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2015-09-30 13:20:00

肥満問題に立ち向 2015 年8月 26 日、ニューヨーク康な住民が暮らすニューヨーク「Our Voice NYC 1」キャンペーンをとともに、ニューヨーク市1.ニューヨーク市が目指今、ニューヨーク市におけるそしてその中で最も割合が住むアフリカ系アメリカ人彼らの暮らす環境が大きくパートナーシップ事業においてを支援しています。同事業生活」そして「未成年の飲酒において皆で協力しながら満や生活習慣を原因とする住民が暮らす街にしていこうと2.不健康な飲食料品にそのパートナーシップ事業われたものが「Our Voice NYC ャンペーンです。去る8月ニューヨークの多くの若者バスに乗り、ブルックリンにあるロンクスのヤンキースタジアン内ハーレムのアダム・クレイトン・パウエルプラザ、そしてタイムズスクエアの多く摂取すると健康を害するーストフードのような食べものやさらにそれらの摂取を促す性を、道行く若者に訴えてが巡った中には、前述のラテンやアフリカ系アメリカ人が含まれていますが、そこではうな不健康な飲食料品について少期から摂取量が多い上に 1 Our Vioce NYC http://healthiernyc.org/ (CLAIR メールマガジン向かう!~ニューヨーク市の現状とニューヨークニューヨーク市保健衛生局は、2012 年かららすニューヨーク市を作るためのパートナーシップ事業のキャンペーンを行いました。今回、その様子についてお市における肥満問題の現状と取り組みに注目します目指す、健康な住民が暮らす街づくりにおける公立学校の生徒の5人に1人が、肥満であるといいますが高い人種がラテン系アメリカ人です。さらに人の3分の1が高血圧であるといいます。これらのきく影響していると考えられており、ニューヨークにおいて、地域コミュニティにおける草の根の環境同事業では、「健康的な食事」、「活動的な暮らし飲酒の減少」の4つのポイントに焦点を当て、しながら健康的な生活を目指すことで、ニューヨークとする心臓病やがん、高血圧や糖尿病といった病気にしていこうと試みています。に No!「Our Voice NYC」事業の一環として行 Our Voice NYC」というキ月 26 日、10 代の若者たちが、2階建てブルックリンにある区会館、ブヤンキースタジアム、マンハッタムのアダム・クレイトン・パウエそしてタイムズスクエアの順に、する恐れのあるファべものや甘味飲料、す過剰な広告の危険えて回りました。彼らのラテン系アメリカ人が多く暮らす地域がそこでは、先に述べたよについて、そもそも幼に、安さと量を売り http://healthiernyc.org/ 甘味飲料の危険性をメールマガジン 2015 年9月配信)と取り組み~ニューヨーク事務所から継続している、健の一環として、についてお伝えするします。であるといいます。さらに、ニューヨークにこれらの背景として、ニューヨーク市は、前述した環境改善の取り組みらし」、「喫煙しない、地域コミュニティニューヨーク市全体として、肥病気を減らし、健康なhttp://www.clair.or.jp/j/forum/c_mailmagazine/20150929/126-5.pdf

