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2020-07-02 13:06:00

欧州発グリーン・リカバリーとグリーン・ディール政策

ポスト・コロナの農業と食

2020年6月24日 グローバルイノベーション&エネルギー部 山本 麻紗子

最近、新型コロナウイルス(COVID-19)で大きな痛手を負った欧州を中心に「グリーン・リカバリー」という言葉が頻繁に登場するようになった。COVID-19禍からの経済復興策に気候政策を融合させようという考えで、もともとはEUの欧州議会議員グループの非公式な呼びかけであった。その後、2020年4月末の非公式国際会合「第11回ペータースベルク気候対話」において、日本を含む27カ国の環境大臣や国際通貨基金(IMF)がグリーン・リカバリーの重要性を認識し、経済回復のための計画は、パリ協定および持続可能な開発目標(SDGs)の理念に沿うものでなければならないという意見で一致した。

本稿では、グリーン・リカバリーの発信源となった欧州において、今後、あらゆるEU政策の中心となる「欧州グリーン・ディール」と食と農業の関わりについて、また、どのように持続可能な農業と食の発展が望まれるのかという点について論じる。

1.欧州グリーン・ディール

欧州グリーン・ディールとは、2019年12月に就任したフォン・デア・ ライエン新欧州委員会委員長(任期5年)が公約の一番目に掲げた目玉政策であり、EUとして2050年までに温室効果ガス排出が実質ゼロとなる「気候中立」を達成するという目標を掲げている。当初より2020年春に具体策を打ち出し、実施される予定であったものだが、今回のCOVID-19の影響を受け、グリーン・リカバリーという言葉とともに、ポスト・コロナは気候対策重視という認識が世界中で高まりつつあることから、その重要性が再注目されている。

今後、農業部門を含め、EUの政策およびインフラ、技術に対する投資プログラムは欧州グリーン・ディールを中心に展開すると予想される。前述のペータースベルク気候対話でも、ドイツのメルケル首相は、欧州グリーン・ディールへの支持を宣言するとともに、気候対策が経済復興の中心であり続けることを強調している。

欧州グリーン・ディールは、気候中立と経済成長の両方を達成し、EU経済を持続可能なものにするという多岐にわたる包括的な政策である(図1)。農業・食産業に関する分野であれば、「公平で健康的な環境に優しい食品システム」と「生態系および生物多様性の保護と再生」との関連性が高い。特に「農場から食卓へ(Farm to Fork)戦略」は、今後の欧州農業政策において重要なコンセプトになると見込まれている。


表1 欧州グリーン・ディールに関連する主な出来事
2019年12月1日EU新体制発足
2019年12月11日欧州グリーン・ディール概要案の発表
2020年1月14日欧州グリーン・ディール投資計画および移行メカニズムの発表
2020年3月4日欧州気候法(Climate Law)法案発表
欧州気候協約(Climate Action Pact)への意見募集開始(2020年6月17日まで)
2020年3月10日欧州産業戦略(European Industrial Strategy)の承認
2020年3月11日循環経済行動計画(Circular Economy Action Plan)案を提出
2020年4月14日欧州環境大臣とグローバル企業39社のCEOが「グリーン・リカバリー・アライアンス」を結成
2020年4月27日-28日「第11回ペータースベルク気候対話」において気候対策重視の経済復興の重要性を確認
2020年5月20日農場から食卓へ戦略(Farm to Fork strategy)および欧州生物多様性戦略(EU Biodiversity Strategy)の発表
2020年5月27日欧州委員会がCOVID-19感染拡大からの復興基金を含む予算案「多年度財政枠組み(MFF)(2021年~2027年)」の発表

出所:欧州委員会HP等よりみずほ情報総研翻訳


図1 欧州グリーン・ディールの要素
図1

出所:欧州委員会政策文書"The European Green Deal"よりみずほ情報総研翻訳

2.農場から食卓へ(Farm to Fork)戦略

欧州グリーン・ディールを実現するため、農業部門において核となるのがFarm to Fork戦略である。2020年5月20日、欧州で次々とロックダウンが緩和される中、欧州委員会はFarm to Fork戦略と欧州生物多様性戦略(EU Biodiversity Strategy)を発表し、自然、食料システム、生物多様性の新たなバランスを提示した。

