フランスに来年、初めてかつお節工場ができることになった。かつお節の産地として全国的に有名な、鹿児島県枕崎市の枕崎水産加工業協同組合などが出資した会社が建設する。

 工場ができるのは、大西洋に面する仏西部ブルターニュ地方の港町コンカルノー。来日したブルターニュ地域圏議会のピエリック・マシヨ議長らが17日、都内で記者会見して工場の設立を明らかにした。マシヨ氏は「フランスでは日本料理の評価が高い。質の高いかつお節も受け入れられるだろう」と期待を示した。

 東京のフランス大使館によると、フランスでは日本食の人気が高く、かつお節の需要がある。だが、欧州連合(EU)は加盟国に厳しい食品輸入基準を課していて現在、日本からかつお節の輸出は難しいという。

 同組合などがそこに目をつけ、高品質のかつお節を提供することを思い立った。原料のカツオはインド洋で調達し、基本的に日本と同じ方法で製造するという。日本食レストランに限らず、EU圏内の様々なジャンルのレストランに販売する予定だ。

 同組合や枕崎市の企業など計10社が出資して設立した新会社「枕崎フランス鰹(かつお)節」が、工場を建てる。2015年夏の完成を目指していて、1日200キロ生産する計画だ。同社の大石克彦社長はこの日の会見で「和食のすばらしさを知ってもらうために、料理の基本となるかつお節が欠かせない。フランスでも、いいかつお節ができると思う」と話した。(津阪直樹)