 (CLAIR メールマガジン 2015 年9月配信)にする一部の企業がその地域における宣伝広告を拡大しているといった現状があります。当日「Our Voice NYC」に参加した若者たちは、現場での呼びかけの他にも「#Soda Kills」を合言葉に、Twitter や Facebook といった SNS で運動や主張を拡散し、より多くの人々に訴えかけました。3.スナック菓子は一食になる? 不健康な食事といえば、市場調査会社である NPD が行ったオンライン調査2によると、 2014 年に、普段1人で食事をするアメリカ人が、スナック菓子を食事代わりに食べた回数は 191 回だとの結果が出ました。これは、ファーストフード店で付け合わせに出るようなポテトチップスも含み、またスナック菓子の種類を問わないものですが、1日3食きちんと食べたと考えて、約5食に1食は、スナック菓子を食事とみなして食べていることになります。この結果を受けて NPD は、単身者が増えていることが一因ではないかと考察しています。単身者は、料理をするのが面倒だったり、食料品を買いすぎて使い切れなくなったりする、これがスナック菓子を購入してしまう一つの要因となっている、と管理栄養士の Jill Weisenberger 3氏も話します。さらに、アメリカ人の一日平均摂取カロリーの 25%は、スナック菓子によるものという調査結果も出ていますが、Weisenberger 氏は、それで栄養が十分に取れるならば良いが、たいていはそうではない、栄養価についてももっと関心を持つべきだ、と続けました。「アメリカは、間食の仕方が最も悪い国の一つである。」調査団体ニールセンが2014年に 60 カ国を対象に行ったこの調査によると、ヨーロッパや中東、アフリカでは新鮮な果物、南米ではヨーグルトがそれぞれ間食として一番よく食べられるものとなっていますが、アメリカにおいては、想像が付くかもしれませんが、1位はポテトチップスでした。 Weisenberger 氏は、間食をする前にこう自問自答すべきだといいます。「今日摂取すべきもので足りないものは何か。それが今食べるべきものだ。」4.筆者の見た、感じたニューヨークニューヨーク市では、今年3月に決定された、市の認可を受けたデイケアセンターにおける、2歳未満の幼児にジュースを与えることの禁止や、既に行われている飲食料品へのカロリー表示の義務化など、既にご紹介した以外にも様々な角度から肥満対策が行われています。また、今年6月には FDA(米国食品医薬品庁)が、マーガリンやショートニングなどに多く含まれる、脂質を構成する脂肪酸の一種である「トランス脂肪酸4」に関する使用規制を 2018 年6月から開始すると発表しました。WHO(世界保健機関)では、心血管系疾患のリスクを低減し、健康を増進するための目標として、トランス脂肪酸の平均摂取量の基準を掲げていますが、アメリカの平均摂取量はこれを大きく上回っているためです。 2Lonely, single people are being blamed for America’s snacking frenzy http://www.marketwatch.com/story/blame-these-people-for-americas-snackingfrenzy-2015-08-12 3Jill Weisenberger 氏のウェブサイト http://jillweisenberger.com/ 4 農林水産省ウェブサイト「すぐにわかるトランス脂肪酸」 http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_wakaru/ (CLAIR メールマガジン 2015 年9月配信)既にトランス脂肪酸が含まれていないことを積極的に示すデリ(お惣菜屋)のメニュー表示先ほどの「約5食に1食は、スナック菓子を食事とみなして食べている」という結果に対して、単身者の1人として筆者も、仕事で帰宅が遅くなった日は、チョコレートやクッキーをかじるという習慣があるため、頻度としてはそれほど多いと思いませんでした。しかし、筆者がニューヨークに赴任して約半年が経とうとしていますが、奇妙な色や味のする飲料や、明らかに不健康になりそうな甘さのお菓子、日本人にとっては味が濃すぎる食べ物に出会うことが多く、また、現地の方々がそれらを食べているのを見たり、スーパーで売っているものを見ても、量がとにかく多いです。また、サラダのように一見すると健康的なメニューについても、ドレッシングがかかりすぎていたり、チーズがたくさん入っていたり、栄養が偏っています。やはり、肥満の主要な原因は、日々の環境にあると感じざるを得ません。日本では幸いなことに、前述したトランス脂肪酸の平均摂取率は WHO 目標値を大きく下回っており、また全体的な肥満率についても、男女共に年々高くなってきているというような問題もありませんが、一方で子供の肥満5が増加しているという現状もあり、「食と健康」という生きるためには切り離せないテーマを考えるにあたり、今回ご紹介した肥満問題を他人事には思えないところはあるでしょう。Weisenberger 氏のおっしゃるとおり、自問自答しながら、自身の食事や間食について考えていかねばならない、と体重計に乗りながら自省の念に駆られる筆者でした。(丸野所長補佐 和歌山県派遣)