Farm to Fork戦略は、生産から消費までの食品システムを公正で健康的で環境に配慮したものにすることを目指している。欧州委員会は、EUの共通農業政策(CAP)は、持続可能性を核としており、欧州グリーン・ディールが掲げる持続可能性への移行を支援し、気候対策への取り組みと環境保護のための農家の努力を強化すると述べている。実際、CAP予算の約40%が気候対策に配分されることから、CAPは欧州グリーン・ディールとFarm to Fork戦略実現の重要な手段として位置付けられている。また、現在策定中の次期CAP(2021年~2027年)では、政策実施にあたり、各加盟国が策定するCAP戦略計画に欧州グリーン・ディールとFarm to Fork戦略の目標を反映させることが期待されている。


表2 欧州委員会による農場から食卓へ(Farm to Fork)戦略案の主な内容
農薬
  • 2030年までに化学農薬の使用とリスクを50%削減
  • 2030年までに有害性の高い農薬の使用を50%削減
肥料
  • 土壌の肥沃度を低下させずに栄養損失を最低50%削減
  • 2030年までに肥料使用量を最低20%削減
抗菌性物質
  • 2030年までに家畜および水産養殖用の抗菌性物質の販売を50%削減
有機農業
  • 2030年までに全農地の25%を有機農業とするための開発を促進
食品表示
  • 消費者が健康で持続可能な食事を選択できるよう、食品の栄養、気候、環境および社会的側面をカバーする持続可能な食品表示の枠組みを開発
フードロス対策
  • 2023年までにEU全体で食品廃棄を削減するための法的拘束力のある目標を提案
研究とイノベーション
  • Horizon Europeの下、食料、バイオエコノミー、天然資源、農業、漁業、水産養殖、環境関連の研究開発に投資(100億ユーロ)
グローバルな移行
  • 欧州の食品を持続可能性の面で知名度を上げ、農家の競争力を向上
  • 持続可能な食品システム構築に向け、第三国および国際的主体と連携

出典:欧州委員会政策文書"Farm to Fork Fact Sheet"よりみずほ情報総研翻訳

3.ポスト・コロナの農業部門の予算

EUが実施する政策は、EUの財源管理手法である多年度財政枠組(Multiannual Financial Framework:MFF)という予算案に基づき実施されており、現在は次期MFF(2021年~2027年)の協議が行われている。CAPもまたMFFに紐づけて実施されるため、次期MFFが確定しなければ次期CAPも確定しない。

欧州委員会は5月27日、COVID-19感染拡大からの復興のための基金を含んで増強した次期MFFの新案を発表した。「次世代のEU」と名付けられた復興基金は、「グリーン」「デジタル」「社会」を重点分野とし、予算規模は7500億ユーロで、次期MFFの改訂案1兆1000億ユーロと合わせたEU予算の規模は1兆8500億ユーロに上る。気候対策にEU予算の25%を割り当て、パンデミックの影響を緩和し、持続可能な未来を実現することを目指すとしている。

次期MFFは、当初の予定では2019年末までの予算案合意を目指していたが、大幅な遅れが出ている。最大の要因は英国のEU離脱であった。英国はEU財政における主要な純拠出国の一つであったことから、離脱によってEUの歳入不足が発生する。そのため、予算配分については純拠出国である西欧と新規加盟国との対立等もあり、現時点(2020年6月)で合意に至っていない。それが今般の復興基金に必要な資金調達を行うため、EU予算の独自財源の上限をGNI(国民総所得)の2%まで引き上げるという新たな案が出たことは注目に値する。

 

4.今後の動向

農業が生産活動に付随してさまざまな影響を環境に与えることを考えると、農業政策と気候対策は切り離せない関係にある。農業政策は環境への配慮を盛り込んだものでなくては予算確保が困難な状況にあり、その要求水準は年々上がっている。

EU市民の環境意識の高まりやEU財政における厳しい予算競争、貿易摩擦やCOVID-19のような市場の不安定要素から農業と食を守るためにも、持続可能な農業という視点はますます重要になる。

特に、今般のCOVID-19禍において、欧州は甚大な人的・経済的被害を被った。農業部門においても、主要輸出市場が国境を閉鎖し、海外からの季節労働者が不足し、グローバルな供給網が止まり、消費マインドが停滞し、全般的に農業・食産業が減速した。COVID-19の影響は、最大限効率性を重視して構築してきた経済・社会システムの脆弱性を露呈したといえる。ポスト・コロナでは、効率性重視によって生じた格差や偏在を解消し、サステナビリティを重視した経済・社会システムへの移行が必要となる。その意味において、欧州グリーン・ディールが今後の欧州政策の要となるのはほぼ確実といえる。

