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今回も「新時代のマ-ケティングの役割」の続きについて説明しよう。
マ-ケティングの役割③ |
[1]新時代のマ-ケティングの役割(3)
(2)新しい価値の創造(3)
③ 個性化の価値創造
1.アップスケ-ルの価値創造
市場の「競争戦略」としては、「差別化戦略」「競争優位戦略」や「個性化戦略」がある。これらは時代時代の「最適戦略」であって、今でも、その考え方は生きている。それは、その企業の置かれている競争条件によって、「マ-ケティング戦略」の位置づけが変わってくるからである。
しかし、これらの競争に対する考え方のベ-スは、あくまでも企業から考え方が入りやすいのは否めない。最近は、物離れとかサイフのヒモが固いとかが、売れ行き不振の原因とされているが、果たしてそうであろうか。
平成大不況や世界的金融不安で証明されたことは、確かにサイフのヒモは固くなったが、増収増益をあげている企業の成長要因を分析すると、多くの共通点が発見された。その共通点の中で、特に光るのは「アップスケ-ル志向」ということである。人間はどんなに不況になっても、生活の質は変えようとしない性格を有していることなのである。東日本大震災後も、一時消費は冷えたが、「アップスケ-ル志向」の店は好調を続けている。
生活者というのは、自分の「ライフスタイル」のためには、よく考えながら行動している。特に質を高める「アップスケ-ル」については、非常に敏感であり、サイフのヒモを緩める。したがって、「アップスケ-ル」の「価値創造」が「個性化戦略」の条件の一つになろう。
たとえば、今レストランのランチで価格が2,000~3,000円くらいで、オ-ナ-シェフや知名度の高いレストランが大繁盛しているが、これはまさしく「アップスケ-ル」と「ニュ-・ラグジュアリ-」の典型的な例である。前菜、メインディッシュ、飲物、デザ-トがセットされて、非常に価値の高いものである。特に「オ-ガニック」や「美味しい野菜」を提供している店は不況時においても好調である。
2.競争相手はお客様という価値創造
「競争」というのは、同業他社との競争というのが考えられがちであるが、これはまったくお客様を無視した考え方である。なぜなら、他社を対象にして、差別化戦略を立てても、この「競争」は同質化競争を招くだけであって、お客様にプラスになることはないに等しく、お客様の選択の楽しみはまったくない。
企業というのは、「お客様から信頼感」を得るビジネスで、お客様に何度も来ていただくことが最大の要件になる。今や物あふれている時代であるため、どこの店に入ってもあるという商品やサ-ビスでは、お客様はまったく満足されない。そこで、企業にとって、お客様に来ていただくということは、他社との競争でなく、「お客様との競争」になるわけである。
したがって、企業はいかに、お客様の「ニ-ズ」や「ウォンツ」を提供するかという「競争」になるのであり、「お客様の価値を創造」しないと「競争」に負けてしまう。しかも、お客様の「ニ-ズ」や「ウォンツ」は、どんどんエスカレ-トしていくので、これに適応していく「価値創造」を行わなくてはならない。
3.自己差別化の価値創造
「お客様から信頼感」を得るためのお客様との競争対策は、「自己の創造的破壊」でしかない。つまり、同じ商品でも「アップスケ-ル」を図ることであり、わかりやすい言葉で言うならば、「自己差別化」である。
一般的な行動として、品質を高めようとして、価格を上げようとするが、それでは自己差別化にならない。「創造的破壊」という意味は、いうなれば「自己差別化」で、その要素は、同じ商品を同じ価格で品質を上げていくことなのである。
「自己差別化」というのは、「競争相手はお客様」というコンセプトに通じるものであり、企業が成長していくには、この「自己差別化」の「価値を創造」することが条件でもある。
たとえば、コンビニエンスストアや専門店のおにぎりや弁当一つとっても、いまや家庭で作るよりも美味しいものが販売されている。お米の種類にしても、おにぎりに合う品質をブレンドしたり、有名産地のものを使用したり、無農薬や減農薬、有機栽培のような種類のものを使用したりといった工夫やご飯の炊き方にも配慮がなされている。
しかも、簡単に買えない具を調達し、しかも選べる楽しさを提供してくれるし、旬を呼び起こす新商品を発売している、その上専門店では握りたてというのが、「自己差別化」の「価値を創造」している。このように、「自己差別化」の「価値を創造」することによって、競争力を具備していて、新しいお客様の「ニ-ズ」や「ウォンツ」の開発が行われている。
4.オンリ-ワン主義の価値創造
地域1番店というスロ-ガンを聞くが、この意味するところは、1番があり、2番があり、3番もあるということなのである。つまり、他社との競争を意識した「一番主義」ということになり、結果として同質化競争になってしまう。同質化競争というのは、お客様不在で企業側がしている行動なのである。
「オンリ-ワン」というのは、他社をまったく意識しないで、「自己差別化」の積み重ねによってできることなのである。これはお客様の「ウォンツ」しか考えないということで「お客様の立場に立ったマ-ケティング」を行わないかぎり実現しない。
たとえば、「カシ-タ」や「アルカサバ」が経営している「遊庵」「MURASAKI」、ノブ・マツヒサの「NOBU」などは、料理の美味しさは抜群、「接客サ-ビス」は「ホスピタリティ」があふれ、店の雰囲気は最高といったことで、価格は高くても「感動」の連続である。まさに、「ヒドノミクス」の世界で「オンリ-ワン」の代表的な店である。
5.価値訴求の価値創造
価格破壊という言葉が死語になったということは、生活者の心理を勝手に創造したからにほかならない。買手市場の時代には、確かに価格というものは、重要な一つの要素ではあったが、いかに安い価格であっても買手であるお客様が価値を認めなければ、それはけっして安いということにはならない。
価格の安さというものは、同じ価値の商品なら安いほうが良いという判断であるが、安かろう悪かろうではだれも飛びつこうとはしない。つまり、安さというものは、価値を前提にしたもので、その安さに価値がある場合には決め手になっているものであり、価格破壊だけの安さでは、成長できないという教訓を残した。
価格は、確かにお客様がその店を利用されるための「意思決定」をする最大の要件であるが、そこには必須条件として、「価値」が必要になった。つまり、「価格+品質=価値=適正価格」という「価値訴求」によって、「新しい価値の創造」を行う必要があろう。
最近「デパ地下」が評判になっていて、百貨店の成否は「デパ地下」が握っているといって過言ではない。かつて「デパ地下」は、有名レストランの商品売場的存在であった。しかし、いまや「価値訴求」で「お客様創造」を行っている。そのなかでも行列ができている店は「感動」を提供している。
また、最近脚光を浴びているのが、「駅ナカ」や新しいコンセプトで開発される「ショッピングセンタ-」であり、入店しているテナントは「価値創造」と「他にない店」が主眼として選ばれている。
