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今回は、「日本企業の将来像」として、「全員マネジメント」について、「全員マネジメントとは」と「全員マネジメントの事例」について紹介しよう。
日本企業の将来像(7) |
[3]全員マネジメントへの道
従来型「企業マネジメント」は、トップの強力なリーダーシップによって、「トップダウン」で、創業期や成長期には効果があった。
しかし、乱気流時代に突入し、しかも「お客様の自己実現時代」になると「全員マネジメント」が不可欠になってきた。
(1)全員マネジメントとは
日本の企業において、乱気流を切り抜けたり、低迷をしていた企業の復活の要因を探ると、トップの卓越したリーダーシップはもちろんのこと、現場への徹底したコミュニケーションによって、太いツー・ウエイ・コミュニケーション・システムが構築され、「全員マネジメント」が確立されており、さらに追求していくと「日本の企業のDNA」であることが明確になった。
「経営の神様」と言われた松下幸之助は、その著書「実践経営学」で、「衆知を集めた全員マネジメント、これが私の経営者として終始一貫を心がけて、実行してきたことである。全員の知恵がマネジメントの上に、より多く生かされれば生かされるほど、その会社は発展する」と説明している。
さらに、松下幸之助は、「経営者みずからが衆知を集めてものを考え、仕事をしていくことも大切だが、それとともに、できるだけ仕事を任せて部下の人々の自主性を生かすようにしていくことも、衆知を生かす一つの行き方である。そうすることによって、その場その場で、それぞれの人の知恵が最大限に発揮され、全体としては、皆の衆知が生かされることになる」としている。
(2)全員マネジメントの事例
セブン・ゴールド
現在脚光を浴びているのが、「セブン&アイ・ホールディングス」の「プライベート・ブランド」の「セブン・プレミアム」のワンランク上の「セブン・ゴールド」である。
通常の「プライベート・ブランド」は、お客様の「ニーズ」によって「価格訴求」の商品を開発する。しかし、「セブン・プレミアム」は、お客様の「ウォンツ」によって、「アップスケール」させた商品開発により、他を圧している。
しかし、「セブン・ゴールド」は、お客様の「シーズ」を開発するべく、それぞれの業界(専門店、百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア)のトップとして位置づけられている「品質水準」を目標に「商品開発」を行い、「価格志向」でなく、「価値志向」によって、大ヒットを続けている。
製販同盟
元々、「セブン-イレブン」では、「製販同盟」という「チーム・マーチャンダイジング」という組織によって、多くの商品開発を行っていたが、「セブン・ゴールド」は、特に製造はメーカーの最高の技術を生かして、より、「製販同盟」を強化なものにした。
さらに重要なことは、通常「プイベート・ブランド」の商品は、製造者の企業名は表記しないが、「セブン・ゴールド」は、製造者の企業名を表記しているので、お客様からの評判も高い上に、製造者の商品開発意欲は高まるとともに、責任感も醸成されている。これこそ、「創造的破壊」による「イノベーション」の典型的な例である。
商品開発組織
「セブン・ゴールド」の商品開発には、トップの方針として「価格優先ではなく、高品質を徹底して追求」がかかげられた。そして、「セブン・ゴールド」の開発にあたっては、「セブン-イレブン」「イトーヨヘカドー」「そごう・西武」の総ビジネス・フォーマットによる「セブン&アイグループMD部会」が組織化された。
「組織横断型チーム組織」は、「担当する商品の売場を背負う人間が自らの思いを持って開発するべき」として、次のステップを設定した。
1.お客様の不満点を探ることに、慎重に時間をかける。
2.商品コンセプトの仮設づくりを行う。このために「目標品質」を明確にする。
3.実際の商品開発を行い、あるべき姿を実現し、店舗に商品価値をコミュニケーションする。
4.店舗では「仮設」と「検証」を繰返し、次の「仮設」に連動させる。
かくして、「セブン・ゴールド」の大成功は、トップの方針、MD部会、製造者、店舗とによる「全員マネジメント」による成果によるものとして称賛されている。