これまで、気候対策重視の農業政策の必要性自体については異論がなかったものの、予算配分や実際の運用方法について議論がまとまらず、進行に大幅な遅れが出ているEUの予算と農業政策に係る決定プロセスがCOVID-19の影響を受けて加速化するのか、また、実施にどのような影響が出るのかを見極めるためにも、今後の動向が注目される。

日本もまた欧州の農業と同様に高齢化、小規模農家の生き残り、海外市場における競争力強化等の課題を抱えている。また、日本においても近年、極端な気温上昇や豪雨の増加など、気候変動が要因の1つとして考えられている現象が増加し、農業部門においてもその対策は必須である。EUの気候対策重視の農業政策は、日本の農業政策の立案に当たって比較対象とされており、その動向を追って行っていくことが、類似制度のあり方を検討していくうえで参考となるだろう。

関連情報


2020-07-02 13:04:00

 

コロナ禍の自粛ムードは消えたか:2週間以内に外食した人は54.9%、「居酒屋」では8.2%

 

2020年07月01日 14時10分 公開

 

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 リサーチ会社のクロス・マーケティング(東京都新宿区)が6月26日に実施した調査によると、「直近2週間以内に外食した人」の割合は5割強となった。若い世代ほど高い傾向になった一方、やはりコロナ禍の影響で引き続き不安を感じ、自粛を続けている人も一定数いるとみられる。

 

photo外食への自粛ムードの影響はどこまで残っている?(写真はイメージ)

 

「外食時に店のコロナ対策に不安」約27%に

 

 調査は同社が全国の20~69歳の男女1100人にネット上で実施。最近どんな業態の店で飲食したか、また店舗のコロナ対策への不安度などを聞いた。

 

 テークアウトを除き「2週間以内に外食したかどうか」を聞いたところ、した人は54.9%という結果に。20代に絞ると62.3%となり、若い世代ほど外食に積極的な結果となった。

 

photo2週間以内に外食したお店 (クロス・マーケティング「外食に関する調査」。テークアウト除く)

 

 業態別にみると、「コーヒーショップ・喫茶店」が最多で14.7%となった。一方、「密」状態が懸念されてきた「居酒屋」は8.2%にとどまった。

 

 実際に外食した人に「外食時に店舗のコロナ対策で不安を感じたか」と聞いたところ、51.5%が「感じていない」と回答。一方で27.5%が「感じた」と答えた。

 

photo>外食時、店舗の新型コロナ対策に対して不安を感じたか (クロス・マーケティング「外食に関する調査」)

 

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2020-07-02 13:03:00

【アジア取材ノート】

世界の魚食を救うか
ベトナム期待の「万能ナマズ」

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ちょびひげとつぶらな瞳、ゆるキャラのような顔が特徴的な食用ナマズ「パンガシウス」。低価格で多様な料理に使える万能な白身魚で、ベトナム南部のメコンデルタから世界に輸出される。枯渇が危ぶまれるウナギなど水産資源の代替としても期待が高まっている。(取材=NNAベトナム 小故島弘善)

スーパーに並ぶパンガシウス=ベトナム・ハノイ(NNA=VNA、以下同)

東南アジアのメコン川流域などに広く分布し、ベトナムでは「チャー」「バサ」と呼ばれる。従来は地元で食されるのみだったが、低コストかつ短期間で育つことからフライなどの食材として出荷されるようになった。

パンガシウスを求めて現地を歩き回ると、想像以上に身近な存在だということに気づく。スーパーなどモダントレードで流通し、現地で最も安く食べられる魚の一つだ。ホーチミン市行きの機内食のフライや、現地の夜に路上で分けてもらった鍋の具も、それらしき白身魚だった。美白効果があるとの言い伝えもあるそうだ。

ベトナムでは1990年代の米国輸出を契機に養殖が拡大し、いまやエビに次ぐ第2位の水産輸出品へと成長した。出荷先は世界中へ広がり、近年は中国をはじめとするアジア向けが増加している。

ベトナム南部で盛んなパンガシウス養殖。世界各地に出荷される=ドンタップ省

ベトナム水産輸出加工協会(VASEP)によると、生産量は6年連続で拡大し、2019年が152万トン(見込み) となった。輸出額は前年比11%減の18億1,500万米ドル(約2,000億円) だった。米国向けが低調だった一方、香港を含む中国向けが25%増加し、全体を下支えした。

