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今回は、菅野寛がボストン・コンサルティグ・グループ時代に執筆した「BCG流経営者はこう育てる」についてご紹介しよう。
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[9]BCG流経営者はこう育てる(1)
第1部 経営者スキルセット
[1]経営者の時代
(1)真の経営者が求められる時代に
今日ほど、日本企業に真の経営者が強く求められる時代はない。事業環境が様変わりし、経営者の善し悪しで企業の浮沈が決まる時代になったからだ。
(事業環境の変化と経営者の要件)
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戦後~1990年頃 |
1990年頃~現在 |
事業環境 ・経済 ・競争 ・規制 ・ガバナンス ・貨幣価値 |
成長 ロ-カル 産業保護 不在(株式持ち合い) インフレ |
成熟 グロ-バル 緩和 真の株主主権へ デフレ |
経営への示唆
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経営不在でもそこそこ成長 ・みんなで渡れば怖くない ・「モーレツ」に頑張ればそこそこのリタ-ンあり ・儲からなくても「含み資産」でカバ- |
経営不在の企業はつぶれる ・みんなと同じことをやっていてはつぶれる ・頑張りだけではつぶれる
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経営者の要件
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サラリ-マン社長でも企業運営が可能
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真の経営者が求められる時代へ ・事業の選択と集中 ・苦しい選択/意思決定 |
(2)真の経営者になるために
経営者に必要なものは、先天的な「資質」でなく、「後天的に訓練によって習得できる能力や技能」である。
(3)経営者に必要なスキルは習得可能
◎ドラッカ-(プロフェッショナルの条件)
「私は、生花をあげる人間のタイプなどというものは存在しないことはかなり前に気づいた。私が知っている成果をあげる人たちは、その気性や能力、仕事や仕事の方法、正確や知識や関心において千差万別だった。」
「(これらの成果をあげる人々の)共通点は、なすべきことを成し遂げる能力をもっていたことだけだった」
●経営者は、環境に応じて、スキルセットのなかから部分集合として必要なスキルを取り出して組み合わせて使っている。その結果として、表面的には、単一の行動パタ-ンは存在しないため、千差万別に見える。
●スキルセットは、環境に応じて使い分けられるため、表面的には異なるように見える行動パタ-ンと、どの
ような環境においても必要な共通スキル、あるいは、他のスキルを生み出すための厳選になっている根源的なスキルに構造化できる。
◎ドラッカ-(プロフェッショナルの条件)
「それは習得できる能力である」
「成果をあげる人に共通しているのは、自らの能力や存在を成果に結びつけるうえで必要とされる習慣的な力である」
「成果をあげることは一つの習慣である。習慣的な能力の結果である」
「普通の人であれば並みの能力は身につけられる。卓越することはできないかもしれない。卓越するには、特別の才能が必要だからである。だが、生花をあげるには、生花をあげるための並みの能力で十分である」
稲盛和夫
「先天的に向いていなくても、事業をさらに大きくし、立派な経営者に成長する方も多い。どんな方が経営者として脱皮できるか。
一つは、自分が本当に経営者の器だろうか、と真剣に悩む謙虚さを持つ人。もう一つは、たちえ自分がその器でなくても、スタッフを路頭に迷わせてはいけない、歯をくいしばっても会社の業績を上げないといけない、という責任感を持つ人です。
この謙虚さと責任感があれば、先天的に経営者として脂質がなくても、何が自分に欠けているのかを必死に考えるようになります。何が欠けているかがわかれば、それを死ぬ気で習得するようになります。結果として、その人は優秀な経営者になるんです」
●高原慶一朗
だれに強制されなくても、自らの“内なる欲求”によって永遠に日々、自己革新を続ける人であれば」
●柳井正
「あまりにも心の弱い人は向いていないけど、みんなが考えるほど経営者に向いている人の幅は狭くない、100mを9秒9で走るためには超人的な才能がないといけないが、凡人がやって自分の長所を生かし、短所を克服していくことでやっていけるのが経営です。だから普通の人間だけでチ-ムをつくっても立派な経営はできる」