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2015-09-30 13:19:00

(CLAIR メールマガジン 2015 年9月配信)市がおいしい水をPR!ニューヨークの水道事情ニューヨーク事務所 8 月 3 日、東京都水道局の方が当事務所を訪問されました。これは、ニューヨーク市における水道事業全般や、ニューヨーク市が夏季に実施する水道水を飲もうというキャンペーン「Water On the Go」を調査・視察されるためで、当事務所職員にも、一住民として水道水のイメージや普段飲む水などについて聞き取りをされました。これに関連して、ニューヨーク市の水道水について、所感も交えて報告いたします。 1.安全でおいしい水道水をPR東京都水道局の方の話によると、アメリカでは、地域によって基準は異なりますが、概ね日本と同程度、またはそれ以上に厳しい水質検査をした水を提供しているそうで、ニューヨーク市でも、安心しておいしい水を飲むことが可能だということです。また、アメリカでも地域により異なりますが、ニューヨークでは、日本の多くの地域と同じく軟水を供給しています。水道水をPRするニューヨーク市水道局のホームページにそのメリットが書かれていますが、簡単にまとめると以下のようになります 1。ニューヨークの水はおいしい上に、・ヘルシーである (ゼロカロリー、無糖で脂肪もない)・経済的である (ミネラルウォーターよりも安い)・環境に優しい (ペットボトルは資源を消費している)・便利である (蛇口をひねればすぐに飲める)とはいえ、日本でもそうですが、多くの人には「都会の水道水はおいしくない、安全でない」というイメージがあるのではないでしょうか。そこで、ニューヨーク市が行っているのが「Water On the Go」キャンペーンです。夏のニューヨークでは、週末を中心に街中で様々なイベントをしていて、観光客も含めて多くの人、自転車が街歩きを楽しんでいます。そんな人が集まる場所に上の写真のような仮設の水飲み場が設けられ、誰でも水を飲めるようにしています。 1 http://www.nyc.gov/html/dep/html/drinking_water/wotg.shtml

(CLAIR メールマガジン 2015 年9月配信)筆者が街中で水飲み場を見た際にも、次々と人が訪れ、水を飲んだり手や顔を洗ったり、ボトルに水をくんだりしていました。ちなみに、犬を連れている人がとても多いニューヨークらしく、犬用のお皿もちゃんと用意されています。また、これとは違うイベントになりますが、市庁舎前では、広場にデッキチェアが並べられ、噴水では子供だけでなく大人まで水浴びをするなどビーチ気分を味わっていました。さらには、大きなウォータースライダーまで設置し、水着の人々が水に親しんでいたのも、非常にアメリカらしいと感じました。2.水道の問題点このように、安全性をPRしているニューヨークの水道水ですが、心配なニュースもあります。7月中旬以降、ヤンキースタジアムがあるブロンクスを中心に、レジオネラ菌感染者が相次いだというものです。感染者は 100 人を越えた上、死者も 10 人以上出ました。周辺の調査を行ったところ、レジオネラ菌が発見された建物には、ホテルや病院も含まれていました。原因は、建物内の給水設備にあるのではないかといわれています。市の水道水はきちんと検査をされていても、残念ながら、各建物内の設備には安全基準がなく、水質調査をされているわけではありません。実は、筆者自身、赴任当初から、歯磨きなどの際アパートの水に違和感を感じることが度々あり、アパートの給水設備の安全性に疑問を感じていたので、改めて話を聞いて、「やはり」という気持ちでした。レジオネラ菌の感染例は珍しいものではなく、日本でも毎年発生しています。また、菌があっても症状が軽く気付かないまま回復するケースもあるようですが、生きていく上で欠かせない水に関することであるため、集団発生といわれるとどうしても不安になります。なお、当事務所の給湯室の水については、東京都の方が訪問された際に検査して下さり、「安全です」と保証していただきました。 3.一住民として今回東京都水道局の方と話をする中で、ニューヨーク市の水道管からダイレクトに飲める水は安全であることを知りました。逆にペットボトルの水の方が検査基準が緩いそうで、決して水道水より安全ではなく、当事務所にも、「最近明らかにおかしな味のするペットボトルがあった」という職員がいました。とはいえ、通常、水道水はビルなど建物の設備を通して使わざるを得ないので、何を飲むのが正解なのか、結局悩みは残ったところです。日系の情報誌、NY ジャピオンによると、今回の集団感染への対策として、ニューヨーク州では、市とも協議の上、原因ではないかといわれている冷却塔の定期検査・点検を義街中にウォータースライダーが登場!左はよくみかける給水設備右手の高い建物は新世界貿易センタービル(CLAIR メールマガジン務付ける規制を導入し、早速、者に届出を義務付けたようです今後、行政の対応の結果がどうなるていきたいと思います。ニューヨークのビルの屋上には水タンクが設置されているのをよく見た目には風情があり、雑貨のモチーフなどでも使われているのですが、この風景安心、安全でおいしい水道水がします。(椋本所長補佐 島根県松江市給水設備新しいセンタービルメールマガジン 2015 年9月配信)、30 日以内に所有す。一住民としては、がどうなるのか、注目しには、古めかしい給されているのをよく見かけます。のモチーフなどでも風景が保たれつつ、が使えることを期待島根県松江市派遣)

