インフォメーション

2022-11-12 17:01:00

キャンセル待ちが約8000人! レンジで「チン!するレストラン」がここまで話題を集めたワケアイスと冷凍食品が食べ放題

2022年11月09日 07時30分 公開
[大村果歩,ITmedia]

 総合食品商社の日本アクセス(東京都品川区)は、冷凍食品とアイスクリームが食べ放題の「チン!するレストラン」を10月8~23日の期間限定で開業した。イベントは非常に好評で、2日目にはチケット完売、キャンセル待ちは7000~8000人と、多くの人からの関心を集めた。チン!するレストランはなぜここまで話題になったのか。

レンジキャンセル待ちが約8000人! レンジで「チン!するレストラン」がここまで話題を集めたワケ

チン!するレストラン

 イベントを主催した日本アクセスは食品の卸売業を手掛けている。低温の物流に強みを持ち、チルド品や冷凍食品を幅広く扱っている。同社は2013年から冷凍食品・アイスクリームの人気ナンバーワンを決める「フローズン・アワード」を開催。フローズン業界全体の活性化を目指し、冷凍食品・アイスクリームの魅力を広く発信し、公式サイトでは各商品のこだわりや開発の思いを動画で配信している。

レンジフローズン・アワード(公式Webサイト)

 チン!するレストランは、フローズンアワード10周年を記念して開催した。冷凍食品を実際に食べてもらう機会を提供することで、商品のおいしさや安全性を訴求する狙いだ。フローズン・アワードにエントリーしている商品を中心に、スーパーですぐ手に取ってもらえる定番品など約200種類の冷凍食品、アイスクリームをそろえた。商品は全て食べ放題で、客自身が店内の冷凍庫から商品を選び、レンジで温めて食べるスタイルを採用した。

レンジ店内マップ(公式Webサイト)

 会場はヨドバシAkiba(東京都千代田区)8階レストラン街のイートインスペース。レンジは全部で10台用意し、1人2台まで利用可能とした。午前11~午後5時はランチタイムで90分制、午後5~9時まではディナータイムで120分制。料金はランチタイム1人1500円、ディナータイムは2500円、小学生以下は無料、中高生は半額とした。

レンジ料金(公式Webサイト)

 冷凍食品とアイスしか提供しない――かなり大胆な企画だが、どのような経緯でチン!するレストランを開催することになったのか。マーケティング部長の今津達也さんに話を聞いた。

キーワードは「セルフ」「食べ放題」

――チン!するレストランを開催した狙いを教えてください。

今津: 冷凍食品は便利でおいしいと評価してもらっている一方で、「保存料が入っているのではないか」「体に悪いのではないか」など、敬遠している方も一定数いるという課題がありました。独自で調査したところ、1年間で冷凍食品を購入している人は全体の約4割で、残り6割は冷凍食品を購入していないというデータも明らかになっています。

 しかし実際は、冷凍食品には保存料が一切入っておらず、安全な食品です。メーカー様の努力もあり、味もどんどんおいしくなってきています。冷凍食品に対して正しい認識を持ってもらうための啓もう活動として、冷凍食品・アイスの人気投票を行うフローズンアワードを開催したり、冷凍食品の魅力を紹介するマンガを制作したりしてきました。情報だけで伝えるのではなく、実際に食べて理解してもらう機会を提供したいと考え、開催に至りました。コロナ禍で試食の機会がなくなっていたため、いろいろな種類の商品を試せる場を目指しました。

レンジ冷凍食品の魅力を発信する場として提供
レンジヨドバシ Akibaで開催(プレスリリース)

――ただの試食会ではなく、「レストラン」としてイベントを実施した狙いを教えてください。

今津: 現在はできていませんが、コロナ前はお客さまに商品を食べていただく機会は店頭での試食しかなかったため、そうではない新しい場を作りたいと考えていました。裏面を見て商品の加熱方法などを理解してもらいたかったことや、試食で提供するのは面白みに欠けると考えていたこともあり、チン!するレストランは「セルフで体験してもらうこと」「食べ放題」にこだわっています。いろいろな商品を選べること、自分でチンする体験を楽しんでもらえるよう、エンタメ性のあるレストラン事業を採用しました。