輸出額の国・地域別のシェアでは、香港を含む中国が33.0%と最大。米国14.4%、欧州連合(EU)11.7%、東南アジア9.7%、メキシコ4.6%、ブラジル3.1%、コロンビア2.3%、日本1.6%と続く。輸出先として日本が初めて上位10カ国入りし、輸出量も増加基調となっている。

パンガシウス産業は、他国でも養殖が大規模化してきている。インドやタイ、バングラデシュ、インドネシア、中国などで生産されるようになり、生産量は競合国を合わせるとベトナムに匹敵する規模に成長しているという。

ベトナムの地場の養殖業者は、これらの生産国の出荷先は中国がメインだとみている。淡泊な白身魚のため、中国料理への利用が増えているからだ。

中国は経済成長とともに食品需要が増える一方で食料自給率は下がり、輸入品への依存度を高めている。貿易摩擦を起こした米国からの食品輸入は制限し、東南アジア諸国連合(ASEAN)など他地域からの調達を増やす。今年1月からは、水産物など食品を含む859品目に対する20年の暫定税率の適用を開始。最恵国税率よりも低く設定し、輸入促進の姿勢を示している。

日本の業界関係者は「パンガシウスの調達では、相場以上の価格を提示する中国のバイヤーに競り負けてしまう。まだまだモノ不足の中国は、高く買っても国内で十分さばけるからだ」と話す。

1尾が産卵800万個
日本のウナギ不足補う

日本もパンガシウスの可能性に目をつけ始めた。2010年代に入るまではなじみがなかったが、12年に流通大手のイオングループが実験的にベトナムから輸入。14年に輸入本格化と日本での販売を始めた。

17年にはウナギ不足を補うためパンガシウスのかば焼きを日本で発売して、話題を呼んだ。加熱蒸気でふっくらと蒸し、オリーブオイルで焼き上げることで、ウナギのかば焼きの香りや食感に似た風味を再現した。

パンガシウスの冷凍切り身(左)と冷凍調理品(右)=ハノイ

ベトナムでの原材料調達や商品開発を担う、イオン・トップバリュ・ベトナムの塩谷雄一郎社長は「パンガシウスは1尾で800万個の卵を産み、約8%の64万尾が水揚げ可能。安定供給できる白身魚として目をつけた」と話す。フライやムニエル、鍋などに万能に使えるパンガシウスは、スケトウダラなどの代替食材となりうる。

ただ、ナマズの一種であるパンガシウスは泥臭さが残りやすい。ベトナムの提携先の養殖業者と風味の向上に取り組んだ。脂分が腹部だけにたまる傾向があるため「いかに全体に適度な脂分にするか」(塩谷氏)を模索。養殖池から冷凍フィレにするまでの工程の見直しや飼料の改善を進めた。

パンガシウス(左)とパンガシウスのかば焼きの盛り付けイメージ(イオン提供)

「水温が下がると活動が鈍る。雨で動かなくなる日は池をかき回して水流をつくった」と、塩谷氏。ストレスにも弱いことから、網ですくい上げる方式ではなく、池から加工施設まで水路を設けて泳いできたパンガシウスをさばく仕組みを導入した。さばく時間は1尾当たり12秒。作業員の技術を高めることにより、鮮度を保ったまま加工を済ませている。

イオンによるパンガシウスの日本輸出量は、16年に1,000トンを超えた。塩谷氏によると、現在は年間1,000~1,500トンを供給する、イオングループのベトナムから日本への水産物輸出の中で最大の商材となっている。

日本の財務省関税局の統計によると、パンガシウスの冷凍フィレの輸入は、18年までうなぎ上りだ。19年は前年から減少したが、輸入量は6,361トン、金額ベースで26億円となった。

塩谷氏は「ベトナムの世界各国への輸出量と比べると、日本向けはまだまだ少ない」との見方を示す。向こう数年で日本での普及も徐々に進むが、世界的に魚食文化が発展している中、当面は比較的小規模な輸入国にとどまるとみている。

「食品は需要ありきだ。消費者がおいしいと思えば、また買う。日本のスーパーで『パンガシウス』と明記して売っているが、手頃で使える食材として認知されるようになってきている」(塩谷氏)

