不人気だったドラマ「深夜食堂」がブームに!?

 中国では知る人ぞ知るコンテンツだった「深夜食堂」がブームになっている。「深夜食堂」とは、安倍夜郎による人気コミックを原作としたドラマのことだ。深夜0時から朝の7時ごろまでしか営業しない食堂のマスターと客たちとの交流を描く作品で、2009年に日本でドラマ化され、その後、中国でもネット配信されて話題になった。

 このドラマが今ごろになって再び注目を浴びたのは、今年6月にスタートした中国および台湾向けのリメーク作品「深夜食堂(華語版)」がきっかけ。鳴り物入りで登場したものの、中国にはない小料理屋風の店が舞台となっており、物語も日本の食文化をベースとしているため中国人には違和感がありすぎたようで、評価サイトでもまれに見る低評価作品となった。ところが逆にその“違和感”が面白いと注目され、ドラマの認知度が上がるという皮肉な結果につながったのだ。

 しかも、話はそれで終わらない。「ふりかけ(だけの)ご飯」や「一手間かけた即席麺」は中国ではあり得ないという多数派の意見をよそに、そういった食文化に興味を示す中国人も少なからずいて、「深夜食堂」のレシピを真面目に紹介するウェブサイトなどが人気に。さらに、書店では日本の大衆食堂を紹介するガイド本などをよく目にするようになり、「淘宝網」などのECサイトでは深夜食堂“非”公認スマホケースをはじめ、作中によく登場する卵焼き器などの調理器具や、かつお節などの日本の食材を取り扱う店が増えたのだ。

レシピサイト「下厨房」には「深夜食堂」というジャンルができた
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「淘宝網」には、これまで見向きもされなかったお茶漬けを扱うショップが登場
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「深夜食堂」の壁掛け。こんなものまであるのも同番組の人気の証しだ
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