レンジ「セルフで体験してもらうこと」「食べ放題」にこだわった
レンジ約200種類の商品を提供(公式Webサイト)

今津: 今回予想をはるかに上回る方にご来場いただけた要因は「体験型」「食べ放題」というキーワードが刺さったことにあると考えています。「食べ放題」は値上げが叫ばれるなかでお得感があり、多くの方に支持され、自分で商品をチンする「体験型」であることも面白いと思っていただき、SNSを中心に話題にしてもらえたのだと考えています。

レンジイベントの様子

会場は「ヨドバシ」

――なぜ一般的なイベントスペースではなく、ヨドバシ Akibaを会場にしたのですか?

今津: 冷凍食品には必ず冷凍庫と電子レンジが必要です。チン!するレストランでは、メーカーさま協賛のもと、電子レンジは無償でお借りし、ヨドバシカメラの売り場で販売している商品をそのまま活用。価格などの商品情報やパンフレットを置いた状態で展示しています。購入前にいろいろな種類の電子レンジを試すことができたと評価が高く、たくさんのお客さまが購入されていました。イベント終了後、来場者にどのレンジがよかったかインタビューを取って「電子レンジ総選挙」を実施し、今後のヨドバシの販促活動につなげるなど、Win-Winの関係を築けたと感じています。

レンジレンジは10台用意

――レンジでチンするとなると、待ち時間が気になります。待ち時間を解消するための取り組みなどは実施していたのでしょうか?

今津: まず、自然解凍商品の品ぞろえを強化しました。また、大容量商品やギョーザなどのレンジ以外の調理が必要な商品をあらかじめ調理してバイキング形式で提供するような工夫もしました。アイスも食べ放題なので、待ち時間をそんなに感じることなく楽しんでいただけたと考えています。

レンジギョーザや大袋の商品は加熱済みのものを陳列
レンジ枝豆や冷凍フルーツなど、自然解凍できる商品も人気だった

人気商品は?

――どういった商品が人気でしたか?

今津: 前菜、パスタ、メイン、デザートというようにフルコース風に楽しんでいる方が多かったですね。ハンバーグが全体的に人気で、その中でも特に味の素の「ザ・ハンバーグ」がかなり人気を集めました。冷凍フルーツも人気で、自然解凍で食べられるため、レンジの待ち時間でおつまみにされていました。また、ハーゲンダッツを提供していたので、ひたすらアイスを食べ続ける方もいらっしゃいました。

レンジ楽しみ方を公式サイトでも提案(公式Webサイト)
レンジ楽しみ方を公式サイトでも提案(公式Webサイト)

――イベントはかなり好評だったとのことですが、来場者はどういった層が多かったのですか?

今津: 全体で約2000人の方に来場していただきました。今回は冷凍食品を食したことがない人をメインに置きつつ、小さい子どもがいるような家族層をターゲットにしていました。実際に来場いただいた方も、家族連れが多く、狙い通りだったと感じています。また、女子高生の来場も多かったです。私たちとしても、若者が家に帰って商品を勧めてくれることは非常にありがたいと考えています。また、今後年月がたち、冷凍食品を購入していただく機会にもつながると感じており、非常に良かったと思います。

レンジイベントの様子

大好評で売り切れ続出

――イベントを実施するうえで大変だったことはありますか?

今津: 限られた席数の中、どうやったら多くのお客さまに楽しんでもらえるかということに苦労しました。大変ありがたいことに予想を上回る反響で、かなり多くの方に来場していただきました。イベント2日目は300人ほどの行列ができてしまい、一時はキャンセル待ちが7000~8000人と、多くの方にお待ちいただきました。正直ここまでの来客は見込んでいなかったため、予約方法の見直しや座席確保には苦労しました。

レンジチケットは完売、一時はキャンセル待ちが7000~8000人(公式Webサイト)

