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[4]経営者のア-ト系スキル ②:勇気
(1)経営者に必要な「勇気」とは
① トレ-ドオフを理解したうえで、どちらかを捨てる勇気
経営資源は有限なので、「あれも、これも」はできない。AをとればBを捨てなければならないというトレ-ドオフの選択の局面に、経営者は立たされる。
多くの場合、経営者とは「トレ-ドオフのなかで、勝つためにAに資源を投入する。そのためにBへの資源投入をあきらめる」という意思決定を行うことである。
② 不完全な情報下でも必要なタイミングで決断する勇気
不確実な上京でも勇気を持って意思決定した有名な例として、ヤマト運輸の小倉昌男による宅急便事業(個人向け運輸サ-ビス事業)への進出と、それに伴う法人向け運輸サ-ビス事業からの撤退の決定がある。小倉昌男は1976年に宅急便事業を開始し、その3年後の1979年に三越との輸送契約を解消した。
●小倉昌男
現状のままでは負ける。勝ための必要条件があり、それを満たさなければ勝てないが、必要条件を満たしたからといって勝てる保証はない」という状況であった。このような上京でしり込みする経営者が多いなか、小倉昌男は勇気ある意思決定を行った。
③やめる勇気、変える勇気
●柳井正
「スポクロやファミクロなど、僕の事業は失敗の連続です。新しい事業はそもそも失敗することが多いんです。問題は失敗と判断した時に、すぐに撤退できるかどうかだ。撤退もスピ-ドが大事」
●高原慶一朗
「ダ-ウィンの進化論によれば、この余で最後まで生き残る生物は、最も強い生物ではない。最も賢い生物でもない。変化し続ける生物だけが生き残れるんです。これは企業にもそのまま当てはまります」
③ 必要ならば情を捨てて人を切る勇気
これだけ環境変化のスピ-ドが早くなった現在の事業環境では、「昨日の適任者」が必ずしも「今日の適任者」とは限らない。
たとえ過去にどんなに会社に貢献した部下・同僚・先輩でも、プラスよりマイナスのほうが多くなった場合は、その役職・地位を退いてもらう必要がある。その際、情を捨てて自分の部下・同僚・先輩を入れ替えるのが、あるべき経営者だろう。
(2)正しく勇気を使うための要件
1.メンタル・タフネス
経営者にしかできない、経営者だからこそ行うべきつらい決断に耐えるだけの精神的な耐性さ。
2.リスク管理
・ダウンサイド・リスクの見極め
・失敗した場合の立ち直りプラン
3.無私・倫理観
自分のためでなく、会社/お客様/社会のため