インフォメーション

2023-03-26 10:35:00

ポストコロナ時代の流通サービス産業の展望(13)

 

[8]流通サービス産業界の社会的役割

 

「サクセシイブ・カンパニ-(successive company(承継されていく会社))」を目指している企業をつぶさに見ていると、「乱気流とカオス」を乗り切り、「ポスト・コロナ時代」に向けて「流通サービス産業界の社会的役割」と「企業マネジメント体系」を再検討している。

さらに「アップスケ-ル(upscale:質の向上)」のために「創造的破壊(意識的に現在実施中の戦略や計画を破壊して、まったく新しい戦略や計画を創造し、企業を発展させていく積極的な行動)とイノベ-ション(innovation:革新)」と「ピ-プル・マネジメント(people management:人重視のマネジメント)」を着実に行っていることがうかがわれる。

 

(1)お客様に対する社会的役割

 

  お客様の自己実現意欲の提供

お客様は、生活者の立場で、「自己実現意欲」は極めて旺盛である。「流通サービス産業界」の例でいえば、「ポスト・コロナ時代」であっても、「ステイホーム」の習慣は多少減るものの、一度味わった自由時間の良さはなかなか抜けきれるものではない。通常の生活は倹約指向であっても、「デリバリー」の便利さを味わって、たまには豪華にしようという気がもたげている。

「フードサービス産業」の例でいえば、レストランに行く機会は減少するものの、でかけるときは、もっと美味しいものを食べたい、もっと良い雰囲気の店に行きたい、もっと素晴らしいおもてなしを受けたいという意欲を持ち続けている。これらの「自己実現意欲」は、「お客様の参加・共創と企業のサプライズの提供」を行うことである。

 

  お客様に対して感謝と至福と共感の提供

「お客様」は、たとえば「フ-ドビジネス産業界」に求めるものは、家庭では得られない雰囲気の店で、素晴らしいおもてなしを受け、美味しい料理を味わいたいという気持ちがある。「フ-ドビジネス産業界」は、これらのお客様の「要望」を満たし、「お客様」が「感謝・至福・共感」を感じてもらうことを果たさなければならない。

 

  お客様に対するビジネスの未来価値創造の提供

「フードビジネス産業界」の例では「サクセシイブ・カンパニ-」は、不景気であろうと、低価格競争に参入せず、商品や料理ばかりでなくおもてなしの「アップスケ-ル」を行い「ビジネスの未来価値創造」「お客様の未来価値の創造」「個性化の未来価値の創造」を目指さなければならない。

 

  お客様に対する安全・安心・健康の提供

「フ-ドビジネス産業界」の例では、ただ美味しければという時代は終焉(死に臨むこと)し、いままさに栄養のバランスがとれ、健康に良い商品や安全で安心な商品を提供しなければならない時代になっている。

 

  お客様に対しておもてなしと日本文化の提供

わが国の「おもてなし」の評価の高い理由として、茶道、華道、礼儀作法、敬語などがあげられているが、そのなかで「日本文化」として「感謝、謙虚、思いやり、心遣い、親切心、誠実、尊敬、正直」などが存在していることを再認識しなければならない。

 

(2)企業としての社会的役割

 

  社会の公器としての社会的役割

「流通サービス産業界」の例は、「社会の公器(社会のためのもの)としての社会的役割」を認識しなければならない。企業としては、企業が存在することによって雇用の創出、生産者や取引業者にも貢献し、税金を支払うことによって、「社会的役割」を果たすことになる。

 

  地域社会に対しての社会的役割

企業は店、配送所や工場などを建設するので、当然地域住民に対して雇用を提供できるばかりでなく、地域経済の貢献をする。また、「リモートワーク時代」を迎え、郊外や地方に移転する方が増加するにつけ、「流通サービス産業界」の役割は高くなっていく。

 

  人的資源マネジメントとしての社会的役割

企業は「ピ-プル・マネジメント」を志向する限り、企業のマネジメント・パワ-強化のために、「スタッフ」に対する教育訓練を行うことによって、「人的資源マネジメント」としての能力を具備させるので、社会的に大きな貢献に寄与することができる。