今後は首都圏以外でも開催に意欲

――同様の取り組みを拡大する予定はありますか? また、今後のアップデートの予定があれば教えてください。

  • 身代金の支払いはNG、調査で見えた“本当に”必要なランサムウェア対策

  • 「Windows 11が無料じゃなくなる」前に移る方法

今津: 今後は西日本、九州へとエリアを拡大していきたいと考えています。チン!するレストランは商品の魅力を知ってもらうことを目的にしています。実際に食べていただくだけでなく、フローズンアワード公式Webサイトで公開している商品紹介動画も見ていただきたいと考えています。今後は席にタブレット端末を置くなどして、動画を見ていただき、商品理解を深める機会を提供していきたいです。また、最終的にスーパーマーケットなどでも購入していただきたいので、チンするレストランの人気商品をまとめたPOPを作成し、売り場での販促に生かしていきます。



前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

 


2022-11-09 16:40:00

[ホールフーズ2023]食のトレンド予測 トップ10

  • ツイッターでシェア
  •  
  • フェイスブックでシェア
  •  
  • ラインでシェア
  •  
  • ポケットでシェア

ホーム

>

記事一覧

>

食トレンド

>

今後の食トレンドを予測する中で、環境意識や食嗜好が多様な諸外国の動向は大きなヒントになります。オーガニック&ナチュラルを専門とし、アメリカを中心に500超の店舗を展開するスーパー「ホールフーズ・マーケット」が、今回で8回目となる2023年の食トレンド予測トップ10を発表しました。記事内容の抄訳をお届けします。

ホールフーズが予測する2023年の食トレンドは?

2022年10月19日、テキサスのオースティンを本拠地とする自然食品小売大手のホールフーズ・マーケットは、「2023年の食トレンド予測トップ10」を発表しました。第8回となる今回は、“ヤポン”の飲み物、野菜や果物のパスタ、パルプのアップサイクル、気候変動に配慮した呼びかけなどが、2023年に注目を集めると予想されています。


ホールフーズ・マーケットのCMO(マーケティング責任者)
ソーニャ・ガフシ・オブリスク氏のコメント:
「私たちのトレンド予測には、商品そのものだけでなく、顧客が商品を選ぶ際の優先事項の方向性も示されています。植物性ミルクの製造過程で生まれるパルプをアップサイクルしたパンや焼き菓子、養殖の昆布のような食材が人気を博すことに、とてもわくわくしています。今回のトレンド予測には、サステナブルな取り組みによる製品ラベルから、アニマルウェルフェアをリードする鶏肉・卵のサプライヤーまで、社会に真のインパクトをもたらすことをミッションとするブランドが数多く登場します。私たちは、これらのトレンドが食品業界全体や、食卓やランチボックス、店舗の棚で見られるのを楽しみにしています。」

2023年 食トレンド予測トップ10

1. New Brew: Yaupon (新しい一杯を:ヤポン)

15187_image01.jpg

ヤポンは、アメリカ南東部に自生するヒイラギ科の植物で、在来種としては北米で唯一、カフェインを含む植物として知られています。アメリカの先住民は、この植物をハーブティーにして淹れ、「黒い飲み物」としてお清めの儀式で飲んでいました。

ホールフーズ・マーケットの本社があるオースティンでは、バーテンダーがヤポンを使ったカクテルを試すなど、そのマイルドでどこか土臭さを感じさせる風味とユニークな効能で人気が高まっています。

2. Pulp with Purpose(「パーパス」のあるパルプ)

15187_image02.jpg

Morning Consult社の世論調査によると、生活者の3人に1人が、少なくとも週に1回は非乳製品の代替ミルクを使用しているそうです。しかし、その代替ミルクの製造過程で捨てられている副産物はどうなっているのでしょうか?

