主菜としてのサラダをメニューに載せるようになった。もはやサラダなしには外食業は成り立たない状況だ。各店は、毎日食べても飽きないサラダ、食べ応えのある主菜としてのサラダのメニュー展開にしのぎを削っている。
01年に創業の先駆者「チョップト」は、「すべての人に健康的な食事を楽しんでもらうことが使命」として定番メニュー、季節のメニューを展開している。「クリエイティブなサラダ会社」の旗印の下、定番のシーザーサラダをとってみても、ケールを使った「シーザーサラダ」、ハラペーニョ、トルティーヤチップス、コティヤチーズでメキシカン風に仕立てた「メキシカン・シーザー」、バジルを加えた特別ドレッシングであえた季節限定の「サマーシーザー」などで、一ひねりしている。
好みに合わせたオプションだけでなく、マイサラダを一から注文することもできる。(1)サラダ菜類(2)タンパク質類(シュリンプやチキン、豆腐など)(3)みじん切り(チョップト)野菜類(ヒヨコ豆、セロリ、トマト、ビーツなど)(4)チーズ類(フェタやパルメザンなど)(5)クランチ(カリカリ)トッピング類(クルトン、ローストしたアーモンドなど)の順に選び、最後に20種類以上もあるドレッシングの中から選んでいくシステムだ。店頭のキオスクのタッチスクリーンか、あるいはオンラインでピックアップかデリバリーの注文をする。
サラダのほか、野菜たっぷりのラップや温かいボウル物も提供している。数年前には新鮮に見えたボウル物だが、もはやアメリカに定着した感がある。ただし、同店のボウル物は白米の丼物ではなく、ベースは雑穀、もしくはカリフラワーライス(一見コメに見えるカリフラワーのみじん切り)から選ぶ。
一方、06年に創業した「ジャストサラダ」も、同様にバラエティーが豊富で飽きがこない万能メニューだ。使命とする「ヘルシーでサステナブルなメニュー」の選び方もユニークで、環境保全、ケトジェニック(糖質制限ダイエット)、ヴィーガン、グルテンフリー、パレオ(旧石器時代式ダイエット)のフィルターを使って選択肢をふるい出すことができる。しかも、同チェーン店では、画期的なカーボンラベルをメニューに導入。それぞれのメニューアイテムに生産されてから廃棄までのサイクル全体の温室効果ガス排出量を掲載している。
また、ボウルを再利用する2つのプログラムを展開。「ブリングバッグ・ボウル」は、アプリで注文したサラダを返却可能なボウルで受け取るシステムで、次の注文の際にボウルを返却する。洗浄は同チェーン店で行う。もう一方の「リユーザブル・ボウル」は、ボウルを1$で購入し、店に持って行き再利用するたびにトッピング(アボカドなど)を無料でもらえるシステムだ。
そして、06年に創業した「スイートグリーン」。具だくさんサラダのほか、温かいボウル物、子ども用のキッズミールなどを提供。サラダは食材の組み合わせなので、経験豊かなシェフではなくロボットにだって作れる。同チェーン店は、業界で初めてサラダ作りロボットを起用した。現在はイリノイ州ネイパービル店で試験的に使用している。
どのサラダ専門チェーン店も提供するのは、見目麗しく、ヘルシーでしかもサステナブルな食。肉離れが進むにつれ、こうした具だくさんな主菜サラダの需要がますます増