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2016-11-06 15:52:00

日本では、2012年の文部科学省の「全国学力・学習状況調査」によると、
毎日朝食を食べる割合は、小学生では89%、中学生では84%となっていま
す。一方、アメリカのこどもたちは、毎日朝食を食べる小学生は77%、中学
生は50%というショッキングなデータがあります。これは、食品メーカーの
「ケロッグ」が2011年に調査し発表したものですが、同調査によると多く
の母親はこどもたちに朝食を食べさせたいと考えているにもかかわらず、小学
生、中学生と年齢が上がるにつれて、毎日朝食を食べる割合は減少しています。

NY市では、公立学校(小中高)で朝食提供プログラムを行っています。朝食
を食べないことは、落ち着きが無くなったり、疲れやすくなったり、注意力が
散漫になったりするという影響があるほか、遅刻や欠席にもつながるため、学
校で無料の朝食を提供するというものです。食事の内容は、穀物や肉・魚類、
牛乳、果物などが中心で、毎月の献立表も発表されています。なお、アメリカ
で子育てする親にとって悩みの多い、夏休みの期間中も、学校や公共施設等で
朝食の提供を受けることができます。(アメリカのこどもたちの夏休みについ
ては、CLAIRメールマガジン vol.151(2016年8月19日)を参照。
< http://www.clair.or.jp/j/mailmagazine/backnumber/2016/08/vol151.html >)

NY市の小学校で朝食を提供するプログラムは、すでに10年以上行われてい
ます。しかし、朝食は校内の食堂で提供されることが多いため、こどもたちは
早めに登校して食堂へ行かなければならず、食堂へ向かうことへ抵抗感がある
こどもや朝早く登校できないこどもの参加を難しくしていました。このため、
NY市では、各教室で始業後15分程度を使って朝食を提供することとし、2015年
秋から3年間かけて、ほぼすべての小学校に拡大することとしています。NY
市教育局によれば、教室での朝食提供プログラム開始以降、参加率は25%から
80%まで増加しているといいます。親が働いているためこどもに朝食を食べさ
せる時間がないという家庭や、朝食に費やす金銭的な余裕がないという家庭に
とっては、このプログラムはとても重要なものとなっています。

                 (ニューヨーク事務所所長補佐 栗原)