TikTokのクリエーターたちは、家庭で余ったナッツやオート麦のパルプを利用する方法を模索しており、現在この分野でイノベーションを起こそうとするブランドも登場しています。副産物のオート麦や大豆、アーモンドのパルプをアップサイクルすることで、小麦粉やベーキングミックスなどの代替品を探している現代のパン職人のための新製品が生まれています。

3. Produce Meets Pasta(農作物とパスタの融合)

15187_image03.jpg

まずはひよこ豆のパスタ、次にカリフラワーのニョッキです。そして、忘れてはならないのがズードル(ズッキーニを麺状にしたもの)です。現在、カボチャのスパゲッティやパルミット(ヤシの芽の部分)、青バナナを使った新たな植物性パスタの新製品が生まれています。

これらは私たちの野菜・果物の摂取量を増やす手助けになります。特別な代用食を求める人、食生活にもっと野菜を取り入れたいと考える人、単に新しいもの好きの人、全ての人に対して、これらの新しい植物性パスタが役に立つでしょう。

4. The Great Date(偉大なるデーツ)

15187_image04.jpg

2022年春、TikTokでデーツを使ったスニッカーズ風のレシピが紹介されると広く拡散されました。しかし、デーツの流行は新しいものではありません。古代メソポタミアの時代から栽培され、親しまれてきたものです。

そして数千年経った今、乾燥デーツは「天然のキャンディ」とも言われ、甘味料として大きく見直されつつあります。家庭でのパン作りだけでなく、ペーストやシロップに入れたり、ケチャップやオーバーナイトオーツの隠し味にしたりと、さまざまな用途で使われています。どこか昔ながらのキャラメルのような香りがするデーツは、今が旬です。

5. A Poultry Revolution(鶏革命)

15187_image05.jpg

鶏は鶏らしくあるべきだと考える生活者が増え、鶏肉や卵の購入時にはアニマルウェルフェアの視点が重視されるようになっています。グローバル・アニマル・パートナーシップ(G.A.P.)では、鶏の生活だけでなく、私たちが食べる鶏肉の品質向上のための新たな一歩「The Better Chicken Project」を実施しています。

さらに、鶏卵においてもアニマルウェルフェアの流れが続いています。ホールフーズ・マーケットで日々取り扱う鶏卵の生産者は、雌鶏の飼育にあたってのアニマルウェルフェア基準をケージフリーからさらに発展させ、屋外で過ごす時間に重きを置くようになっています。

6. Help From Kelp(昆布の恵み)

15187_image06.jpg

昆布はそのままの形で大気中の炭素を吸収します。そのため、気候変動が叫ばれる現代において、昆布の養殖はこれまで以上に重要さを増しています。

昆布は成長が早く、真水や添加物も不要です。栄養価が高いため、麺類やチップス、魚醤などの食品に使われています。生活者が代替食品や新たな味わいを求めるなかで、昆布を使った食品の人気が高まっています。

7. Climate-Conscious Callouts(気候変動に配慮した呼びかけ)

15187_image07.jpg

気候への配慮はこれまで以上に重要です。そのため、各ブランドは食品や飲料の生産において、気候変動への影響の低減に取り組んでいます。

生活者がブランドや小売業者に対して、炭素や気候に関するより多くの取り組みを期待する時代において、私たちの店舗では、商品ラベルにサステナビリティへの取り組みを表示しています。ホールフーズ・マーケットの専門家チームは厳格な品質基準を設定し、進化を続けるこのテーマに関する情報を提供することで、お客様にラベルの内容を信頼していただけるよう努めています。

8. Retro Remix(レトロ・リミックス)

15187_image08.jpg

マカロニ&チーズやピザ、昔ながらのシリアルなど、私たちは皆、子供の頃に食べた懐かしい食べ物を時々味わいたくなるものです。Mintel社の調査によると、アメリカの生活者の73%が過去を思い起こさせる味を楽しんでおり、そうしたノスタルジックな食べ物が主流になる兆しを見せています。いったいどうなるのでしょう?レトロな食品が、健康志向の高い生活者のために、より良い素材や特別な食事に配慮されて生まれ変わり、究極のマッシュアップとなるかもしれません。

9. Only the Finest for Fido(愛犬には最高のものを)

15187_image09.jpg

ASPCA (The American Society for the Prevention of Cruelty to Animals、アメリカ動物虐待防止協会)によると、パンデミック下で2,300万超の世帯がペットを飼うようになりました。現在、飼い主の多くがオフィスに戻ったことにより、大切なペットの健康や味覚への配慮がこれまで以上に重要視されています。