 

  ネットワ-クづくりとしての社会的役割

企業は、原材料供給の生産者、取引業者、輸送業者、加工業者や、設計業者、建設業者、情報システム構築業者、広告・販売促進・広報を担当業者などパ-トナ-(partner:仲間)として「ネットワ-ク(network:関連組織)づくり」を果たしていかなければならない。

 

  経済社会活性化としての社会的役割

「流通サービス産業界」は、「お客様参加・共創」と「感謝・至福・共感」による「新しいビジネス・プランを企画開発」し、「流通サービス産業界」に新風を吹き込むことによって、「コロナ・ショック」や「ロシアとウクライナ戦争」の「乱気流とカオス時代」を克服して、「経済社会活性化」の旗頭にならなくてはならない。

 


2023-03-18 16:09:00

ファストフード店のメニューが“見づらく”作られている、納得の理由行動経済学で読み解く

2023年03月15日 08時30分 公開
[スギモトアイITmedia]

 「ファストフード店で注文する際に、自分自身で食べたいものを決めている自信はありますか?」――そんなことを唐突に聞かれたら、おそらく大半の人が「そんなこと、考えたことすらなかった」と回答するだろう。

 では、なぜ今回このような問いを投げたのか。それは、消費者がファストフード店で行う購買選択が、実は企業にそっと誘導された結果によるものかもしれないからだ。

ファストフード店での注文は、企業にそっと誘導された結果によるものかもしれないとしたら?(写真は本文とは関係ありません、提供:ゲッティイメージズより)

 東京大学大学院で行動経済学を教える阿部誠教授はファストフード店のメニュー選びにおいて、消費者は「企業が購入してほしい商品」を無意識的に選択している可能性があると指摘する。なぜそのような事象が発生するのか? ファストフードのメニュー表に張り巡らされた“仕掛け”を行動経済学の観点から読み解いていこう。

意図的に設計された「読みづらいメニュー表」

 無意識的な購買選択を引き起こす要因として阿部氏は「ファストフード店のメニュー表は、企業が売りたい商品を販売しやすくする工夫が凝らされています」と話す。どういうことか。阿部氏によると、各社は単品商品など単価が安いものを探すには見づらく、一方でセット商品など単価が高いものが目に付くようなメニュー表にしているのだという。

 実際にいくつかのファストフード店を回ると、単品商品が見つかりにくく、一方でセット商品が目立つメニュー仕様になっていると感じた。

 本来は自分が頼みたいメニューや予算を優先すべきなのに、メニュー表に誘導されてそれとは反する非合理的な意思決定をしてしまうのはなぜなのだろうか?

 背景には、ファストフード店では直感的に食べたいものを決める「ヒューリスティック処理」が起こりやすいことがあると阿部氏は解説する。

 人間には主に2つの情報処理の方法がある。一つはヒューリスティック処理といい、直感的に「この選択肢が良さそうだ」と決めるやり方だ。情報処理や意思決定を単純化することで、時間短縮や労力の削減につながる。

 もう一つが、システマティック処理だ。ヒューリスティック処理とは対照的で、選択肢ごとの効用を細かく整理し、「どれが一番自分に良いのか?」を考える方法だ。時間はかかるが、個々人の考えに従った正確な答えを導くことができる。入試や商談など、自分の人生や将来に強い影響を及ぼす事柄にはシステマティック処理が適用される傾向にある。

ヒューリスティック処理とシステマティック処理の違いは?(画像:東京大学「淡青」より)

 どちらの処理を選択するかは「その事柄がどれだけ重要で、かつ決断に労力をかけたいか」で決まるという。全ての場面においてシステマティックに最適な判断を下せるのが理想的ではあるものの、時間や労力などわれわれの資源には限りがあるため、適宜これらの処理を使い分けている。

 実際にファストフード店の場合でも、なんとなく来店している人はヒューリスティック処理を実行する一方、来店が楽しみで仕方がなかった人やコストパフォーマンスや栄養バランスなどに強いこだわりを持つ人はシステマティック処理を実行する可能性が高い。

 「昼休憩を有意義に使うために、ファストフードを利用するビジネスパーソンもいるでしょう。その場合、少ない労力で素早く注文する方法としてヒューリスティック処理を行う傾向にあります。もし注文に失敗したとしても金銭的な被害が小さいので『次回、美味しいものが食べられればいいや』と考えるようになります」(阿部氏)

モバイルオーダーではどうなる?

