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2016-10-01 23:03:00

今回は、「個性化戦略」を確立するための「戦略論」についての理論の一つであるフィリップ・コトラ-「競争的マ-ケティング戦略」と嶋口光輝の「競争対抗戦略-成熟市場における戦略定石」を紹介しよう。

 

個性化戦略(3)

 

[2]定石としての戦略

 

 すべてのゲ-ムに基本ル-ルや定石があるように、「マ-ケティング戦略」の「定石」があるといわれている。「戦略」の「定石」とは何か。それは「競争上の地位」に応じて対応の「定石」があるということである。

 

(1)フィリップ・コトラ-の戦略論

 

 フィリップ・コトラ-は、「マ-ケティング・マネジメント」の中の「競争的マ-ケティング戦略」について、次のように説明している。

 マ-ケティング戦略とは何だろうか。われわれは次のように定義している。

「マ-ケティング戦略とは、一貫性のある、適切な、かつ実行可能な諸原則の集合であって、企業はそれによって、ある競争環境のもとで、長期的な顧客および利益目標を達成することを期待する。」

 マ-ケティング戦略では、いくつかの要素を考慮しなければならないが、それらは、

1.市場における企業の競争上の規模と地位

2.企業の資源、目標、政策

3.競争企業のマ-ケティング戦略

4.タ-ゲット市場の購買行動

5.製品ライフサイクル上の段階

6.経済の特性

である。

 

 この中で、「市場における企業の競争上の規模と地位」については、次のように説明しています。

 市場の40%はマ-ケット・リ-ダ-の手中にあり、最大シェアを誇る。また30%はマ-ケット・チャレンジャ-の手中で、攻撃的戦術で積極的にシェア拡大を図っている。20%はマ-ケット・フォロワ-で、この企業は現シェア維持に主眼をおいている。残りの10%はマ-ケット・ニッチャ-と呼ばれる小規模企業群にあり、これらの小企業は大企業が興味を示さない小さなセグメントを対象にしている。

 

(2)競争対抗戦略

 

 嶋口充輝は「戦略的マ-ケティングの論理」の中で「競争対抗戦略-成熟市場における戦略定石」として、次のように説明しています。

 

① 競争対抗戦略の出発点

 競争市場戦略では、市場内の競争ゲーム的色彩が強まるが、いかなる競争ゲ-ムにも一種の定石ル-ルが存在するように、ここでも論理的に効果のある一定のル-ルが存在する。

 直後に、競争相手の市場内持分を奪うための競争対抗戦略は、一般的枠組としてどのような状況下で、どのような特性を持つ組織が、どのような戦略を採用すれば、どのような成果が得られるかを明確にすることによって、その有効な一般的方法が明らかになる。ここでは、特に、企業が競争市場内に占めている現在の競争的地位を、一つの主要状況変数ととらえ、その競争地位にある類型企業が、どのような戦略を採用したら、最適な成果が得られるか、という形で論じることにする。換言すれば、現在当該市場のなかである競争地位を占めている企業が、その地位に応じてどのような戦略を採用すれば、最適な成果が期待しうるかを明らかにするのである。

 この競争対抗戦略の出発点である現在の競争地位のもつ戦略形成への重要性は各種の研究でも明らかにされているが、日常経験のなかでも、相対的パワ-や体質の差を無視した競争が不利益を生み出すことは広く認識されている。

 

② 競争地位の類型化と戦略の使命

 競争対抗戦略立案の出発点ともなるべき、現在の競争地位の確認が、まず必要になる。これまでの研究では、企業の競争地位を2類型としてとらえる方法、つまり、リ-ダ-対フォロワ-のツ-・パ-ソンズ・ゲ-ム(two persons game)の図式がほとんどであった。

しかし、この2類型は、特に今日的課題である成熟市場内の競争対抗戦略の基礎として単純化しすぎる嫌いがある。現実の市場内競争をみても、リ-ダ-以外の競争者をフォロ-としてひとくくりにしてしまうことは、2番手以下の競争者間における異質性をまったく無視してしまうことになる。

以上の点で、ここでは、より市場実態に即した4つの競争地位を設定し、その各々に応じた競争対抗戦略の考え方を、議論してみることにしたい。ここで、設定した4つの類型化は、「市場リ-ダ-」「チャレンジャ-」「フオロワ-」「ニッチャ-」である。

 「市場リ-ダ-」とは、現在の当該市場において最大の市場シェアを保持している業界大手企業を指す。当然、最大シェアを獲得しているゆえ、それに合わせた販売マ-ケティング・ノウハウの蓄積、商品開発技術力、流通チャネル・カバレッジ、広告・プロモ-ションのパワ-、その他マ-ケティング関連資源や生産設備などを最大に有している。

市場リ-ダ-は、規模が一般的には他の競争者より大であるゆえ、競争者と同質競争をとれば、その規模の力によってほぼ勝てると考えられるのである。またリ-ダ-は、競争市場内での使命として、最大市場シェア、利潤、名声を維持・向上させていく。

 「チャレンジャ-」とは、市場リ-ダ-の地位を狙って、いつか自らがその地位につこうと挑戦する企業である。一般には、業界の2~3番手に位置し、企業規模も、当然、そこにとどまっている。

高度成長期にあっては、リ-ダ-とほぼ同じ戦略をとっていれば、その市場規模拡大に応じてともに成長しえたというメリットをもつが、低成長期ないし市場成熟期には、リ-ダ-・パワ-によって上からシェアを侵蝕されると同時に、下からもユニ-クな小企業から市場シェアをつつかれて食い荒らされるという性格をもつ。

したがって、リ-ダ-は、オ-ソドックスな戦略を行使しても規模の力である程度シェアの維持、拡大を果たしうるが、このチャレンジャ-は、リ-ダ-との差別化ないし、非オ-ソドックスな戦略をとらざるを得ないという宿命にある。

市場がなお成長しつづけているならリ-ダ-型のオーソドックス戦略でもよいが、いずれかは来る成熟市場のなかでは、苦しくなる)。チャレンジャ-は、その使命として基本的には市場シェアの獲得を目ざす。利潤や名声は差し当たってさほど強調しないとされる。

 「フォロワ-」企業は、基本的に、リ-ダ-やチャレンジャ-企業のもつ、すぐれた市場戦略を模倣することによって、安いコストを活かしながら、市場内に存続する企業である。この市場地位をとる企業は、特定の一貫した戦略を創造・保持するというより、自社の体質に見合った、すぐれた他社戦略を真似るという意味で、ユニ-ク性は乏しく、大きな成長や他社に抜きん出る飛躍は少ない。しかし業界の生き残り戦略としては、それなりに収益を獲得する一つの方法と考えられるのである。フォロワ-の使命は名を捨てて実をとることにあり、利潤こそ重要となる。

 「ニッチャ-」企業の戦略とは、文字通り、市場内のニッチ(nich:適所)を探り出し、その特殊市場に自らの圧倒的な地位を築こうとする戦略である。この戦略の特色は、これまで述べた、リ-ダ-、チャレンジャ-、フォロワー型の企業とは、直接に競合しないという棲み分けの思想を持つ。勿論、同一の市場内であるゆえに、他社との競合がまったくないことはありえないが、基本的に、特定市場内の圧倒的な競争的強さを築きあげてしまうのである。ニッチャ-の使命は、特定化した市場内で利潤と名声を得ることをめざす、市場シェアもあまり意識しない。