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2021-05-29 20:52:00

肉のフードテック最新プレーヤーマップ公開 新市場を獲るのは?

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勝俣 哲生他5名

 

大豆やエンドウ豆などを活用する「植物肉」や、動物の細胞を培養した「培養肉」といった「新世代ミート」の取り組みが、国内でも広がっている。背景にあるのは、世界的な人口増加による将来的なたんぱく質不足、畜産の拡大による環境負荷の懸念、食に対する健康意識の高まりだ。丑(うし)年の2021年、新しい“肉”の市場は飛躍の年となるか、日経MJと共同で最前線を追った。
日経クロストレンドと日経MJが制作した、国内代替たんぱく市場の主要プレーヤーマップ(背景の写真/Shutterstock)
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 従来の食肉に代わるたんぱく源として注目を集めているのは、主に植物肉と培養肉、そして食用コオロギなどを活用する「昆虫食」の3分野だ。このうち、すでに商品投入が進むのは植物肉と昆虫食。培養肉は2020年12月、シンガポールにて世界で初めて米イート・ジャストによる培養チキンナゲットのレストラン提供が始まったものの、多くは研究開発段階にある。

 代替たんぱくの市場は、ここ数年、欧米で大きな盛り上がりを見せている。矢野経済研究所によると、20年の世界市場規模(植物肉・培養肉計)はメーカー出荷金額ベースで2572億6300万円。これが30年には、7倍以上となる約1兆8723億円にまで拡大すると予測されている。

 それでも、約200兆円といわれる世界の食肉市場に比べればニッチな存在だが、今後の爆食化が避けられない世界の食卓を持続可能な形で支える「新市場」と捉えれば、そのポテンシャルの大きさは疑いようがない。事実、海外の代替たんぱく市場にはスタートアップと大手企業が入り乱れ、すでに300社以上がひしめく大混戦になっている。

2020年7月時点の海外代替たんぱくプレーヤーのカオスマップ(作成/オリビア・フォックス・カバン氏)
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 では、国内市場はどうか。日経クロストレンドと日経MJが制作した「代替たんぱく国内プレーヤーマップ」では、主要な27社を挙げた。まだ海外に比べるとスタートアップの層が薄い半面、特に先行して盛り上がっている植物肉分野では、食品メーカーに加えて小売り、外食の大手プレーヤーがこぞって参入していることが分かる。

 潮目が大きく変わったのは20年だ。食品業界では、大豆たんぱく素材の国内市場で約5割を握り、攻勢をかける不二製油グループ本社を筆頭に、植物肉と競合しかねない食肉大手までもが相次いで商品を投入。国内最大手の日本ハムは、大豆を用いた家庭向け植物肉の新ブランド「NatuMeat(ナチュミート)」を3月に立ち上げた。畑佳秀社長は、「植物肉はお客様の関心が高い。多様化する食生活でも成長領域」と語る。

 また、小売りでは最大手のイオンがプライベートブランド(PB)の「トップバリュ」で大豆由来のハンバーグなど植物性食品シリーズの本格販売を10月から始めたほか、ファミリーマートやローソンなどのコンビニ各社も品ぞろえを強化している。

 さらに外食でも、ドトールコーヒーが9月から植物性パティを使ったサンドイッチをメニュー化。フレッシュネスバーガーやバーガーキングといったファストフード店でも、相次いで植物性バーガーが商品化された。1人焼き肉チェーンを展開する焼肉ライク(東京・渋谷)も、一部店舗で扱っていた大豆が原料の「NEXTカルビ」「NEXTハラミ」の販売好調を受け、12月に全店舗への拡大を決めた。

 一方、昆虫食では、20年5月に無印良品を展開する良品計画が、「コオロギせんべい」をネット限定で先行発売。徳島大学発のベンチャー、グリラス(徳島県鳴門市)が開発した食用コオロギパウダーを使った商品で、初回販売分は即日完売したほどだ。12月には、「Pasco」ブランドで知られる敷島製パン(名古屋市)も追随。高崎経済大学発のベンチャーのFUTURENAUT(フューチャーノート、群馬県高崎市)とコラボし、コオロギパウダーを使用したフィナンシェとバゲットをネット限定で発売。こちらも好評を博した。