魚食時代の需給保つ
バランサーとして期待

1990年代に世界から認知され、日本にも出荷されることになった「万能ナマズ」は、なぜ広がったのだろうか。

世界の魚食文化が豊かになる反面、消費量は大幅も増加している。水産資源が枯渇する懸念が強まる中、需給を保つ「バランサー」としてパンガシウスは優れている。代表例は、ウナギの需要過多を解消する取り組みである。

塩谷氏は「ウナギ資源の枯渇の主因は食べ過ぎだ」と主張する。日本では従来、夏に多く食べられてきたが年中消費されるようになり、アジア各国など世界にもウナギの食用が広がっている。

生物がどれだけ絶滅の危機にあるかを調べた国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは、09年から貿易規制の対象となったヨーロッパウナギは最も危惧される「絶滅危惧IA類」、ニホンウナギとアメリカウナギは次に危険な「絶滅危惧IB類」に分類される。IA類はミナミマグロ、IB類はトキやジャイアントパンダなども含まれる。これに対し、パンガシウスは最も絶滅の懸念が低い「低懸念」とされている。

イオンが実際にかば焼きとして売られるパンガシウスはまだ少ないが、資源枯渇を防ぐための一つの提案としては重要だ。日本では近畿大学が開発した「近大ナマズ」も同様の役割を期待されている。塩谷氏によると、パンガシウスはふっくらとした味わい、近大ナマズは皮が柔らかくて食感がいいなど、風味の違いがあるという。

「当面は、一定数の消費者に納得してもらえる食材としてパンガシウスを供給できればそれでいい」と塩谷氏。ただ、世界の魚食需要が増せば、これまで食べられた魚がなくなってしまうかもしれない。貴重な食資源を未来に残す可能性の一つとして、ベトナム産パンガシウスは期待されている。


2020-06-13 22:33:00

セブン、2万店で生命保険販売 MS&ADと提携

金融機関
小売り・外食
2020/6/8 2:00
 
 
 

 

コンビニで生保の加入契約が可能になる(都内のセブンイレブンの店舗)

コンビニで生保の加入契約が可能になる(都内のセブンイレブンの店舗)

 

セブン―イレブン・ジャパンは保険大手のMS&ADインシュアランスグループホールディングスと提携し、全国約2万店で生命保険の販売を始める。生保業界では生保レディーなどと呼ばれる営業担当者による対面販売が原則だが、新型コロナウイルスの感染拡大で顧客と会うのが難しい。両社は電話相談窓口を設け、コンビニで契約を完了できるようにする。生保の販売モデルが変わるきっかけになりそうだ。

セブンとMS&AD系の三井住友海上あいおい生命保険がまずがん保険の販売を16日から始める。コンビニ業界が生保を取り扱うのは初めて。保険料は最低で月千円未満に設定し、高齢者を中心に年6万人の契約を目指す。

ネットにつながる店内の複合機に氏名など加入に必要な個人情報を入力し、レジで保険料を支払うと契約が完了する仕組みだ。スマートフォンやパソコンを通じて、専用サイトから事前に手続きの一部を済ませることもできる。

両社は保険の販売資格がある職員をそろえた専用のコールセンターを設置し、24時間365日いつでも相談を受け付ける。商品に疑問がある場合でも、電話で保険ショップと変わらない対応ができる環境を整える。三井住友海上あいおい生命は対面と同等の品質を保てるとして、コンビニの複合機を通じた保険加入の容認に踏み切る。個人保険の新規契約数が年30万件強の同社はコンビニでの販売を通じて契約数の上積みを狙う。

コロナ禍で対面での営業自粛が広がった生保業界では明治安田生命保険など大手も特例措置で非対面での保険加入を認め始めている。

コンビニではこれまでも保険を扱ってきたが、説明の必要が少ない損害保険が中心。セブンは自転車保険や1日レジャー保険など4つの損害保険に対応し、2019年度の加入件数は182万件だった。ローソンとファミリーマートも保険会社と組み、1日自動車保険など損保商品の加入窓口になっている。

保険の販売拠点の数は頭打ちだ。調査会社の矢野経済研究所(東京・中野)によると、複数社の保険を販売する「保険ショップ」は19年時点で前年比6%減の2497店だった。セブンは4月末時点で全国に2万930店あり、複合機を設置するほぼ全店が生保加入の窓口になる。コンビニが保険会社、銀行・郵便局の窓口、保険ショップに次ぐ生保の第4の販売チャネルとなる。

