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インドネシアでは、低品質ながら安価なインド産の水牛肉が豪州産牛肉と競合している。BMIリサーチ社によれば、豪州産のボックスビーフ価格がキロ当たり4.40ドルに対し、インド産カラビーフ(水牛肉)の輸出価格はわずか3.10ドル。この価格差が、インドネシア市場に注力してきた豪州の牛肉輸出業者を悩ませている。 インドネシアは今年から冷凍の水牛肉カットの輸入を開始した。これは高値(キロ当たり117,000インドネシアルピア=米ドル換算9ドル)にある国内産牛肉価格を引き下げるために政府が下した決断だ。2016年のカラビーフ輸入予定量は8万トンで、2015年に輸入された豪州産牛肉の2倍以上の数量だ。 BMIリサーチの担当者は「インドネシアの牛肉価格は、近年急騰している。国内供給が不十分であるため、政府は輸入レベルで供給量を確保しようとしている。そのため、インドは低価格な牛肉を大量に輸出できるようになった。東南アジアや中東、また中国でも輸入牛肉の需要が拡大しており、そうした国々ではインド産牛肉が安定した需要を生み出している」という。 豪州産の輸出業者が苦戦している背景には、インドネシアの生体牛輸入許可システム変更に加えて、カラビーフがこの市場に足がかりを築いたこともあり、この2カ月間の豪州産牛肉の輸入量はごくわずかな量に留まっている。 カラビーフは、露店でよく売られているバスコボールのようなポピュラーな製品に使用されている。牛肉を直接購入する消費者は、むしろ水牛肉を避けて冷蔵の豪州産牛肉を買うのではないかとの指摘もあり、インドネシア市場におけるインド産水牛の本当の影響が明らかになるのはもう少し先になるだろう。 | ||
※2016年10月26日 FOODMARKET.com |
大都会ニューヨーク市周辺でも手軽に楽しめる秋の味覚狩りといえば、やはり
リンゴ狩り(Apple Picking)です。筆者もリンゴ狩りに行った知人からお土産
としてリンゴとともになぜかトウモロコシをいただき、これをきっかけに、レ
ンタカーを借りてマンハッタンから約90キロ離れたニューヨーク市郊外のリン
ゴ園に行ってきました。
ニューヨーク市郊外の多くのリンゴ園は、日本の一般的な果樹園とは比べられ
ないほど広大です。果樹園に加えてトウモロコシ畑やカボチャ畑、ミニ動物園
まであり、トラクターの荷台に乗って移動することができるリンゴ園もありま
す。採りたて野菜やリンゴ酒、ハロウィンの巨大カボチャの販売が行われ、園
によってはバンド演奏が催されたり、トウモロコシ畑の巨大迷路が作られるな
ど、アトラクションが多くてあっという間に時間が過ぎ去ってしまいます。タ
イムアウトという有名情報誌によるウェブサイトを検索するだけでも、ニュー
ヨーク市近郊の同規模のリンゴ果樹園が少なくとも20前後は簡単に見つかりま
す。
訪問した果樹園では、30ドルでリンゴが10キロ以上も入る袋を購入して、リン
ゴ狩りのスタートです。リンゴは日本よりもふた周りくらい小さく、1袋に70
個以上入りますが、種類が常時10種類以上あるため、持ち帰った後も飽きずに
楽しめます。一般家庭ではこのリンゴでパイやドーナツ、ジュースを作って楽
しむようです。果樹園の売店では、日本では珍しいリンゴ果汁を使ったドーナ
ツが大人気で、長蛇の列を作っていました。さて、肝心の味はといいますと…
これが本当に美味しいのです 。果皮が黄色のゴールデンデリシャスは、さわ
やかな甘さで何個でも手が出てしまいます。ニューヨークのスーパーでは一年
中、リンゴが巨大なパズルのように上から下まできれいに陳列されている光景
を見ることができますが、額に汗して収穫した秋の味覚はまた格別でした。
(ニューヨーク事務所所長補佐 会沢)
2016年7月21日、ミシュランガイドのシンガポール版が初めて発行されました。
その中の目玉は、2店舗の屋台が一つ星を獲得したことです。
ミシュラン一つ星を獲得したのは、チキンライスとチキンヌードルが有名な
「香港油鶏飯麺」と豚のそぼろ肉を載せた和え麺が有名な「吊橋頭大華猪肉麺」
です。どちらもホーカーセンター(シンガポールの至るところ存在する、日本
で言うフードコート。)の一角にあり、ミシュランを獲得する前から現地の人
々の列が絶えない大人気の庶民派グルメです。ミシュランの星を獲得するレス
トランと言えば格式ある高級店のイメージが強いですが、「香港油鶏飯麺」の
店主からも、星獲得の一報を聞いた際、「冗談でしょ?ミシュランの調査員が
屋台に来ることなんてあるの?」と驚きの声があがったそうです。ミシュラン
ガイドの国際部長は、選定理由を「シンガポールは、貿易と商業の交叉地点で
あり、様々な食と文化が出会い影響し合い、豊かな食文化が生まれている。そ
の結果、ホーカーセンターももれなく食の宝庫となっている。」と語っていま
す。
シンガポールは、多民族・多宗教国家で外国人在住者も多い国ではありますが