 培養肉では、15年に創業したインテグリカルチャー(東京・文京)が、日本ハムと提携。動物の体内に似た環境を人工的に作り出す装置を使い、動物細胞を低コストで大量に培養する研究を進めている。21年末にはアヒルの肝臓細胞を培養して作る人工フォアグラをレストランや食品会社に販売することを目指す。また、シンガポールのショーク・ミーツ社とエビの培養肉の研究も始めており、こちらは22年ごろの商品化を目標としている段階だ。

「日本で植物肉ははやらない」のウソ

 20年に本格スタートを切った代替たんぱくの市場だが、いまだ「海外ほどは根付かない」という消極的な意見も少なくない。植物肉でいえば、日本の消費者はもともと大豆製品を中心とした植物性たんぱくに慣れ親しんでおり、「ヘルシーさ」だけでは新鮮味に乏しい。また、海外の消費者に比べて食に対する環境意識も低いといわれるからだ。しかし、現実は大方の想像よりもっと先にいっている。

 「都市型店舗のIKEA原宿とIKEA渋谷では、すでに販売するフード類の約50%がプラントベースで、売り上げでも同じく半数を占める」。そう語るのは、イケア・ジャパン(千葉県船橋市)でカントリーフードマネジャーを務める佐川季由氏だ。

 同社は20年10月から、フード分野で主力の「ミートボール」の食感や味わいをエンドウ豆たんぱく質やジャガイモ、タマネギといった植物由来の原料で再現した「プラントボール」を本格展開。他の植物性メニューのラインアップも拡充しており、特に都市型店舗では前述の通りの実績をたたき出している。これは世界のイケアのなかでもトップクラスの販売比率の高さという。

イケアが本格展開を始めた「プラントボール」(画像提供/イケア・ジャパン)

 なぜイケアでは、プラントボールが売れるのか。それは、本物の肉同等のおいしさと、手に取りやすい価格設定を両立しているからだ。極めてシンプルな「答え」だが、これを実行するのは実に難しい。おいしさを再現する技術と同時に、なぜ植物性代替肉を普及させるのか、単にトレンドに乗るだけではない明確な「目的」が重要になるからだ。

 イケアの場合、ミートボールの代わりにプラントボールが売れれば、自社が目指す環境負荷の低減目標に近づける。そのため、当初から既存のミートボールラバーが満足する味わいを目指し、価格もミートボールより割安に設定している。一部のビーガン(完全菜食主義者)向け商品ではなく、肉好きの人を含む一般消費者の胃袋をつかもうとしているのだ。それが、日本の消費者にもしっかりと響いている。

 これに対して、国内で販売される他の植物肉には割高なものもあり、肝心の本物の肉らしさを期待して食べると、がっかりすることもしばしば。調査会社のマイボイスコム(東京・千代田)が20年12月に実施した調査によると、代替肉で気になること・不安なこと(複数回答)では、「おいしいかどうか」が52%と最も多かった。

 「大豆ミート使用」をうたってヘルシーさを打ち出すのはいいが、ともすると自ら市場を狭めている可能性もある。環境目標のため製販一体で突き進むイケアのように、植物肉の本格普及にコミットできるか。参入している食品メーカーと小売り、外食プレーヤーとの連携強化、本気度が問われている。

続きを読む 2/2代替マグロ、発酵由来たんぱくも登場?
肉のフードテック最新プレーヤーマップ公開 新市場を獲るのは?:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)

2021-05-29 20:49:00

米ウォルマートの小売りDX 「食品ロス対策」と「顧客体験」を両立

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加藤 靖隆
 
日本政策投資銀行 産業調査部 産業調査ソリューション室 調査役

日本政策投資銀行(DBJ)産業調査部が、産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を読み解く人気連載。今回は、カーボンニュートラル(温暖化ガス実質ゼロ)に向け、小売業界が持つべきデジタル活用の視点について、米ウォルマートの事例を軸に解説する。

