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2024-06-07 20:47:00

2024年版「世界のベストレストラン50」 ファインダイニングの夢を再び

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アメリカ・ラスベガスで行われた「世界のベストレストラン50」

「世界のベストレストラン50」のアワード授賞式が6月5日(現地時間)、アメリカ・ラスベガスの統合型リゾート「ウィン・ラスベガス」で行われた。シェフやメディアなど約1200人が集まる過去最大規模で、会場ではライブ音楽やダンスパフォーマンスなどが行われ、ショービジネスのメッカらしい華やかな雰囲気となった。

No.1はバルセロナの「楽しむ」店

今年、世界No.1に輝いたのは、スペイン・バルセロナの「ディスフルタール」。「エル・ブジ」の研究開発チームの3人組、エドゥアルド・シャトルック、オリオール・カストロ、マテウ・カサーニャスが、感情に訴えかけるアプローチを行う料理を生み出している。「楽しむ」という名前の店名通り、サービスの手法も含めて、驚きに溢れる演出が盛り込まれており、まさに食体験として楽しめる。

「エル・ブジ」は、日本の美意識や情緒に大きく影響されていることで知られる。この「ディスフルタール」も、例えばバラの花びらにローズウォーターとジンのジェルを朝露のように垂らした一品など、儚く情緒的な料理に、その影響を感じることができる。

また、コロナ禍中に生み出された「恐れ」という料理は、ドライアイスの煙が立ち上る箱の中におそるおそる手を入れると、ほっとする温かさの、海水で茹でたばかりのエビが入っており、恐れを克服して挑戦すれば、おいしさが待っている、というメッセージが込められている。

シャトルックは、「店にいる間、現実を忘れ、まるで夢のような時間を過ごしてくれれば」と語る。今回のアワードを通して食の世界に「夢を見る」時代が、また戻ってきたと言えるだろう。

会場がラスベガスだったのも象徴的だ。ゴールドラッシュ時代は一攫千金を夢見てカリフォルニアに向かう人々の中継点として栄え、その後は砂漠の只中のカジノの街として知られるようになった。空港からすでにスロットマシーンが並んでいるのも、ラスベガスならではの景色で、空港からのタクシー運転手も「カジノで、一夜にして億万長者になった例も知っているよ」と、そんな空気を盛り上げる。

カジノは国籍も経歴も関係なく、「運」一つで人生の逆転劇を狙うことができる。アメリカンドリームの体現を目指しカジノに訪れる人々が、現代版のゴールドラッシュにも見えてくる
毎日11万人の人々が夢を抱いて訪れるラスベガスは、祝祭とエネルギーあふれる街。特に人気があるという飲食店を数軒訪れたが、中国料理やイタリア料理など、アメリカに移民したコミュニティが大きい国の料理が多いのが印象的だった。米国内ではハワイから移住する人も多く、ハワイ料理の人気店もあった。

バンドの生演奏のあるイタリアン「モンズ」では、32歳まで歌手をしていたというジョバンニ・マウロシェフが、コースの最後にステージに上がり、歌でも店内を盛り上げた。「歌手もシェフも、どちらの自分の夢。両方叶えられるのがラスベガスという街」と語るなど、エンターテイメントの街として、食を楽しむ活気がそこここに感じられた。「夢」はラスベガスのDNAでもあるのだろう。

「夢」を下支えする多様性

50 BESTのチャールズ・リードCEOは、「パンデミックを経て、今こそ美食の世界を祝し、そのレベルをあげて、人々にレストランの魅力を伝えることに集中すべき時。50ベストはそのために人々を繋いでいきたい。ここに集まったシェフやメディアの数が、その証だ」と、再びファインダイニングという夢を見る時代を賞賛した。

その「夢」を下支えするものは何か。コンテンツディレクターのウィリアム・ドリュー氏は、2024年の美食の世界を代表するキーワードは「多様性」であると語る。


食の世界に変革をもたらす店に贈られる「チャンピオン・オブ・チェンジ賞」には、イタリアのマッシモ・ボットーラシェフのもとで働くジェシカ・ロスバルシェフのプロジェクトで、職を得ることが難しい難民の女性に料理を教え、母国の料理を調理してもらうレストラン「ルーツ」などが選ばれた。
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授賞式に先立って行われる「50ベスト トーク」のテーマは、新しい才能を見つけるという思いからつけられた「宝探し」。それは同時に、これまでにない新しい切り口で既存の飲食業界を見つめ直すことで、不可能だと思われてきたことを可能にしたり、新たな世界を切り拓き、未来の明るい展望を見出そうとする世界の動きにも捉えられる。

