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2022-11-12 17:01:00

キャンセル待ちが約8000人! レンジで「チン!するレストラン」がここまで話題を集めたワケアイスと冷凍食品が食べ放題

2022年11月09日 07時30分 公開
[大村果歩ITmedia]

 総合食品商社の日本アクセス(東京都品川区)は、冷凍食品とアイスクリームが食べ放題の「チン!するレストラン」を10月8~23日の期間限定で開業した。イベントは非常に好評で、2日目にはチケット完売、キャンセル待ちは7000~8000人と、多くの人からの関心を集めた。チン!するレストランはなぜここまで話題になったのか。

レンジキャンセル待ちが約8000人! レンジで「チン!するレストラン」がここまで話題を集めたワケ

チン!するレストラン

 イベントを主催した日本アクセスは食品の卸売業を手掛けている。低温の物流に強みを持ち、チルド品や冷凍食品を幅広く扱っている。同社は2013年から冷凍食品・アイスクリームの人気ナンバーワンを決める「フローズン・アワード」を開催。フローズン業界全体の活性化を目指し、冷凍食品・アイスクリームの魅力を広く発信し、公式サイトでは各商品のこだわりや開発の思いを動画で配信している。

レンジフローズン・アワード(公式Webサイト)

 チン!するレストランは、フローズンアワード10周年を記念して開催した。冷凍食品を実際に食べてもらう機会を提供することで、商品のおいしさや安全性を訴求する狙いだ。フローズン・アワードにエントリーしている商品を中心に、スーパーですぐ手に取ってもらえる定番品など約200種類の冷凍食品、アイスクリームをそろえた。商品は全て食べ放題で、客自身が店内の冷凍庫から商品を選び、レンジで温めて食べるスタイルを採用した。

レンジ店内マップ(公式Webサイト)

 会場はヨドバシAkiba(東京都千代田区)8階レストラン街のイートインスペース。レンジは全部で10台用意し、1人2台まで利用可能とした。午前11~午後5時はランチタイムで90分制、午後5~9時まではディナータイムで120分制。料金はランチタイム1人1500円、ディナータイムは2500円、小学生以下は無料、中高生は半額とした。

レンジ料金(公式Webサイト)

 冷凍食品とアイスしか提供しない――かなり大胆な企画だが、どのような経緯でチン!するレストランを開催することになったのか。マーケティング部長の今津達也さんに話を聞いた。

キーワードは「セルフ」「食べ放題」

――チン!するレストランを開催した狙いを教えてください。

今津: 冷凍食品は便利でおいしいと評価してもらっている一方で、「保存料が入っているのではないか」「体に悪いのではないか」など、敬遠している方も一定数いるという課題がありました。独自で調査したところ、1年間で冷凍食品を購入している人は全体の約4割で、残り6割は冷凍食品を購入していないというデータも明らかになっています。

 しかし実際は、冷凍食品には保存料が一切入っておらず、安全な食品です。メーカー様の努力もあり、味もどんどんおいしくなってきています。冷凍食品に対して正しい認識を持ってもらうための啓もう活動として、冷凍食品・アイスの人気投票を行うフローズンアワードを開催したり、冷凍食品の魅力を紹介するマンガを制作したりしてきました。情報だけで伝えるのではなく、実際に食べて理解してもらう機会を提供したいと考え、開催に至りました。コロナ禍で試食の機会がなくなっていたため、いろいろな種類の商品を試せる場を目指しました。

レンジ冷凍食品の魅力を発信する場として提供
レンジヨドバシ Akibaで開催(プレスリリース)

――ただの試食会ではなく、「レストラン」としてイベントを実施した狙いを教えてください。

今津: 現在はできていませんが、コロナ前はお客さまに商品を食べていただく機会は店頭での試食しかなかったため、そうではない新しい場を作りたいと考えていました。裏面を見て商品の加熱方法などを理解してもらいたかったことや、試食で提供するのは面白みに欠けると考えていたこともあり、チン!するレストランは「セルフで体験してもらうこと」「食べ放題」にこだわっています。いろいろな商品を選べること、自分でチンする体験を楽しんでもらえるよう、エンタメ性のあるレストラン事業を採用しました。

レンジ「セルフで体験してもらうこと」「食べ放題」にこだわった
レンジ約200種類の商品を提供(公式Webサイト)

今津: 今回予想をはるかに上回る方にご来場いただけた要因は「体験型」「食べ放題」というキーワードが刺さったことにあると考えています。「食べ放題」は値上げが叫ばれるなかでお得感があり、多くの方に支持され、自分で商品をチンする「体験型」であることも面白いと思っていただき、SNSを中心に話題にしてもらえたのだと考えています。

レンジイベントの様子

会場は「ヨドバシ」

――なぜ一般的なイベントスペースではなく、ヨドバシ Akibaを会場にしたのですか?