、個々の文化を大切にし、多様な価値観を認めている国です。それは食にも反
映されており、個々の文化を尊重しているからこそ、互いに共鳴し、しのぎを
削り、独自の食文化が育まれている国でもあります。ホーカーセンターには、
あらゆるシンガポールの料理が立ち並び、安価でシンガポールの食を楽しむこ
とができます。シンガポールに来られる機会がありましたら、本場のホーカー
を試してみてはいかがでしょうか。
(シンガポール事務所所長補佐 押川)
オーストラリアの朝食「オージー・ブレッキー」は、日本の朝食とかなり異な
ります。日本ではお米に味噌汁、卵焼きや漬物など、栄養バランスのいい朝食
が一般的ですが、オーストラリアではベジマイト(オーストラリアの国民食と
も呼ばれる、野菜を発酵させたペースト)トースト、ヌテラ(ハシバミの実と
チョコレートが混ざったペースト)トースト、またはベーコンエッグといった
タンパク質の多いものなど、健康志向のものよりも塩辛いものや甘いものを食
べることが好まれます。
しかし、健康に悪いものばかりを食べているというわけでもありません。基本
的に朝食ではパンやウィートビックス(全粉類のシリアル)をミルク、はちみ
つ、バナナなどと一緒に食べること、シリアル、フルーツ、ヨーグルトなどを
食べることが習慣になっています。オーストラリアの食生活はもともとイギリ
スから来ているものなので、肉を中心とする洋食が多かったものの、多文化社
会が進む中、アジアの食文化の影響も大きくなりました。
また、現在シドニーにおいて流行している現代文化、ヒップスターカルチャー
(流行に敏感で、普通の人と違う生き方を好むアメリカ発祥の若者文化)の影
響により、オーストラリア人の朝食の習慣も変化してきました。オーストラリ
ア健康福祉研究所の統計によると、オーストラリアの成人の63%および子供
の25%は肥満だとされています。こうした背景もあり、ヒップスターカルチ
ャーが広まり、これまで好まれなかった健康的な食事が多くの人の間でトレン
ドとなってきました。ヒップスターカルチャーの影響を受けた人たちはカフェ
でアボカドマッシュを乗せたライ麦パンをポーチドエッグ(落とし卵)と一緒
に楽しむという、健康にいいおしゃれな朝食を好んでいます。
オーストラリアでは伝統的な食文化を維持しつつ、健康的な食生活を好むアジ
ア諸国からも学ぶことが求められています。特に日本の一汁三菜のような食事
は非常にバランスのとれた、栄養価が高い食として有名です。今後、多文化が
進むオーストラリア社会では、日本の食文化を取り入れるなど、食の多様化も
進んでいくでしょう。その中で、それぞれの文化の特長を生かした新たな食文
化が生まれていくのではないでしょうか。
(シドニー事務所)
日本では、2012年の文部科学省の「全国学力・学習状況調査」によると、
毎日朝食を食べる割合は、小学生では89%、中学生では84%となっていま
す。一方、アメリカのこどもたちは、毎日朝食を食べる小学生は77%、中学
生は50%というショッキングなデータがあります。これは、食品メーカーの
「ケロッグ」が2011年に調査し発表したものですが、同調査によると多く
の母親はこどもたちに朝食を食べさせたいと考えているにもかかわらず、小学
生、中学生と年齢が上がるにつれて、毎日朝食を食べる割合は減少しています。
NY市では、公立学校(小中高)で朝食提供プログラムを行っています。朝食
を食べないことは、落ち着きが無くなったり、疲れやすくなったり、注意力が
散漫になったりするという影響があるほか、遅刻や欠席にもつながるため、学
校で無料の朝食を提供するというものです。食事の内容は、穀物や肉・魚類、
牛乳、果物などが中心で、毎月の献立表も発表されています。なお、アメリカ
で子育てする親にとって悩みの多い、夏休みの期間中も、学校や公共施設等で
朝食の提供を受けることができます。(アメリカのこどもたちの夏休みについ
ては、CLAIRメールマガジン vol.151(2016年8月19日)を参照。
< http://www.clair.or.jp/j/mailmagazine/backnumber/2016/08/vol151.html >)
NY市の小学校で朝食を提供するプログラムは、すでに10年以上行われてい
ます。しかし、朝食は校内の食堂で提供されることが多いため、こどもたちは
早めに登校して食堂へ行かなければならず、食堂へ向かうことへ抵抗感がある
こどもや朝早く登校できないこどもの参加を難しくしていました。このため、
NY市では、各教室で始業後15分程度を使って朝食を提供することとし、2015年
秋から3年間かけて、ほぼすべての小学校に拡大することとしています。NY
市教育局によれば、教室での朝食提供プログラム開始以降、参加率は25%から
80%まで増加しているといいます。親が働いているためこどもに朝食を食べさ
せる時間がないという家庭や、朝食に費やす金銭的な余裕がないという家庭に
とっては、このプログラムはとても重要なものとなっています。
(ニューヨーク事務所所長補佐 栗原)