http://www.clair.or.jp/j/forum/c_mailmagazine/20150929/126-4.pdf

 

 


2015-09-30 13:18:00

(CLAIR メールマガジン 2015 年9月配信) 1 インバウンド大国フランスの実情パリ事務所 ■夏のパリは人の大移動7月14日の祝日が過ぎた頃から8月の初旬にかけ、パリで働いたり住んでいる人たちは本格的にバカンスへと旅立ちます。と同時に、フランスの地方に住む人やEUそして世界中の人々がパリを訪れる時期でもあります。したがって、この時期は当事務所近辺でも頻繁に英語を耳にするようになり、また、日本人観光客の方々もよく見かけるようになります。フランス人の4人に3人は旅行に出かけ、それも7月8月が多く、一方、フランスを訪れる日本人旅行者数は年間68万2千人(2013年)で、出国日本人数は例年8月が特に多いことなども考えると、この光景は不思議なことではありません。 ■インバウンド大国フランス 6 月、UNWTO(世界観光機関)の「Tourism Highlights 2015 Edition」が発表されました。これによりますと、2014 年の外国人訪問者数(①)はフランスが最も多く 8,370 万人(日本:1,340 万人、22 位)となっており、少なくとも 30 年以上不動の地位のようです。また ICCA(国際会議協会)が 5 月に発表した「Statistics Report 2014」では、2014 年の都市別国際会議開催回数(暫定値)でパリが 214 件で 1 位(東京:90 件、22 位)、同月世界経済フォーラムが発表した「Travel and Tourism Competitiveness Report 2015」では、旅行・観光競争力ランキング(③)でフランスは 2 位(日本:9 位)となっており、同国は間違いなく世界屈指の「旅行者が集まる国」「旅行者を集めるのが得意な国」であることが分かります。 ■ではフランスは世界一かしかしながら、この国にもジレンマはあるようで、外務・国際開発省のローラン・ファビウス大臣は、本年6月に、自らが座長を努める政府の観光振興評議会の最終報告書を受け取った際、「観光は我が国の宝であるが、その一方で矛盾に陥っている。」とコメントしています。このコメントの意味は、上記の統計資料の別の部分に目を移せばうかがうことができます。まず、「Tourism Highlights 2015 Edition」の 2014 年の国際観光収入(②)では、フランスは 4 位(長年2位でしたが 3 位になり、今回さらに順位を下げました。)であり、また、「Statistics Report 2014」の国別国際会議開催回数(④)では、フランスは 5 位となっており、世界トップクラスのインバウンド大国には違いないものの、少なくとも統計上は世界一と言うには無理がある状況のようです。