今津: 冷凍食品には必ず冷凍庫と電子レンジが必要です。チン!するレストランでは、メーカーさま協賛のもと、電子レンジは無償でお借りし、ヨドバシカメラの売り場で販売している商品をそのまま活用。価格などの商品情報やパンフレットを置いた状態で展示しています。購入前にいろいろな種類の電子レンジを試すことができたと評価が高く、たくさんのお客さまが購入されていました。イベント終了後、来場者にどのレンジがよかったかインタビューを取って「電子レンジ総選挙」を実施し、今後のヨドバシの販促活動につなげるなど、Win-Winの関係を築けたと感じています。

レンジレンジは10台用意

――レンジでチンするとなると、待ち時間が気になります。待ち時間を解消するための取り組みなどは実施していたのでしょうか?

今津: まず、自然解凍商品の品ぞろえを強化しました。また、大容量商品やギョーザなどのレンジ以外の調理が必要な商品をあらかじめ調理してバイキング形式で提供するような工夫もしました。アイスも食べ放題なので、待ち時間をそんなに感じることなく楽しんでいただけたと考えています。

レンジギョーザや大袋の商品は加熱済みのものを陳列
レンジ枝豆や冷凍フルーツなど、自然解凍できる商品も人気だった

人気商品は?

――どういった商品が人気でしたか?

今津: 前菜、パスタ、メイン、デザートというようにフルコース風に楽しんでいる方が多かったですね。ハンバーグが全体的に人気で、その中でも特に味の素の「ザ・ハンバーグ」がかなり人気を集めました。冷凍フルーツも人気で、自然解凍で食べられるため、レンジの待ち時間でおつまみにされていました。また、ハーゲンダッツを提供していたので、ひたすらアイスを食べ続ける方もいらっしゃいました。

レンジ楽しみ方を公式サイトでも提案(公式Webサイト)
レンジ楽しみ方を公式サイトでも提案(公式Webサイト)

――イベントはかなり好評だったとのことですが、来場者はどういった層が多かったのですか?

今津: 全体で約2000人の方に来場していただきました。今回は冷凍食品を食したことがない人をメインに置きつつ、小さい子どもがいるような家族層をターゲットにしていました。実際に来場いただいた方も、家族連れが多く、狙い通りだったと感じています。また、女子高生の来場も多かったです。私たちとしても、若者が家に帰って商品を勧めてくれることは非常にありがたいと考えています。また、今後年月がたち、冷凍食品を購入していただく機会にもつながると感じており、非常に良かったと思います。

レンジイベントの様子

大好評で売り切れ続出

――イベントを実施するうえで大変だったことはありますか?

今津: 限られた席数の中、どうやったら多くのお客さまに楽しんでもらえるかということに苦労しました。大変ありがたいことに予想を上回る反響で、かなり多くの方に来場していただきました。イベント2日目は300人ほどの行列ができてしまい、一時はキャンセル待ちが7000~8000人と、多くの方にお待ちいただきました。正直ここまでの来客は見込んでいなかったため、予約方法の見直しや座席確保には苦労しました。

レンジチケットは完売、一時はキャンセル待ちが7000~8000人(公式Webサイト)

今後は首都圏以外でも開催に意欲

――同様の取り組みを拡大する予定はありますか? また、今後のアップデートの予定があれば教えてください。

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今津: 今後は西日本、九州へとエリアを拡大していきたいと考えています。チン!するレストランは商品の魅力を知ってもらうことを目的にしています。実際に食べていただくだけでなく、フローズンアワード公式Webサイトで公開している商品紹介動画も見ていただきたいと考えています。今後は席にタブレット端末を置くなどして、動画を見ていただき、商品理解を深める機会を提供していきたいです。また、最終的にスーパーマーケットなどでも購入していただきたいので、チンするレストランの人気商品をまとめたPOPを作成し、売り場での販促に生かしていきます。



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