米ウォルマートはアプリを通じた顧客体験設計を行いつつ、食品ロス対策にも役立てていると筆者はみる(写真/Shutterstock)
米ウォルマートはアプリを通じた顧客体験設計を行いつつ、食品ロス対策にも役立てていると筆者はみる(写真/Shutterstock)
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 2020年10月の所信表明演説で、菅義偉首相は「2050年までに温暖化ガスの排出をゼロにする。すなわち2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言した。これを受け、各業界はカーボンニュートラルに向けた取り組みを加速している。

 中でも食品小売業界への脱炭素対応の要望は今後、日増しに強くなる可能性が高い。サプライチェーン上で関係性の深い農業や畜産分野からの温暖化ガス排出量は多い。さらには、多くの事業者が店舗で直接消費者と相対するという業界の特性上、消費者からの要望を直接受けやすい。それが故に、消費者を巻き込んでカーボンニュートラル達成を目指すことが求められる。

 では、食品小売業界はカーボンニュートラル達成に向け、どういった取り組みを行っているのか。現状を大別すると、以下の3通りに整理できる。

小売業界に必要な「3つの脱炭素化」とは?

小売業界でも脱炭素化に向けた対応が必要になる(筆者作成)
小売業界でも脱炭素化に向けた対応が必要になる(筆者作成)
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2021-05-29 20:47:00

ロックダウン中の楽しみ「ジェヌイーノ・デリバリー」

イタリアにおけるコロナ禍も一進一退だが、ワクチン摂取が広まるに伴い、徐々にではあるが規制が緩和されつつある。ロベルト・スペランツァ Roberto Speranza厚生大臣が発表した4月26日からスタートする新規制によれば、トスカーナ、ロンバルディアなど15の州と自治州がZona Gialla(イエロー・ゾーン)に復活。レストランでも戸外の飲食が許可されるなど、昨年夏以来久しぶりにイタリアらしい日常生活が少しづつ戻ってきているよな気配がある。そんな状況を受けてか、フィレンツェでは新たなデリバリー・プロジェクト@ジェヌイーノ・デリバリー Genuino Delivery」がスタートした。

これは現状に苦しむレストランをサポートするとともに消費者に食の喜びをデリバリーで届ける新たな試みで、まず立ち上げメンバーとして「ネネ・パンツェロッティ Nenè Panzerotti「カリストロ Calistro」「ラ・ソスタ・デル・ロッセリーノ La Sosta del Rossellino」「ヌーラ Nura」の4軒のレストランが参加している。そのテーマは「ストリートフード」でフィレンツェから郊外のセッティニャーノ経由、カゼンティーノ、ベネヴェント、そしてインドへと至る壮大なストリートフード物語だ。確かに今現在イタリアでは多くのデリバリーが一気に登場、百花繚乱の様子を見せているがストリードフードが食べたくなる気持ちもよくわかる。なかなか故郷にも帰れないような状況の中、慣れ親しんだ郷土の味に触れたい、そんなニーズは確かにあるのだろう。

例えば4月23日〜29日の期間限定で「ネネ・パンツェロッティ Nenè-Panzerotti」が提案するのはパンツェロッティメニュー(クラシック x 1、お好みのグルメパンツェロッティ x 2つ(Boscaiolo, Gentile, Estroso)、スペシャル・パンツェロッティ・ジェヌイーノ(Wurstel del Menoni, Cipolla e cavolo cappuccio bio di Vaggio, Scamorza biologica di Poggio Camporbiano) +パンツェロッティ・ドルチェ(クリームまたはチョコレート)。プーリア生まれだが今やイタリア全国区の揚げパンファンはきっと多いことと思う。15ユーロ(2人用)