ボーンブロスといったペット用サプリメントは爆発的に売れており、ペットフードのレシピでもおいしさが追求されています。モフモフのお友達の幸せのために、ホールフーズ・マーケットのペットフードやサプリメントにも、業界をリードする品質基準が求められます。

10. Avocado Oil Craze(アボカドオイルに夢中)

15187_image10.jpg

長きにわたり食卓の必需品だったアボカドオイルが、ついにあらゆる商品の主流となりつつあります。アボカドオイルの人気の理由は、高いオレイン酸含有量および発煙点(スモークポイント)にあります。スナック菓子やマヨネーズ、インスタント食品などにおいて、キャノーラやベニバナといったオイルに代わって、アボカドオイルが定着していくのは確実でしょう。

[ホールフーズ2023]食のトレンド予測 トップ10 - FoodClip| 食ビジネスの動向やトレンドを届ける専門メディア (cookpad.com)

 

writing support: Sachie Mizuno

 

 


2022-11-09 16:38:00

海外通信 外食ビジネスの新発想(58)アメリカのランチ最新事情

2022.11.07 525号 12面
写真1

写真1

寿司はヘルシー志向の人に人気が高い。フィンガーフードで食べやすく、昼にはうってつけだ。寿司のファストフード店も多く、「スシ&コー」では、巻き寿司のほか、サラダをセットした巻き寿司ボックスも買える

寿司はヘルシー志向の人に人気が高い。フィンガーフードで食べやすく、昼にはうってつけだ。寿司のファストフード店も多く、「スシ&コー」では、巻き寿司のほか、サラダをセットした巻き寿司ボックスも買える

「マキマキ・スシ」の店内。ニューヨークの多くの店同様、細長く狭いながらに窓や側面にイートインスペースが設けられている

「マキマキ・スシ」の店内。ニューヨークの多くの店同様、細長く狭いながらに窓や側面にイートインスペースが設けられている

「マキマキ・スシ」のハンドロール(手巻き)。食べやすいよう工夫されている

「マキマキ・スシ」のハンドロール(手巻き)。食べやすいよう工夫されている

ボウル(丼)もの専門「フィールドトリップ」の商品。数年前までは目新しかったボウルも定着

ボウル(丼)もの専門「フィールドトリップ」の商品。数年前までは目新しかったボウルも定着

「ジャスト・サラダ」のトーキョースーパーグリーンの豆腐入り(12$99¢)。具だくさんサラダは人気のランチメニュー

「ジャスト・サラダ」のトーキョースーパーグリーンの豆腐入り(12$99¢)。具だくさんサラダは人気のランチメニュー

看板は歩行者の正面に見えるように立てる。カラフルで目を引きやすい。上からバナー(のぼり)やつるし看板を掲げているところもある

看板は歩行者の正面に見えるように立てる。カラフルで目を引きやすい。上からバナー(のぼり)やつるし看板を掲げているところもある

 ●時間もお金もかけないカジュアル志向

 パンデミック最中のニューヨークはゴーストタウンと化し、駅周辺の外食店は軒並み閉まって森閑としていたが、ビジネス街が再開してからランチタイムは活気づいてきた。アメリカのオフィスワーカーたちは今、どんなランチを食べているのだろうか。

 仕事を持っている人がランチに費やす金額は、全米平均で、34歳以下は週に約45$、35~44歳は約38$、45~54歳は約33$、55~64歳は約30$、65歳以上は約33$という。ニューヨークでは、この数字はもっと上がるはずだ。

 現在のニューヨーカーの人気ランチメニューは、主に5種類。(1)ブリト-、タコス(2)サラダ、野菜のボウルもの(3)サンドイッチ、スープ(4)地中海風、タンパク質ベースのボウルもの(5)寿司、ポケ、日本の弁当。昼時に日本食品のスーパーに行くと、弁当を買う客で混雑している。

