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今回は、「日本企業の将来像」の「未来価値創造」として、「未来価値創造の時代」「お客様発のマーケティング戦略」「お客様発のマーケティングのキイ・ワード」をご紹介しよう。
日本企業の将来像(6) |
[2]未来価値創造戦略
「日本企業の将来像」を描くには、「未来価値創造戦略」を確立し、さらに実現に向けて「ピープル・パワー」を結集しなければならない。
このなかで、特に「未来価値創造の時代の到来」を認識するとともに、「お客様発のマーケティング戦略」と「キーワード」を意識しながら「未来価値創造」をしなければならない。
(1)未来価値創造時代の到来
現在の「マーケティング戦略」を確立するには、未来の生活行動予測によって、「お客様の立場に立つ」という「価値創造」を行うことであった。
しかし、乱気流が頻発する時代になり、現在の「マーケティング戦略」では、追いつけなくなってしまった。
この情況を打破するためには、「戦略」そのものの「創造的破壊」を行い、「お客様発のマーケティング戦略」に大転換を図ることによって、お客様との「共創的」な「未来価値創造」を行わなくてはならない時代が到来したことを認識しなければならない。
(2)お客様発のマーケティング戦略
「お客様の立場に立つマーケティング戦略」は、確かに従来型の「マーケティング戦略」と比較するとお客様に近づいたもの、まだまだお客様になりきっていない点が多々あることは否めない。
この段階においての「企業戦略」を導く「企業ミッション」はあっても、極めて抽象的なものが多い。
したがって、「企業戦略」も乱気流が頻発する時代になると、お客様の行動に適応することができなくなって、企業の方向を見誤る現象が多発し、右往左往してしまい業績を悪化させている。
ここで重要なことは、「お客様の立場に立つマーケティング戦略」から脱皮し、よりお客様の要望に合致する「お客様発マーケティング戦略」に転換していくことが不可欠になっている。
この場合、大きなポイントは、「マーケティング戦略」→「経営戦略」「情報マネジメント戦略」「組織マネジメント戦略」「人的資源マネジメント戦略」→「財務マネジメント戦略」というような「企業戦略」を確立し、次に「企業ミッション」を具体的に修正する覚悟も必要である。
(3)お客様発のマーケティングのキー・ワード
キー・ワード | 未来予測型 | 未来価値創造型 |
企業の役割
| 生活者のニーズやウォンツの実現の協力者 | 生活者のシーズの発掘者
|
企業の価値観 | 社会的責任 | 共有価値の創造 |
21世紀の経営資源
| 人、物、金
| 人、知識、情報、物、金、ブランド みずから判断していく「おもてなし」が出来る能力 温かい家族的な雰囲気づくり |
価値創造 | 価値創造 | 未来価値創造 |
経営理念
| 抽象的経営理念
| 具体的経営理念と行動方針 日本の職業倫理の確立 |
ビジョン
| エクセレント・カンパニー ビジョナリー・カンパニー
| サクセシイブ・カンパニー オンリーワン・カンパニー アドマイヤー・カンパニー グレート・カンパニー おもてなし・カンパニー レジリエント・カンパニー |
産業としての位置づけ
| 情報産業、環境適応産業
| おもてなし産業 ヒドノミクス産業 環境創造産業 未来価値創造産業 共創産業 |
起業家精神 | 事業意欲 | パッション(情熱) |
企業マネジメント | トップ・ダウン | 全員マネジメント |
店舗運営力 | お客様 | 個客 |
店舗運営の原理原則
| ①Quality(品質第一) ②Service(最良のサービス) ③Cleanliness(清潔感一杯)
| ①Omotenashi (心からのおもてなし) ②Delicious (最高に美味しい料理) ③Atmosphere (素晴らしい雰囲気の店) ④Value (価値と個性化づくり) |
企業目標 | 成長 | 最良 |
組織的戦略提携 | 垂直的統合 | 生製販同盟 |
M&A | 企業拡大 | 人財強化、時間短縮 |
企業化 | 国内企業化 | グローバル企業化 |
企業戦略 | 社会的経済的環境への対応 | 社会的経済的環境の創造 |
事業戦略 | 拡大と多角化 | 集中と選択 |
マーケティングの基本 | お客様の創造 | お客様発の創造 |
マーケティングの役割 | 満足の提供 | 感動、感謝、至福の提供 |
マーケティング戦略 | ニーズの発掘 | ウォンツ、シーズの発掘 |
マーケティング関係 | ベンチマーキング | スーパーバリュー |
市場調査 | 市場調査 | タウン・ウォッチング |
ハイ・クォリティ・オブ・ライフ | キーワードの導入 | キーワードの複数化 |
個性化の原石 | 成功事例 | 失敗事例 |
個性化戦略 | ナンバー・ワン | オンリー・ワン |
ライフサイクル | ライフササイクル | 創造的破壊とイノベーション |
競争戦略 | 競争戦略 | 個性化戦略 |
ビジネス・プラン | 事業意欲 | 社会的使命 |
接客サービス戦略 | ベスト・サービス | エクセレント・サービス |
アプローチ | 分析型アプローチ:演繹法 | 現場重視型アプローチ:帰納法 |
システム方向性 | 形式知(マニュアル化) | 暗黙知(ノウハウ化) 実践知、共通善 |
法律・規律 | コンプライアンス遵守 | オーバーの予防 |
組織マネジメント戦略 | トップダウン | 全員マネジメント ダイレクトコミュニケーション モラール モチベーション |
人的資源マネジメント戦略 | 人材育成 | 人財育成 リーダーの育成 人間力、自主性、自己啓発、褒める文化、現場スタッフ重視 |
※帰納法:個々の事実から原理原則を導き出すこと。
※演繹法:一般的なものから特殊なものを引き出すこと。
※ベンチマーキング(benchmarking):最良の企業の成功要因を導き出し、自社を改善しコア・コンピタンス(corecompetence:企業の中核能力)を確立することである。
※スーパーバリュー(super value):最高品質で価値価格を提供すること。
※レジリエント(resilient):危機に強く、回復力のあること。たんに耐久力があるだけでなく、企業環境の変化を的確に把握し、次なる環境を創造し、次なる発展のパワーを発揮できること。そして、企業スタッフとお客様が一体となり、フアン化を徹底していく。
※「実践知」というのは、「即興の判断力」で、「察知力」を必要とする。
※「共通善」というのは、「価値基準」を持つことで、「共同体としての組織力」をつけ、「実践知」が効果的に発揮できるものである。
※「全員マネジメント」を発揮するには、「実践知」→「形式知」→「暗黙知」の連結化である。