 ここまで、店頭でヒューリスティック処理が起こりやすい理由を説明してきた。では、コロナ禍を機に導入が進んだ「モバイルオーダー」はどうだろうか。整頓されたメニューを誰にも邪魔されることなく見られるので、ノイズが少ないように感じる。果たして、モバイルオーダーでもヒューリスティック処理は働くのだろうか。

 「クーポン表示などの金銭的な施策は、ヒューリスティック処理を引き起こすには有用です。アプリ限定で利用できるクーポンを配布することで、特定の商品が選ばれやすくなります。スマートフォンの普及に伴い、クーポンを配布・利用しやすくなった状況も後押ししています。今後、『あなたへのおすすめメニュー』のように個人の好みに合わせたメニューが提案されるようになってくると、より顧客の意志決定に影響を与えるかもしれません」(阿部氏)

試しにバーガーキングのアプリを取得し、開いたところクーポンが表示された

 では、店頭とアプリではどちらがヒューリスティック処理を誘導しやすいのだろうか。阿部氏は、店頭とアプリで誘導のしやすさは大きく変わるわけではないと話す。

  • 生産性はJavaの3倍、ノンコーディングのアプリ開発で成功した19社の事例

  • 「Windows Server」と「Linux」 2大サーバOSの違いは

  • スマートフォンのポテンシャルを最大化、アプリ内製化から始める現場主導のDX

 例えば、店頭のメニューでは、新商品を大々的に訴求していたり、単品価格よりもセット価格の方がパッと見つけられるように太字で記載されていたりする。一方、アプリでは訴求したいメニューのクーポンをポップアップで表示したり、購入してほしいメニューが目に留まりやすくなるように設計されたりしている。それぞれの利点を生かし、ヒューリスティック処理を起こしやすくしているため、一概に「こちらの方が誘導しやすい」とは言えないのだ。

 企業によっては、一部店舗でタッチパネル注文を取り入れている。タッチパネルからでもヒューリスティック処理を起こすことは可能なのだろうか。阿部氏は次のように持論を展開した。

 「タッチパネルはその性質上、ハンバーガーやドリンクなどの種類別に分類されています。例えば、分類ごとのページの階層が深く、欲しい商品が見つけづらい設計になっていれば、面倒くささからヒューリスティック処理が起こる可能性もあります。階層が複雑になるほど、システマティックな処理が行いにくいからです。そのほかにも、クーポンが表示されたことで、購入しようと思っていた商品ではないものを選んでしまうこともあるでしょう。商品の配置、階層の組み込み方なども企業がバイアスを加えやすいポイントです」(阿部氏)

注文のタッチパネルでもヒューリスティック処理は起こる可能性はあるという(写真はイメージです、提供:ゲッティイメージズ)

消費者に見やすいメニューとは?

 ここまでの話から、企業は消費者に商品を購入してもらうため、さまざまな仕掛けをメニュー表に凝らしていることが分かった。では逆に、消費者にとって「ヒューリスティックな処理が起きにくいメニュー表」、つまり消費者にとって見やすいメニュー表とはどのような形式なのだろうか。

 「理想的なメニュー表は、各商品の特性や機能などの属性を比較し、商品属性を一覧表にまとめたものです。これは、家電量販店などでよく利用されている形式です。比較表なら、情報処理の負荷をより低く抑えられるので、初めて見た人でもすぐに内容を理解し、合理的に処理できるでしょう」(阿部氏)

 ただし、ここまでの話を考えると、消費者にとって見やすいメニュー表は、企業の売り上げを毀損(きそん)するものになりかねない。この点に関して、阿部氏は次のように指摘する。

 「消費者に最適化されたメニューを提示することで、消費者は自身の予算内でより自分にふさわしい商品やサービスを選択できるようになります。短期的には企業の利益が減少したとしても、結果的に顧客満足度の向上、ひいては企業に長期的なメリットをもたらすこともあるでしょう」(阿部氏)