例えば、オーストラリアの魚にフォーカスしたレストラン「セント・ピーター」のジョシュ・ニランドシェフ。魚の目玉のコラーゲンを使ったヨーグルト味のアイスクリームを、チョコレート味のパンで挟んだ「アイスクリームサンドイッチ」を提供し、天然魚を使う代わりに、未利用魚を活用したり、目玉や骨なども廃棄せず、無駄なく魚を使い切るというアプローチを紹介した。

「イレブン・マディソン・パーク」のダニエル・フムは、自身のプラントベースのアプローチについて述べた上で、シェフを画家に例え「もし、緑よりも赤い色の方が高価だったとしても、高価だから赤色を絵に使いたいと思うわけではないでしょう? 野菜よりも肉の方が高価だから価値がある、というような、食材を価格というヒエラルキーで捉えることはやめるべき」と語った。

日本でもペルーの風土を表現した「マス」が注目を集めているが、その母体となる「セントラル」で研究開発を担当、マレーナ・マルティネスは、ペルーの生物多様性について語り、チョコレートを作る際に、カカオの実全体の15%しか食用に使わないことから、残りの部分の有効活用について考えたり、新しいものに目を奪われがちななかで、インカ時代以前から伝わる食材の保存法など自分たちのアイデンティティを保ち続けることが大切だと訴えた。

人は夢を見る生き物だ。ファインダイニングは、平和で文化的、豊かな暮らしがあるからこそ成り立つもの。若い世代も、ファインダイニングという夢が見続けられる未来に向けて。ラスベガスから発信されたメッセージには、そんな未来への明るい希望が込められているように見えた。

BEST 50に日本のレストランは3軒

日本のレストランは、15位の「セザン」と21位の「フロリレージュ」が共にランキングを上げ、32位に「傳」がランクイン。51~100位のリストには、56位に「ナリサワ」、66位に「ラシーム」、93位に「茶禅華」が入っていた。

2024年度「世界のベストレストラン50」、上位50軒のリストは以下の通り。

1. Disfrutar | Barcelona
2. Asador Etxebarri | Atxondo
3. Table by Bruno Verjus | Paris
4. Diverxo | Madrid
5. Maido | Lima
6. Atomix | New York
7. Quintonil | Mexico City
8. Alchemist | Copenhagen
9. Gaggan | Bangkok
10. Don Julio | Buenos Aires
11. | Septime | Paris
12. Lido 84| Gardone Riviera
13. Trèsind Studio | Dubai
14. Quique Dacosta | Dénia
15. Sézanne | Tokyo
16. Kjolle | Lima
17. Kol | London
18. Plénitude | Paris
19. Reale | Castel di Sangro
20. Wing | Hong Kong

21. Florilège | Tokyo
22. Steirereck | Vienna
23. Sühring | Bangkok
24. Odette | Singapore
25. El Chato | Bogotá
26. The Chairman | Hong Kong
27. A Casa do Porco | São Paolo
28. Elkano | Getaria
29. Boragó | Santiago
30. Restaurant Tim Raue | Berlin

31. Belcanto | Lisbon
32. Den | Tokyo
33. Pujol | Mexico City
34. Rosetta | Mexico City
35. Frantzén | Stockholm
36. The Jane | Antwerp
37. Oteque | Rio de Janeiro
38. Sorn | Bangkok
39. Piazza Duomo | Alba
40. Le Du | Bangkok

41. Mayta | Lima
42. Ikoyi | London
43. Nobelhart & Schmutzig | Berlin
44. Mingles | Seoul
45. Arpège | Paris
46. SingleThread | Healdsburg
47. Schloss Schauenstein | Fürstenau
48. Hiša Franko | Kobarid
49. La Colombe | Cape Town
50. Uliassi | Senigallia
2024年版「世界のベストレストラン50」 ファインダイニングの夢を再び | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)