フィレンツェ郊外の高台にある「ラ・ソスタ・デル・ロッセリーノ La Sosta del Rosselino」は20年ほど前には足繁く通った店だが、シチリア出身の店主ダミアーノ Damianoはいまだに健在。4月30日〜5月6日にはシチリアのストリートフード・メニューを作ってくれる。手作り&揚げたてのアランチーニ、ノンナ・ローザのカポナータ、BIOひよこ豆粉Spighe Toscane使用パネッレ。故郷は遠くにありて思うもの、よくシチリア料理の話をしてくれたダミアーノが懐かしい。願わくばわたしも注文してみたい。20ユーロ(2人用)

詰め物パスタ・トルテッリはエミリア・ロマーニャ地方を代表するパスタだが、フリットにしてスナック代わりに食べることもある万能型パスタ。5月7日〜13日には「カリストロ Calistro」が考案した、トルテッリを使ったカゼンティーノのストリードフード・メニューが楽しめる。クラシックなグリル・トルテッリ+限定版のジェヌイーノ・トルテッリは12ユーロ。

最後を締めるのは5月15日〜21日、インド・ケララ料理の「ヌーラ Nura」。ガンベロ・ロッソでも紹介された本格インド料理店ではインド・ケララのストリートフード・メニュー(ベジ&ノンベジ)を提供する。例えばサモサ+パコラをベースに、タンドリーチキン、ケララサラダ、チリチキン、フライドエッグ、エビのモレー、ベジプラオ、パラクパニール、ココナッツライスなどをチョイスして料金は27〜31ユーロとかなりボリューミー。
このプロジェクト「ジェヌイーノ・デリバリー」の考案者であるキアラ・ブランディによれば、5月以降もシーズン2としてさらに多くのレストランによるストリートフード・デリバリー計画が進行中とのこと。興味ある人はアップデートに注目、注文は以下の公式サイトより。

www.genuinopuntozero.it

記事:池田匡克


2021-05-02 22:32:00

《日系進出》ららぽーと海外1号店、上海でオープン

三井不動産は28日、上海市浦東で大型ショッピングセンター「三井ショッピングパーク ららぽーと上海金橋」をオープンした。ららぽーとの海外進出は初めて。施設前には実物大のガンダム立像が設置され、開業初日は大勢の人が詰めかけた。

ららぽーと上海金橋は上海地下鉄9号線の「台児庄路」駅から徒歩約7分の場所に立地する。店舗面積は5万5,000平方メートル。1~6階は商業施設で、7階には映画館が入居する。アパレルブランドや日本食レストランなど約180店が出店し、うち日本ブランドは店舗全体の15~20%を占める。

三井不動産の広報担当者によると、現在約6割が営業を開始しており、今年秋までに全面開業する見通し。

施設にはバンダイナムコアミューズメント(東京都港区)が手掛けるバラエティスポーツ施設「ブイエスパーク」と子ども向け娯楽施設「あそびパークプラス」も出店。「体験」を軸にした時間消費型コンテンツを通じて、若者や家族連れなど幅広い層にアピールする。

三井不動産の中国現地法人である三井不動産(上海)投資諮詢の蘇朔望・副総経理は、「日本オンリーワンのコンテンツをそろえた。経済都市である上海は日本に対する見識があり、外資企業も集積している成長性の高いマーケット。その成長を取り込みたい」と意気込んだ。

年内にはマレーシアの首都クアラルンプールにららぽーとを出店する計画。

■実物大が出迎え

施設入口では、バンダイナムコグループのサンライズ、創通と共同で設けた実物大のガンダム立像「フリーダムガンダム」が来店客を出迎える。実物大立像の設置は海外初。高さは約18メートルとなる。

オープン初日、ガンダム立像の写真を撮っていた中国人男性は「有給を取って見に来た。中国系商業施設のオープン日でもこれほど多くの来店客はいないだろう。ガンダム効果もあると思う」と述べた。施設内には中国本土で2店目となる「ガンプラ」販売店の「ガンダムベース」も出店している。

ららぽーと上海金橋の施設前では実物大ガンダムの立像が来店客を出迎える=28日、上海市

ららぽーと上海金橋の施設前では実物大ガンダムの立像が来店客を出迎える=28日、上海市

 


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