『WORLD BREAKFAST ALLDAY の世界の朝ごはん』(スペースシャワーネットワーク[刊]/1500円)
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カフェの2月のテーマはロシアで、カーシャ(ソバを水と牛乳で煮たおかゆ)、サワークリームといくらのブリヌイ(クレープ)、コトレータ(ロシア風のカツレツ)、ビーツのサラダなどが楽しめる
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 “世界の朝ごはん”にフォーカスした書籍『WORLD BREAKFAST ALLDAY の世界の朝ごはん』(2014年9月発売)が話題だ。同書をまとめたのは2013年5月に神宮前に開店したカフェレストラン、WORLD BREAKFAST ALLDAY。カフェ自体、世界的に消えつつある各国の伝統的な朝ごはんを提供するというコンセプトを持っており、同書ではイギリス、インド、フィンランド、ブルガリア、ヨルダンなど10カ国の朝ごはんのメニューやレシピ、さらにその国の習慣や文化を、写真やイラストとともに紹介している。

 WORLD BREAKFAST ALLDAYは外国人ツーリストに人気の宿泊施設「NIKKO IN(日光イン)」を運営する日光デザイン(栃木県日光市)が「朝食のときに交わす“いつもはどんなものを食べているの?”という会話から、その国らしさが見えてきて面白いと感じた」(同店 堀内明氏)ことからオープン。2カ月ごとにとりあげる国を変えて、ワンプレートの朝食メニューを提供している。こぢんまりとした店内には長いダイニングテーブルが1つあり、キッチンもオープンスタイルで、誰かの家に遊びに行って大人数で食事をしている雰囲気が味わえる。なお「イングリッシュ・ブレックファスト」と「ミューズリー」はいつも用意されており、30代の女性を中心に、外国人などが多く訪れ、「東京ではない無国籍な気分を味わえる」「旅をしたくなった」とリピーターも多い。

 同書では「パッケージがユニークな缶詰や瓶詰、お菓子、調味料などスーパーマーケットで日常的に手に入るものも紹介しています。日本人にとってのキッコーマンの『しょうゆ』や、カルビーの『かっぱえびせん』、日清食品の『カップヌードル』のように、その国では誰もが知っているようなものばかり」(堀内氏)といい、各国に長年暮らしていた人や政府観光局などに取材し、短い観光旅行では分からない地元ならはでの情報を盛り込んでいる。レシピ本というより、旅行本として楽しめるのも人気の秘密のようだ。

(文/池田明子=JVTA)