消費者に最適化されたメニューによって、消費者の意思決定は変わるかもしれない(画像:ゲッティイメージズより)

 ファストフードのメニューには私たちが思いもよらないような工夫がなされていた。ただし前述したように、全ての消費者が企業の術中にハマるわけではない。クーポンが適用できるメニューしか注文しない人、単品しか注文しない人、その時々でセットとサイドの組み合わせを決める人など……ヒューリスティック処理からシステマティック処理まで、人によって考え方は変わるだろう。

  • 中堅・中小企業向け、統合脅威管理(UTM)の主要ベンダー一覧表:100~300台クラス

  • 脱クラウドどころか「クラウドを使わない」が有力な選択肢に

 ここまでファストフードのメニュー戦略を見てきたが、街の飲食店のランチメニューを観察していると「Aセット」「Bセット」「Cセット」など3つの価格帯に分けられているのを目にする。

 それは「松竹梅の法則」と呼ばれ、商品を3つの価格帯に分けて展開した場合、多くの人が真ん中の価格帯の商品を購入する傾向にあるという法則だ。なので、一番売りたい商品を中間の価格帯に設定することが好ましいとされている。

 ランチ一つとってもさまざまなマーケティング戦略を学ぶことができる。自社ビジネスに生かせるようなヒントが意外と身近にゴロゴロ転がっているかもしれない。

ファストフード店のメニューが“見づらく”作られている、納得の理由:行動経済学で読み解く(1/3 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン

 


2023-03-18 16:06:00

「故郷の味を日本で」66歳で飲食業挑戦を可能にした埼玉のシェアキッチン

初期費用をかけず、トライアルとして飲食業に挑戦したい人向けにシェアキッチンが注目されているが、その波がガチ中華にも押し寄せている。ガチ中華ブームで都内の池袋や高田馬場、上野などに店舗が増えているものの、これら“一等地”では出店費用がかさみがちだ。シェアキッチン「We Kitchen」は、手持ち資金の少ない飲食店開業希望者を応援しようと埼玉県の蕨(わらび)に昨年オープンした。一つの建物の中に複数のキッチンが設置され、フードデリバリーやテイクアウトを中心に、さまざまなご当地メニューが提供されている。

リスク下げて飲食店に挑戦

We Kitchenは埼玉県のガチ中華のメッカ、西川口から1駅先の蕨駅徒歩数分の場所に位置している。鮮やかな黄緑色の壁に囲まれた店内には中華料理のメニューが貼られ、カウンター席が3席とテーブルが1つ設置されている。

店内にはイートインスペースもある

店内でしばらく待っていると、フードデリバリーの配達員が料理を取りにやってきて、できたての中華料理を受け取った。We Kitchenはフードデリバリーをメインとしながらも店内飲食、テイクアウトもできるようになっている。

オーナーの陳さん(左)と営業部長の望月さん

We Kitchenを経営する陳震さんは中国出身で、20年前に来日し飲食店の経営に長く携わっている。通常、日本で飲食店を開業するには初期費用で数百万円かかる。さらにコロナ禍では人材が確保しにくくなったり緊急事態宣言等で客が入らなくなるなど、飲食店経営のリスクが高まった。先行きが読みにくい状況下でも飲食店を開業したい人は一定数おり、陳さんはそんな人たちをサポートしたいという思いから2022年4月にWe Kitchenをオープンした。

独立したキッチンが9つ設置されている

筆者が留学していた上海では2016年にはすでにフードデリバリーが普及しており、デリバリーに特化したシェアキッチンが登場していた。陳さんは中国で成長していたそのビジネスモデルを日本でも展開することにした。

