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代替肉、フードテックで納得の味 投資妙味も三ツ星級

食とテクノロジーを組み合わせた「フードテック」の裾野が広がっている。植物由来のたんぱく質で作る代替肉は、物珍しさから味わいを追求する本格的な商業段階に入った。先端IT(情報技術)を活用して農作物の生産性や販売効率を上げる取り組みも増えている。SDGs(持続可能な開発目標)の潮流につながる投資テーマとして最新の動きを探った。
やや緑色をしたバンズに厚切りトマトとキャベツ、レタス、「大豆由来の肉」が挟まっている。別添えのソースをかけると、食べ慣れた「テリヤキバーガー」とほとんど変わらない味がした。代替タンパク質にありがちの青臭い匂いも気にならない。モスフードサービスが9月からモスバーガーで提供を始めた「グリーンバーガー<テリヤキ>」は、税込み580円という価格を除けばおおむね消費者から好評を得ている。
ブームから競争へ
代替たんぱく質とは、食肉など動物性たんぱく質の代わりに植物性の原料やその他を使って作られたたんぱく質を指す。植物性たんぱく質を加工した「代替肉」と細胞培養技術を用いた「培養肉」に大別される。
飼料から食肉にする流れは、植物から直接たんぱく質を得る流れに比べてエネルギー効率が悪い。また、肉類は生産・輸送の過程で二酸化炭素(CO2)を排出したり、家畜の消化器からメタンを大量発生したり、といった環境負荷の大きさが問題視されるようになった。
代替肉ブームは、動物由来の食材を食べない「ビーガン(完全菜食主義者)」の支持が起点となっているが、近年、広く浸透するようになったのは、国際的なSDGs重視による脱炭素の潮流も背景にある。
一過性のブームで終わらず、味や価格、メニューの多様性を競う時代に入りつつあるのは、代替肉の先駆者である米ビヨンド・ミートの株価が証明している。飲料大手の米ペプシコとの提携が材料視され今年1月には221ドルの高値を付けたが、足元の株価は70ドル台。米バーガーキングと提携した米インポッシブル・フーズの台頭など、競争激化による収益性の低下が懸念されている。

欧米に比べて市場の立ち上がりが遅い日本でも、2019年以降、代替肉製品の発売が相次ぎ、競争は徐々に熱を帯びだしている。食品関連の企業では、1950年代から大豆原料の食品素材を開発する不二製油グループ本社が先行し、食品大手の日本ハムや伊藤ハム米久ホールディングスなども参入した。
小売業界ではセブン&アイ・ホールディングスがイトーヨーカドーやセブン-イレブンなどで大豆由来の代替肉を使った総菜を発売。ローソンもメンチカツバーガーなどを展開する。

スタートアップを中心に、品質向上を追い求める技術革新も起きている。米コロラド州に本社を構えるMeati Foods(ミーティ・フーズ)は、キノコの菌糸体をベースにした代替肉の開発に取り組む。ステーキや鶏の胸肉のような繊維を形成できるため、実際の肉質に近い食感を得られるのが特徴だ。製造時間も数十時間で済み、大豆などと比べ広い土地や大量の肥料を必要とせず、持続性もある。同社は大規模な生産工場の建設を進め、22年の商業規模の製品販売を目指している。
高級食材のフォアグラを培養
ネクストミーツ(東京・新宿)やアルガルバイオ(千葉県柏市)は、それぞれ藻類から代替肉をつくる研究を進めている。植物性たんぱく質の含有率は大豆やエンドウ豆が20~30%なのに対し、種類にもよるが藻類は50~70%。光合成でCO2を吸収したり、バイオ燃料になったりといった利点もある。「人口増で懸念されるたんぱく質不足や、世界的に加速する脱炭素において大事な役割を担う」(アルガルバイオの木村周社長)
代替たんぱく質のもう一つの柱である「培養肉」の研究開発も活発になっている。

日清食品ホールディングスは、17年から東京大学と「培養ステーキ肉」の共同研究に取り組み、19年には世界で初めてサイコロステーキ状の立体筋組織を作ることに成功している。肉自体をより大きくすることや肉本来の味や食感を忠実に再現することを目指す。
インテグリカルチャー(東京・文京)は高級食材のフォアグラの培養に取り組む。19年に食べられる培養フォアグラの生産に成功。22年中にはレストランなどで販売する計画だ。
関連投信好調、ESG追い風
代替肉を開発するDAIZ(熊本市)は8月から11月にかけて、三菱ケミカルホールディングス、丸井グループ、「焼肉きんぐ」を運営する物語コーポレーションなどと相次いで提携し出資を受け入れた。調達した資金は十数億円程度とみられる。
フードテックを巡るマネーの流入は、ESG(環境・社会・企業統治)投資やSDGs重視の観点もあり、足元で顕著だ。ただ、スタートアップの存在感が比較的大きい分野だけに、個人投資家が投資ポートフォリオへ組み込むのには限界がある。投資信託を活用しリスクを抑えて恩恵を得るのも手だ。

フードテックをテーマとした主要な投資信託の、ここ1年の運用成績は良好だ。野村アセットマネジメントと三井住友DSアセットマネジメントが設定・運用するフードテック投信の基準価額は、10月末時点でともに前年同期比40%超上昇した。同期間の日経平均株価の上昇率(26%)を大きく上回る。
組み入れ銘柄の多くは欧米企業だ。米ディア・アンド・カンパニーのような農機メーカーや米トリンプルのような計測機器メーカーなど、投資先企業は幅広い。フードテックのコンサルティングを手掛けるシグマクシスの田中宏隆常務執行役員は「欧米ではドラスチックにフードテックが成長し始めている」と指摘する。
半面、フードテック投信における日本企業の組み入れ比率は低い。出遅れた形の日本勢が、技術を武器にどこまで投資家の注目を集められるか、分水嶺に立っているといえそうだ。
(下野裕太、川路洋助)
代替肉、フードテックで納得の味 投資妙味も三ツ星級: 日本経済新聞 (nikkei.com)
[日経ヴェリタス2021年11月28日号より抜粋]