 ランチの定番、サンドイッチとスープかサラダのセットが食べられるのが「パネーラブレッド」。ここでは、マカロニ&チーズなどアメリカのコンフォートフードを含め、メニューが幅広く、連日行っても飽きがこないし、複数人で行ってもいろいろな嗜好に対応できるので人気が高い。同じようにイギリス発の「プレタマンジェ」も、サンドイッチをメインにスープやサラダなども揃えたメニューが魅力になっている。どちらも月額飲み放題のサービス(プレタマンジェは、コーヒー・紅茶飲み放題が月額24$99¢、カプチーノなどのスペシャルコーヒーを含めた飲み放題が月額34$99¢、パネーラはソーダを含めてコーヒー・紅茶飲み放題が月額10$99¢)を提供して集客を図っている。

 ヘルシー志向の高まりを受け、軒並み増えたのがサラダ専門の店。具だくさんで腹ごしらえのできるサラダ各種が揃った「ジャスト・サラダ」「チョップト」「スイート・グリーン」「フレッシュ&コー」「サラダ・ワークス」など実に多くのチェーン店ができたが、独立店も確実に増えている。

 寿司の人気も根強い。フィンガーフードである寿司はランチに最適だ。「スシ&コー」や「ビヨンド・スシ」「マキマキ・スシ」などの寿司専門のファストカジュアルが次々にオープンしている。

 目を引くのは、やはりオーガニックやヴィーガンの店舗。「ヌーリーフ」「ル・ボタニステ」など、プラント・ベースト(植物性ベース)の店も登場しつつある。もはやベジタリアンの選択肢は、普通の店でも欠かせない。

 一方、ウエイトサービスの店では、総額の約2割のチップを払わなければならないが、平日の昼は特別のメニューを用意しているところが多い。アペタイザーとメインで15~20$程度のところもある。特に中国、タイ、インド料理にリーズナブルな店が多い。ファストカジュアルでも、だいたい10~25$の出費は覚悟しなければならないから、ウエイトサービス店も見過ごせない。敷居の高い高級店でも、昼のメニューは比較的手頃な価格帯で食べることができる。

 昼はオフィスワーカーたちにとって束の間の息抜き。選択肢が増えれば増えるほど、選り好みが激しくなる。ランチ事情は、ますます多彩に、しかし競争もまたさらに厳しくなりそうだ。

 

 【写真説明】

 写真1:五番街のニューヨーク図書館裏にあるブライアント・パーク。タイムズスクエアとグランドセントラル駅間のオフィス街に位置。公園内にはウエイトサービスのレストランや軽食スタンド、周囲にはベーカリーカフェやファストフード店、スーパーがあり、ランチを買って公園内で食べる人が多い。

 写真8:子どもたちのランチも進化。以前は、サンドイッチに果物や野菜のスティック、チップスの小袋などを茶色の紙袋に入れて持たせたものだった。そのためブラウンバッグ(brown bag)といえば、弁当を意味する。進化したランチボックスは、日本の弁当にならい、仕切りがあって便利に。また汁漏れのないようにデザインされている/写真はAmazon.comから


2022-11-09 16:35:00

I cover quick-service, fast casual and pizza restaurants.

rblfmr / Shutterstock.com

米国で最大のコンビニエンスストアであるセブンイレブンは、タコベルやウェンディーズ、バーガーキングの店舗数よりも多い約9000店舗を抱えている。

セブンイレブンは2019年に導入されたエボリューション・ストア(Evolution Store)の試験を含め、過去数年で飲食物の提供を強化している。エボリューション・ストアの数は現在9店舗で、それぞれにレストランのコンセプトがある。

フード事業を強化しているコンビニブランドはセブンイレブンに限らない。英石油大手BPは先日、温かい惣菜や食料品がそろう最初のam/pm店舗を初めてニューヨークに開店させた。またケイシーズ(Casey’s)には、ピザ売り場や、一から作ったドーナツを売るパン売り場がある。

