人件費の高騰を背景に自販機が急増

 最近、中国全土の都市部で自動販売機をよく目にするようになった。以前は中国メディアが「日本は自販機だらけなのに、なぜ中国では自販機を見かけないのか」といった分析を行っていたくらいなので、変われば変わるものだ。

 中国で自販機を見かけない理由としてよく挙げられていたのが、「人件費のほうが自販機の運用・管理費より安い」「扱いが乱暴な利用者が多い。しばしば意図的に破壊される」など。確かにかつては自販機を見かけることがあっても、その多くは故障していた。ニーズがないために競争もなく、価格が高い割に性能が低いというのも、中国で自販機が普及しなかった要因だろう。

 いまになって自販機が急速に普及し始めた背景には、まず人件費の高騰がある。また、防犯意識の変化もあるだろう。実際、自販機を最もよく見かけるのは空港や鉄道の駅、ショッピングモールなど、防犯カメラが設置された公共スペースだ。

▲ 地下鉄駅構内に置かれた自動薬販売機
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▲ 観光地に設置された自動販売機
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 そして決め手は、支付宝(アリペイ)や微信支付(ウィーチャットペイ)による2次元コードによる電子決済が普及したことだろう。日本の自販機は現金決済のものが多いが、中国ではむしろ現金非対応の自販機が増えている。自販機の利用にはスマートフォンと支付宝(または微信支付)が不可欠になりつつあるのだ。

▲ 2次元コードをスキャンして開けて取って自動精算する自動販売機
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▲ 支付宝や微信支付で2次元コードをスキャンすると表示される
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