(CLAIR メールマガジン 2015 年9月配信) 2 ①外国人訪問客数(2014 年) ②国際観光収入(2014 年)順位 (百万人) 前年順位 順位 (US ドル) 前年順位1フランス 83.7 1 1アメリカ合衆国 177.2 1 2アメリカ合衆国 74.8 2 2スペイン 65.2 2 3スペイン 65.0 3 3中国 56.9 5 4中国 55.6 4 4フランス 55.4 3 5イタリア 48.6 5 5マカオ(中国) 50.8 4 ③旅行・観光競争力(2015 年) ④国際会議開催回数(2014 年)順位 (指数) 前回順位 順位 (件数) 前年順位1スペイン 5.31 4 1アメリカ合衆国 831 1 2フランス 5.24 7 2ドイツ 659 2 3ドイツ 5.22 2 3スペイン 578 3 4アメリカ合衆国 5.12 6 4イギリス 543 5 5イギリス 5.12 5 5フランス 533 4 ①②「UNWTO Tourism Highlights 2015Edition」のデータ(2015 年 6 月時点の暫定値)を元に作成。 ③「World Economic Forum Travel and Tourism Competitiveness Report 2015」及び前回発表の同データを元に作成。指数は世界経済フォーラム独自の評価基準(年により変わる)を数値化したもの。 ④「ICCA Statistics Report 2014」及び同 2013 のデータを元に作成。 ■ライバルは近くにいるそれでは、フランスを上回るインバウンド大国とはどこなのでしょうか?まず、国際観光収入では、アメリカ合衆国がフランスの3倍以上の差をつけて1位、アメリカに大きく差は開けられているものの2位がスペインとなっています。国別国際会議開催件数でも、アメリカは他を大きく引き離し1位、以下ドイツ、スペイン、イギリスと続きます。また、旅行・観光競争力ランキングでは、スペインが1位となっており、フランスのライバルはヨーロッパで、特にスペインには少し先を越されてしまっている感があります。ファビウス大臣も「フランスはスペインよりも30%訪問者が多いにもかかわらず、収入はスペインが10%上回っている。これはスペインの方が滞在期間が長いためである。わが国の場合、パリには多くの旅行者が来るが、地方に滞在する期間はとても短い。」とコメントしています。(CLAIR メールマガジン 2015 年9月配信) 3 ■中国は大事なお客様であり強力なライバルでもあるちなみに、わが国のインバウンド政策にとって重要な位置を占める中国人旅行者ですが、フランスにおいてもこれは同じことです。2013年にフランスを訪れた中国人旅行者は 172万人(暫定値)、日本の3倍に迫る数字となっています。オペラ座横の観光施設前。出勤時、ほぼ毎日中国人の団体観光客が入場を待つ様子を見かける。しかし、同時に中国はインバウンド大国としての地位も築きつつあります。外国人訪問者数では4位、国際観光収入ではついにフランスを抜いて3位、シェアを見た場合、外国人訪問者数では1980年には全体の1.2%だったのに対し、2013年は5.1%(フランス:10.6%→7.8%)となり、国際観光収入では1980年には全体の0.6%だったのに対し、2013年は4.3%(フランス:8.0%→4.7%)となり、フランスはもとよりどの国にとっても驚異的な存在です。 ■新たな戦略で巻き返しを図るかこのような現状に危機感を抱いたフランスは、年間外国人訪問者数を1億人に増やして同国が世界一の観光大国になるための戦略を立てようと、2013年からファビウス大臣の下に関係者が参画して会議を重ね、2014年6月に30に及ぶ具体的な方策を発表しました。この後、観光振興評議会の会合が繰り返され、前述のとおり、本年6月に最終報告書が取りまとめられました。「シャルル・ド・ゴール空港(フランス・パリの一番の玄関口である国際空港。)での訪問者受け入れの向上」「パリ-シャルル・ド・ゴール空港間の特急の整備、バス及びタクシー専用レーンの設置、定額タクシーの導入」「観光地の安全強化」「特定区域内商業施設の日曜日営業」「中国人観光客向けショートメッセージサービスの導入」「空港など観光で利用される場所でのWi-Fi無料化」など40に及ぶ提案が盛り込まれた最終報告書を確認したファビウス大臣は、第2の局面として、特に、デジタル技術、受け入れ、育成、投資の4分野で観光業を支援していくと述べました。一連の提案の中でも特に興味深いのは、「『ワインツーリズム』『山のツーリズム』『エコツーリズム』と、フランスが強みを持つ明確なテーマを持ったツーリズムを国際的に売り出していく」「フランス全土の観光目的地の認知度を向上させるため、20のエリアを選定して国際的に地方の存在を強調していく」という項目です。効率的な国際観光収入の増につなげるため、多くの外国人訪問者にフランスの地方に足を伸ばしてもらい滞在日数を(CLAIR メールマガジン 2015 年9月配信) 4 延ばすことが狙いということなのでしょう。 2012年に10億人を越えた全世界の海外旅行者数は、2030年には18億人に達すると見込まれていますが、日本に来る旅行者数が何も手を打たなくても増えることを意味しているわけではありません。日本においても、訪日外国人訪問者はいわゆるゴールデンルートに集中した観光がメインとなっており、国は魅力的な訪問地が日本全国にあることをいかに国際的にアピールしていくか、地方は地方の魅力をいかに発信して訪日外国人訪問者を地元に引き入れるかが課題となっています。フランスなど共通の課題を持つ国の今後の取り組みを参考にしつつ、引き続き国と地方自治体が協力して取り組む必要がありそうです。その他の参考データ:Direction Génerale des Entreprises「Le 4Pages de la DGE N゜ 45 Juillet 2015」及び「Mémento du Tourisme Edition 2014」日本政府観光局(JNTO)プレスリリース GOUVERNEMENT.frウェブページ(田中所長補佐 奈良県派遣)