 


2020-06-13 22:31:00

インバウンド誘客を見据え、エリア全体で“食の多様性”に取り組む 岩手県二戸市

2020年6月2日

 

小さな都市の大きな挑戦

 岩手県内陸部北端に位置する二戸市は、平成30年度より「にのへ型テロワール」事業に取り組んでいます。「土地」を意味するフランス語terre(テレ)から派生したテロワールとは、もともとはワインやお茶などの品種における生育地の土地の特徴を意味する言葉です。そこから発展させた「にのへ型テロワール」は、二戸で生産されたものをストーリーと共に五感で堪能してもらうことで、つながりを作り、誘客を図っていく産業体験型観光の取り組みです。

 

                                                       岩手県の内陸部北端に位置する二戸市        

                                               馬淵川の清流を挟んでそびえ立つ景勝の地、馬仙峡

 

 

 さらに二戸市では、平成25年より5年間、ニューヨークでシティプロモーションを実施。世界の漆芸品が数多く収蔵されているメトロポリタン美術館でのセミナーや国産漆の約七割を産出する二戸産の漆を使い作られた酒器で、二戸市産の日本酒を味わい堪能するイベントなどを開催しました。回を重ね二戸の風土や文化の背景を丁寧に説明することで徐々に浸透し、イベントに持参した漆器が完売するなど、二戸市の名産物が世界へのつなげるきっかけとなっています。

 

 そんな二戸市の新たな取り組みとして、民間企業3社が、二戸市や岩手県などと連携して「フードダイバーシティ(食の多様性)宣言」を2020年1月に行いました。フードダイバーシティとは、食の多様性のこと。現在、全世界にはベジタリアン(ヴィーガン含む)、イスラム教徒(ハラール)、ユダヤ教徒(コーシャ)を合わせると約18億人いると言われています。その他アレルギーなどの理由により食の禁忌がある方々が多くおり、日本へ訪れる外国人も増えるなか多様性ある食への対応が求められています。

 

         「二戸フードダイバーシティ宣言」は、ブッシュ大統領も日本訪問の際に訪れた

                  東京、西麻布のレストラン権八で行われた

 

 

 今回の宣言は食の視点から世界標準のまちづくりを目指し、インバウンド客の取り込みや輸出増につなげていこうとするもので、東京・西麻布で行われた記者会見に登場した藤原淳二戸市長も「人口27,000人の小さな都市からの世界に向けた大きな挑戦」と挨拶。市全体を巻き込んだ取り組みは全国初めてのものとなっています。

 

理由

種類

内容

宗教

イスラム教(ハラール)

イスラム教の戒律に従って調理、加工されたと認定された肉及び魚介類を食べる。アルコールは調味料であっても厳禁

ユダヤ教(コーシャ)

ユダヤ教の教義に従った安全な食品である認定を受けたものを食べる

ヒンズー教

牛肉を食べない

ジャイナ教

根菜類を食べない

仏教(主に台湾)

ベジタリアンで、かつ五葷(ネギ類、にんにく、にら、らっきょう、アサツキ)を食べない

主義

ヴィーガン

植物性食品のみ食べる(動物性の肉、魚、魚介類、動物由来のもの、卵、乳製品を食べない)

ラクト・ベジタリアン

植物性食品と乳・乳製品などを食べる

ラクト・オボ・ベジタリアン

植物性食品と乳・乳製品、卵を食べる

 

きっかけは南部美人の存在

 フードダイバーシティ宣言をするきっかけとなったのは、日本はもとより世界で名を知られる日本酒の蔵元「南部美人」の存在でした。

 南部美人では1997年より輸出を開始、現在では世界46ヶ国へ日本酒を届けています。2019年1月には世界で初めてヴィーガン認証を受けた日本酒としても話題になりましたが、そのきっかけは2013年に取得したコーシャ認証の取得だったと、代表取締役・五代目蔵元の久慈浩介氏は語ります。

 

株式会社南部美人 五代目蔵元の久慈浩介氏

 

