2022年11月4日発売の「日経トレンディ2022年12月号」 ▼Amazonで購入する では、「2023年ヒット予測ランキング」を特集。6位に「水素調理レストラン」が選ばれた。燃焼しても二酸化炭素(CO2)が出ない水素を使って調理した料理を振る舞うレストランや旅館が2023年、全国各地に続々と現れる。エコだからだけではなく、味も抜群。「水素調理始めました」とうたうレストランにグルメ好きが殺到する可能性は高い。

※日経トレンディ2022年12月号より。詳しくは本誌参照

2023年ヒット予測6位は「水素調理レストラン」
2023年ヒット予測6位は「水素調理レストラン」

水素調理レストラン

CO2ゼロでエコ。肉・魚・野菜が驚きのおいしさに

 燃焼しても二酸化炭素(CO2)が出ない水素。この「究極のクリーンエネルギー」を使って調理した料理を振る舞うレストランや旅館が2023年、全国各地に続々と現れる。

 人々が水素調理を求めるようになるのは、エコだからだけではない。燃焼時に空気中の酸素と結合して水蒸気が発生する仕組みのため、じか火で焼くと食材の水分蒸発を抑えられる。肉や魚が外はカリッと、中はしっとりジューシーに仕上げられるのだ。

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 「ブロック肉をナイフで切ったときの断面からあふれ出る肉汁の量は、都市ガスなどとは段違い。多くの客が、蒸し料理さながらの軟らかい食感と、うま味成分が残るおいしさが想像以上だと驚く」。日本で先駆けて水素を使った料理を店の定番メニューとして一時提供した神奈川県藤沢市の「Tetsu's バル リベロ」のオーナーシェフ秦徹也氏はこう評する。「水素調理始めました」とうたうレストランにグルメ好きが殺到する可能性は高い。

 レストランにとっては、燃焼効率が高い水素を使うと調理時間を短縮できるメリットもある。おいしい料理をしかもスピーディーに振る舞えるとあって、味のプロであるシェフらが水素調理に熱視線を送っている。

 外食業界に広まる“下地”は整いつつある。水素ガス専用のじか火コンロの販売をいち早く始めたのが、スタートアップ企業H2&DX社会研究所だ。「(投入済みの幅広タイプに加えて)中型および小型タイプのじか火コンロを1年以内に投入する。フライパンや鍋が使える3〜4口の通常コンロも現在開発中。機種を増やすことで、飲食店に加えて、家庭への普及も視野に入れている」(代表取締役の福田峰之氏)。神奈川県箱根で高級旅館を運営する強羅花扇も「円かの杜」で導入を予定。23年末までに50カ所以上で水素料理が食べられるようになる見通しだ。各地のバーベキュー場からの引き合いもある。

小型調理器も登場し、キャンプ場にも普及の兆し
H2&DX社会研究所はイベントなどで水素料理を振る舞うなど普及活動にも力を注ぐ
H2&DX社会研究所はイベントなどで水素料理を振る舞うなど普及活動にも力を注ぐ

 水素調理は、24年の部分開業を目指しトヨタ自動車が静岡県裾野市で建設中の実験都市「Woven City(ウーブン・シティ)」でも採用に向けて、リンナイと共同開発中。エコでうまい水素調理が、グルメの常識を塗り替える日はすぐそこまで来ている。

肉が一番ウマい、そしてエコ 水素調理レストランにシェフら熱視線:日経クロストレンド (nikkei.com)