クイックトリップ(QuikTrip)は一部の市場で、注文を受けてから作るサブマリンサンドイッチをメニューに追加したし、パイロット・カンパニー(Pilot Company)はつい先日、ブリトー・ジャンクション(Burrito Junction)と呼ばれるテクス・メクス(メキシコとテキサスの特徴を合わせた料理)のデリをオープンさせている。

パイロットのいくつかのサービスエリアでは食品提供サービスを向上させるべく、「ニュー・ホライズンズ(New Horizons)」の取り組みの一環としてリフォームが行われている。同社によると、この取り組みは顧客フィードバックに呼応する形で始まった。

こうした改善は実を結んでいるようだ。広告企業カードリティクス(Cardlytics)の新たな調査では、コンビニエンスストアでの食品の売り上げが20%以上増え、このカテゴリーは従来のクイックサービスレストラン(QSR)から市場シェアを奪っている可能性が高い。

同報告書によると、コンビニエンスストアのシェアは2019年以降、18.42%から21.39%へと増えている。(ガソリンスタンドの給油機での支払いは全て除外されている)

カードリティクスはコンビニエンスストアの強みとして、準備時間が短いことや種類が豊富なこと、待ち時間が短いことを挙げている。QSRでの平均的な待ち時間は7分ほどだが、コンビニエンスストアでは平均4分ほどだ。

また利便性もある。コンビニエンスストアが、QSRと同水準の食品サービスを提供するようになれば、消費者は最も便利な選択肢を選ぶかもしれない。

スピードが一つの要素だが、店舗の場所(セブンイレブンの展開地域を考えよう)や、ガソリンやビールなど追加で提供される商品も影響を与える。後者に関しては、コンビニエンスストアの方が常に有利だ。
ロケーション技術企業ブルードット(Bluedot)の最近の報告書によると、消費者の70%は車の給油の際にコンビニエンスストアに立ち寄っていて、50%以上はスナック購入のため、20%は食料品購入のため、16%はアルコール飲料購入のためコンビニエンスストアに立ち寄る。こうした消費者の60%近くは、コンビニエンスストアがQSRと比肩する水準だと考えている。

コンビニエンスストアとQSR店舗の境界線はこれまで長年の間に曖昧になりつつあり、もはや境界線が存在するのかどうかさえ、断言するのは難しくなっている。一部の例では、境界線はないことが明確だ。

シーツ(Sheetz)ではドライブスルーやカーブサイドピックアップ(店舗の駐車場などでの商品受け取り)が提供されているし、ワワ(Wawa)は2020年に初めてドライブスルー店舗を導入し、店舗数を倍増させる目標達成のためさらに数を追加する計画だ。

セブンイレブンは昨年、初のドライブスルー店をオープンさせ、最近ではダラスのエボリューション・ストアの一つに屋外テラスを設けた。同店舗では、フローズンマルガリータや生ビール、自分でエスプレッソを作れる機械も提供されている。

同チェーンは配送にも注力していて、インスタカートやウーバーイーツ、グラブハブ、ドアダッシュ、ポストメイツなどと提携し、QSRの領域にさらに進出しつつある。

全米コンビニエンスストア協会(NACS)が発表した昨年の報告書では、コンビニエンスストアの売り上げの約23%は飲食物の提供によるもので、10年前の16.8%から増加していることが分かった。この増加分の少なくとも一部はQSRカテゴリーからもたらされているようで、既に激しい競争がさらに激化している。

(forbes.com 原文)

2022-10-29 21:41:00

I cover quick-service, fast casual and pizza restaurants.

Getty Images

7月末に行われたチポトレの第2四半期の収入報告では、店舗外事業が高水準を維持しつつレストランでの事業が復活する中、一部の業務を改善する必要性が役員らにより明らかにされた。

同社は先日、さらに多くの技術を活用することを発表している。チポトレは現在、業務を合理化し摩擦を減らすことを目的とし、キッチン管理システムと、店をベースとした高度な基盤の2つの技術を試験している。

同社は南カリフォルニアの8店舗で、プレシテースト(PreciTaste)のキッチン管理システムを試験中だ。同システムは人工知能(AI)と機械学習を活用し、「需要をベースとした調理や材料準備の予測」を提供している。