蕨を選んだのは、フードデリバリーを日常的に使う中国人が多く住んでいるからだ。西川口にはガチ中華の店が多く集まっていて、中国人居住者が多い。また、蕨には外国人の多く暮らす芝園団地があり、団地で暮らすおよそ5000人のうち半数が外国人で、その多くを中国人が占めている。さらに蕨駅の周辺は現在、再開発の真っただ中にある。We Kitchenから徒歩1分の場所では28階建てのマンション兼商業施設が建設中で、駅の周りを歩くと他にも数棟のマンション建設が進んでいた。「今後、さらに蕨周辺は発展し人口が増えると見込まれているので、今から蕨でビジネスをすることはチャンスだと思い都内ではなくあえて蕨を選びました」(陳さん)

蕨にある芝園団地。中華料理店や中華物産店なども出店しており、団地内を歩くと中国語も聞こえてくる。

We Kitchenは出店する店舗から月額のキッチン利用費と売り上げの一部を管理費として受け取り、キッチンの貸し出しとフードデリバリーの出店サポートや配達の引き渡しなどの管理業務を行なっている。営業部長の望月昭宇さんは「We Kitchenでは独立キッチンにガスや水道も用意されているので、早ければ契約後から1ヶ月ほどで出店することが可能です。自分の店を持ちたいけれど、いきなり多額の投資をして出店するのはリスクが高いと感じる人が、自分の料理が通用するか試したいという思いで契約されるケースが多いです」と語る。

店の外の看板。出店企業を募集していた

日本人の店も入居

キッチンは9区画。2月末時点でそのうち5つが埋まっており、4店舗は中華料理を提供する店だ。マーラータンに小籠包、羊肉スープ、羊肉串、もみじの冷菜など小吃(軽食)を中心に魅力的なガチ中華のメニューが並ぶ。日本人が経営する店舗も1店入店しており、カレーやハンバーグなどを提供していた。飲食店の開業に必要な食品衛生責任者の許可や、営業許可はWe Kitchenに出店しているそれぞれの店舗が取得しているという。

2022年12月からWe Kitchenに入店している「高さんの食堂」のオーナーの高さんは出店している店舗で最高齢の66歳だ(20代から60代まで幅広い世代が入店している)。「We Kitchenは実店舗を開くよりも手続きがしやすく、初期費用が安かったのが魅力的でした。日本に来てから30年以上経っていて、スマートフォンの設定などは自分でできないことも多いのでフードデリバリーの出店登録の代行を手伝ってくれることもありがたいです」と話す。

シェアキッチンの1区画で調理をする高さん。筆者が頼んだ桂林米粉を作っている。

高さんの出身地である広西チワン族自治区の郷土料理である桂林米粉を注文してみた。米線(ライスヌードル)や煮込み牛肉、酸豆角(発酵ササゲ)などは全て自家製で作っているそうだ。米線が隠れるほどたっぷりのった牛肉はスパイスが染み込んでいて柔らかく、発酵唐辛子のソースの辛さがピリリと効いていてツルりとした食感が特徴的な米粉とよく合う。広西チワン族自治区の料理を始め、各店のオーナーが作るいろいろな種類のガチ中華が食べられるのもシェアキッチンだからこそのメリットだろう。店内で食事をしていた20代の中国人カップルは「電車で数駅の場所に住んでいるのでよく食べに来ます。マーラータンがとても美味しくて故郷の遼寧省で食べていたのを思い出します」と話してくれた。

桂林米粉

望月さんによると店内で飲食する客もいるものの席数が少ないため、売り上げの多くを占めるのはフードデリバリーでの注文だそうだ。We Kitchenがある蕨エリアは日本人ユーザーが多いUber Eatsや出前館、menu、Woltに加え、中国系フードデリバリーアプリのHungry PandaやHAYAなど6つのフードデリバリーアプリの配達圏内だ。6つのプラットフォームに出店できることも客の目に留まる機会の増加につながっている。

中国国内ではもはや無くてはならない存在になったフードデリバリー。配送料や手数料が高い日本でも変わらず利用する中国人に豊かさを感じてしまうが、その影響もあって日本に暮らす中国人向けのデリバリーサービスやデリバリーに特化したシェアキッチンが登場しているのだ。今後、フードデリバリー特化型のシェアキッチンは都内でも増えていくかもしれない。

(作者:阿生)

「故郷の味を日本で」66歳で飲食業挑戦を可能にした埼玉のシェアキッチン | 36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

 


1