http://www.clair.or.jp/j/forum/c_mailmagazine/20150929/126-1.pdf

 


2015-09-30 13:16:00

中国  2015/09/29(火曜日)
大連で日本商品展覧会、各地の特産品などPR[経済]

遼寧省大連市で25~27の3日間、大連市政府と中国国際貿易促進委員会が主催する「大連日本商品展覧会」が開かれた。日本の自治体や日系企業約200社・団体が商品やサービスをPRし、会場は多くの市民や事業者でにぎわった。

清酒「初日の出」を手掛ける羽田酒造(京都市右京区)は、中国市場での代理店を探すため出展。手造りにこだわった地酒を京都の料亭などに卸しているが、国内市場は縮小傾向にある。水谷憲郎社外取締役は「本物の良い日本酒を海外の人にも知ってもらいたい」と期待を込めた。

茨城県は伝統工芸の笠間焼などを紹介。県企業が中国で栽培しているサツマイモを使った焼き芋も飛ぶように売れた。「大連の人たちは日本に対するイメージが良く、消費意欲も強い」と県上海事務所の前田俊博副所長。今後も中国北部の市場開拓に力を入れていく構えだ。

新潟県のブースでは、特産のキッチン用品を買い求める市民が列を作った。毎年出展している県大連経済事務所の渡辺慎一所長は「この2~3年で県産品の中国販売が大きく伸びている。品質の良さが認知され、割高感がなくなった」と指摘する。

大連日本商品展覧会は今年で7回目。日中関係の悪化で中止した2012年を除き、08年から毎年開催している。地元政府が日本に特化した見本市を開催するのは親日的な大連ならではで、今年は3日間で延べ4万人近くが会場を訪れた。