チポトレによると、同システムではリアルタイムで材料の量が監視され、仕込みや調理の量、いつ調理を始めるべきかが従業員に通知される。目的は処理能力の最適化だけでなく、食料廃棄の最小化もある。

同社のカート・ガーナー最高技術責任者(CTO)は発表で、「新たなキッチン管理システムにより従業員の手作業が減り、店舗の責任者にはその時点の情報を基にした決断を下す上で必要なツールが与えられる。こうして最終的には、素晴らしい食事と傑出した顧客体験に焦点を当てることができる」と述べた。

チポトレがAIを活用するのはこれが初めてではない。同社は今年、ミソ・ロボティクス(Miso Robotics)との試験を発表し、AIを使った「チッピー(Chippy)」を導入した。この試験は現在拡大中で、チッピーは今月、カリフォルニア州ファウンテンバレーの店舗で初めて店舗デビューを果たす。同社はその後、従業員や顧客からフィードバックを集め、広範な導入計画を作成する予定だ。

ガーナーは最近のインタビューで、同社では店舗をより効率的に運営し従業員が他の作業に集中できるようにするため、インターネット・オブ・シングス(IoT)や機械学習などを検討していると述べた。

また同社は現在、レーディアス・ネットワークス(Radius Networks)のプログラム「フライバイ(Flybuy)」を、オハイオ州クリーブランドの73店舗で試験中だ。店舗ベースの同技術はリアルタイムのデータを活用し、顧客に注文した商品が準備できたことを知らせたり、会計時にチポトレ会員プログラムのQRコードをスキャンするようリマインドしたりできるだけでなく、受け取りの際に間違った場所にいる顧客に警告を出すことさえ可能だ。

同社によると、このプログラムを通して店舗内での会員プログラムの利用率や配送の効率性が上がるなど、良い成果が出ている。
業務改善のためAI技術を検討しているチェーンはチポトレだけではない。ハンバーガー店舗を展開するホワイト・キャッスル(White Castle)は、ミソ・テクノロジーの「フリッピー(Flippy)」を2年ほどキッチンで試験しているし、スムージーを提供するジャンバ(Jamba)は食品準備の自律プラットフォームを提供するブレンディッド(Blendid)と提携した。

また、アップルビーズ(Applebee’s)やアイホップ(IHOP)、トロピカル・スムージー・カフェ(Tropical Smoothie Cafe)などのレストランチェーンではフライバイが活用されている。

とはいえ、チポトレの規模や自社所有の事業モデル、負債のない賃借対照表は、このトレンドに少し興味深い要素を加えるものだ。同社ではフランチャイズ店側の投資や抵抗がなく、割と自由に新たなソリューションを試験導入できる。

同社で投資に対する利益が証明されれば、労働力不足にいまだに苦しむこの業界全体で、こうした技術を採用するための説得力ある実例となる可能性が高い。

チポトレは今回の発表前、初期投資のため戦略的に一致する企業を特定するべく作られた「カルティベート・ネクスト(Cultivate Next)」のベンチャー基金を立ち上げている。チポトレは約5000万ドル(約74億円)の基金の一部として、キッチンでの作業を自動化するフードサービス基盤ハイフン(Hyphen)と、植物由来のタンパク質を提供するミーティ・フーズ(Meati Foods)に既に投資している。

チポトレはまた、新たなスケジュール管理ツールを活用したり、自律配送企業ニューロ(Nuro)に投資を行ったり、店舗内の材料を追跡するため無線自動識別(RFID)を試験したりしている。

ガーナーは最近の発表で、同社は従業員や客の体験を向上させ「レストラン業界に革命をもたらす可能性が高い」イノベーションへの投資を模索していると発言した。ガーナーは「意義のある変化を大規模にけん引しようとしている先見性のある事業に投資することで、チポトレの野心的な成長計画の進捗が加速するだろう」と述べている。

チポトレは現在約3000店舗を抱え、今後はそれを7000店舗ほどまで増やす計画だ。

(forbes.com 原文)