 「2013年にユダヤ教の食の規定となるコーシャ認証を受けたきっかけは、その前年の2012年にコーシャ認証を取得した獺祭の桜井社長にアドバイスをもらったことがきっかけでした。桜井さんは『日本酒を世界に広めていくには、日本のことが好きな外国人や、日本にも来たことがあって日本食を食べたことがあって日本酒飲んだことがある日本ラバーの外国人に飲んでもらうだけでは限りがある。その先を目指さねばならない。それには様々な壁を乗り越えなければならない、その一つが宗教。イスラムの人はお酒がダメなので無理だけれど、ユダヤ教の規定であるコーシャ認証をとることは世界の市場に認められるには、分かりやすい』とアドバイスをくれました」。

 コーシャ認証審査のために、コーシャ・ジャパンから何度か人が来て、南部美人の蔵はもちろん、原材料となるお米の生産者の所まで行ったりと、さまざまな視点から徹底的に調べていったそうです。そのとき、同時にヴィーガン認証も取得することも考えたものの、当時問い合わせをしたヴィーガン協会からは、アルコールは認証の対象にしていないと断られたそうです。しかしその後、アルコールも認証できるようになったとの情報を得て、ヴィーガン認証を取得したのが2019年1月のことでした。

 

 南部美人はコーシャの認証を取得することで、輸出額が30%アップしました。また、昨年ヴィーガン認証を取得したことによって、それまで何度足を運んでも扱ってくれなかったレストランなどでも置いてくれるようになるなど、外国人観光客が多い飲食店を中心に取引先が確実に増えているそうです。

 

 「アフリカのウガンダに行ったのですが、ウガンダでは当たり前のようにヴィーガンやハラール対応がされていていました。日本は先進国と言われますが、世界から旅行に来た方が安心して、自分の主義・主張にあった食を楽しむことができる状況では決してありません。弊社の日本酒はコーシャ認証に続き、ヴィーガン認証を取得することで、多くの外国の方に選んでもらえるようになりました。日本人だったら日本酒がどんな材料で、どうやって作られるか知っているかもしれませんが、海外の方は知りません。選んでもらうために、彼らが知っている団体から認証をもらうことは、選んでもらいやすくなること。日本中の蔵元がヴィーガン認証を取得したらいいと思います」と久慈さんは熱く語ります。

 

 

先頭に立って市全体を牽引する3事業者  

 南部美人についで、2019年12月には南部せんべいの小松製菓がヴィーガン認証を取得。久慈ファームも熟レ鳥でハラール認証を目指すと発表したこともあり、世界中の食の禁忌のある方々でも安心して楽しんでもらえる世界基準のまち「フードダイバーシティ宣言」をすることになりました。今回の宣言は二戸市の事業者3社(南部美人、小松製菓、久慈ファーム)によるもので、それを二戸市や岩手県、ジェトロ盛岡が応援していく形なりますが、二戸市全体の多くの事業者と連携しながら実行していきます。

 

             二戸市の3事業者によって行われたフードダイバーシティ宣言は、

                今後さらなる他の事業者との連携も予定されている

 

 

 二戸市の総合政策部公民連携推進課の五日市寿丸氏も「フードダイバーシティ宣言」に可能性を感じ、市内の事業者や市民への説明がスムーズにいくよう行政としても側面支援していくそうです。

 「食の禁忌を持つ方は、日本に旅行にいらしてもどれが安心して食べられる物が分からず、困っている方も多いと聞きます。自国から自分が食べられる物を持参する方もいるそうです。これまでも二戸市では、にのへ型テロワール事業で食を中心に取り組んできました。食の多様性対応を推奨することで、これから増えてくる外国人旅行者の方々に“二戸市は、安心して食も楽しめる場所だ”と認識してもらいたいですし、ジャパンレールパスを持っている外国人旅行者の方には食事をしに新幹線に2時間40分乗って、二戸市に来てほしいと思っています。東京2020+1都市に選んでもらえることを目指せたらと二戸市でも取り組んでいきます」と語ってくれました。

 

日本中が、食の多様性に対応した場所へ

 「日本中の田舎が、食の多様性に対応するフードダイバーシティ宣言をしていけばいいなと思います。食の禁忌を持つ人も、通常食の人も、皆に優しい町が増えたら日本に旅行に来るお客さんも幸せで、日本に来る人がもっと増えるのではないでしょうか」南部美人の久慈さんが語っていた話も決して夢ではありません。

 

 日本を訪れる外国人観光客の楽しみの一つは食を楽しむこと。世界中からの観光客が日本へとやってくる現在、地域全体での食の多様性に対応していくことも必要な時代になってきたようです。

 

                                         (やまとごころ編集部)

 

 

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