<大連>

 

2015-09-30 13:14:00

深層中国 ~巨大市場の底流を読む 第71回レストランは中国人の結節点~景気低迷の中、外食産業が盛り上がる理由

経営・戦略 田中 信彦 2015年09月25日

 最近、上海で週末の夜に友人たちと食事をしようと思っても、まともなレストランが全然取れない。仕方がないので、先着順で案内するタイプの店に誰かを先に派遣し、順番待ちをさせることがよくある。こんなことは以前にはなかった。 

 株価の暴落や人民元の切り下げ、天津の倉庫大爆発など、このところ中国にはあまり良いニュースがないが、一歩街に出てみれば、レストランは大賑わいである。政府の「ぜいたく禁止令」で高級店は大打撃だが、代わりに都市部の中産階級を主要なターゲットにした店がどんどんできて、新たな隆盛の時代に入りつつある。今回はこの外食産業の新たな盛り上がりの背景にどんな変化があるのか、そのあたりを考えたい。

グッチが世界初のレストランをオープン

 上海の旧フランス租界のメインストリート・淮海路にあるショッピングモール「iapm (アイエーピーエム、上海環貿購物中心)」に今年7月、高級ブランドのグッチがレストランをオープンした。グッチは欧州や日本でカフェを運営しているが、フルサービスのレストランは世界初という。「1921 Gucci」(1921年はグッチの創業年)という名称で、面積約600平方メートル。料理はトスカーナ風のイタリア料理で、メニューや食器、ナプキンまでグッチのロゴが入っている。こう聞くと、おそろしく高い店ではないかと思うが、そうではなく、客単価はランチが150元(約3000円)、ディナーで400元(同8000円)ぐらい。価格設定からもわかるように、比較的カジュアルなイメージでこの店を打ち出している。 

 狙いは明らかで、落ち込みがひどい高級品市場から、より将来性のある新しい都市部の中間層に視線を転じ、「ワンランク上のおしゃれな生活」を発信しようということだ。中国の消費というと、高級品のぜいたく消費か、低価格品の安物市場かの二極分化と長いこといわれてきたが、世界のトップブランドはすでに次の新しい市場にターゲットを定めている。

2分歩くごとに一軒の飲食店

 中国レストラン協会が発表した「2015年中国餐飲(飲食) 業年度報告」によると、中国の外食産業の売上高は、27兆8600億元(約55兆円)で、日本のほぼ2倍強の規模。景気低迷と政府の「ぜいたく禁止令」の影響で、2012年以降低迷が続いていたが、2014年には対前年比9.7%の伸びと、明らかに復調してきた。それでも高級飲食店だけを見れば、まだ対前年比マイナス6.0%と落ち込みは止まっておらず、そのぶん中低価格帯の大衆飲食店の比率が高まって、消費額全体に占める大衆飲食店の比率が8割を超えた。 

 中国最大の商業都市である上海には、現在6万5000軒の飲食店があり、総売上高は2兆円を超え、2000万人の人口のうち100万人が飲食業関連で働いている。市内だけで売上高20億円超の外食企業が50社以上あり、飲食店チェーンのブランドだけで2000を超えると同報告は伝える。平均すると、2分歩くごとに1軒の飲食店がある計算になるという。 

 特に成長が著しいのが大型ショッピングモール内の飲食店で、上海市における過去6年の外食産業の売上高伸び率は平均約8%だが、ショッピングモール内の飲食店だけを取れば、売上高はこの間、平均24.9%増と3倍近いスピードで成長している。グッチのレストランがある「iapm」も飲食に力を入れている代表的なショッピングモールのひとつだ。中国のショッピングモールは午後10時閉店のところが多いが、「iapm」は午後11時まで営業、これもより都会的なライフスタイルの若い層を取り込む戦略への転換を表したものといえる。




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