インフォメーション

2020-01-11 12:41:00
「シンガポールでは、あらゆるメディアでのジュースの広告が禁止されるようだ」2019年10月にそんなニュースを耳にして大変驚きました。

 シンガポール政府は、砂糖含有量が多い飲料商品(以下、甘味飲料)の広告禁止とパッケージへの「不健康」表示の義務付けの方針を表明しました(広告規制および表示義務の砂糖含有量の程度は、それぞれ異なる)。この甘味飲料への規制については、かねてより議論されており、2019年1月に意見公募が締め切られたところでした。シンガポール政府は、糖尿病対策の一環として甘味飲料の摂取を規制する方法について、(1)糖分・栄養情報のラベルの義務化、(2)広告規制の強化、(3)飲料メーカー、輸入業者への物品税(砂糖税)課税、(4)糖分の高いパッケージ甘味飲料の全面禁止、の4案に対する意見を募集していました。今回の発表は、意見公募したうちの(1)と(2)を採用したかたちです。
 具体的な制度導入のタイミングや違反した場合の罰則の規定については、2020年1月以降制度設計する予定であり、甘味飲料の全面禁止や課税の可能性についても、引き続き検討していくようです。

 甘味飲料への課税は、日本ではあまり馴染みはありませんが、クレアシンガポール事務所で所管する12カ国のうち6カ国(タイ、フィリピン、ブルネイ、マレーシア、インド、スリランカ )は既に導入済み(いずれも2017~2019年にかけて施行)で、インドネシアとベトナムでも現在検討されているといいます。アジア諸国では経済成長と所得増加により、甘味飲料の消費が拡大を続けており、それにともなって生活習慣病を招く肥満人口が増えています。こうした背景から、医療費増加につながる生活習慣病のリスクを低減するため、アジア諸国は近年次々と甘味飲料への課税に踏み切っているようです。

 例えば、マレーシアの1人当たり年間砂糖消費量は56kgで、日本の1人あたり消費量16kgの3倍以上もの砂糖を1年間に消費しています。日本の1人あたり消費量は、世界平均の22kgよりもずっと少ないですが、同じく世界平均を下回るインドでも砂糖課税が導入されたことを考えると、日本でも砂糖への課税が検討される可能性も否定できません。もしかしたら、税金が高いからジュースを飲むのを控える、なんていう日も訪れるかもしれませんね。


                シンガポール事務所 所長補佐 佐藤

2020-01-11 12:37:00
皆さんはキャッシュレス決済をどれくらい利用していますか?日本では○○ペイが乱立していて、どこに登録していいかわからず利用していない方も多いかもしれませんね(私はそうでした)。私は、日本に住んでいたころは現金かクレジットカード支払いがほとんどでしたが、中国での駐在が始まってからは、お店などでの支払いは全てQRコード決済を利用して、現金をほとんど使わない生活になりました。

 中国では、何もかもQRコードで支払えると言っても過言ではないほど、非常に幅広く普及しています(中国における利用者数は6億人超(2019年6月)、利用金額は40兆ドル超(2018年))。ここ北京においても、普段の買い物はもちろんのこと、街頭での募金活動や路上ライブでの投げ銭受け取りにまでQRコードが用いられているのを見かけます。

 このように、中国での生活の根幹を支えるQRコード決済ですが、この度、嬉しい制度変更がありました。2019年11月、中国の2大QRコード決済アプリである「Alipay(アリペイ、支付宝)」と「WeChat Pay(ウィーチャットペイ、微信支付)」が、国際クレジットカード(VisaやMastercard、JCBなど)と連携し、中国の銀行口座を持たない外国人旅行者などにサービス提供を行うと発表したのです。
 これまでは、この2つのアプリの登録には、中国の携帯電話による認証と中国の銀行口座が必要でした。そして、中国で銀行口座を作るには原則として中国国内に住所が必要となる事情から、実質的に外国人旅行者などはサービスが利用できない状況でした。今後は、国際クレジットカードとパスポートを登録すれば、中国人と同じようにアプリが利用できるようになります。

 日本においても、キャッシュレス社会の実現に向けた取り組みが加速しています。皆さんも、是非一度キャッシュレス先進国の中国を訪れ、実際にQRコード決済を利用して、生活の中に深く浸透している様子を実感してみてください。

 ※QRコード決済を取り巻く中国国内の制度は目まぐるしく変わっています。上述のクレジットカードによる登録についても、今後も同じ状況とは限らないので、実際に中国を訪れる際は、改めて状況を確認した上でチャレンジしていただければと思います。

                    北京事務所 所長補佐 三浦

2020-01-11 12:36:00

タシケント発

2020年01月07日

米国を公式訪問していたカザフスタンのアスカル・マミン首相は、農業分野での米国からの投資に関する文書に調印した。首相公式ウェブサイト(12月10日)によると、投資を予定しているのは、米国食肉販売大手「タイソンフーズ」と、インフラや農業用灌漑システムを手掛ける「バルモントインダストリーズ」の2社。

「タイソンフーズ」は米国アーカンソー州に本部を置く、年間売上高424億ドル、従業員14万人の米国最大の食肉加工企業。投資計画では、牛肉加工工場2カ所と鶏肉加工工場1カ所を段階的に建設する。牛肉加工工場の生産能力は日量10万~12万トン(2,000頭)規模を予定している。投資額は最大50億ドルが見込まれている。食肉加工工場の建設は早ければ2020年4月に開始される見通し。「バルモントインダストリーズ」はネブラスカ州オマハを拠点に、乾燥地で効果を発揮する「センターピポット方式」(注)の農業用灌漑事業を世界的に展開している。カザフスタンに灌漑プラント施設の建設を進め、灌漑農地を現状の140万ヘクタールから2022年までに200万ヘクタール、2030年までに300万ヘクタールまで拡大することを目指している。

マミン首相は「タイソンフーズ」の家畜の大量生産と食肉加工のノウハウ、「バルモントインダストリーズ」の灌漑技術により飼料を確保できれば、国内の食肉生産量を飛躍的に増加できると期待している。

「タイソンフーズ」のカザフスタン投資の背景には米中の貿易摩擦がある。同社は中国への食肉輸出拡大を目指しているが、12月現在、中国は米国産食肉に追加関税を課している。これに対し、カザフスタン産食肉に対する関税は通常の税率のため、米中間の貿易摩擦で上昇した中国の輸入関税を回避する狙いがあるとみられている。

(注)農地の中心から地下水をくみ上げ、それに肥料を加え、巨大な自走式スプリンクラーで、コンパスで円を描くように水(+肥料)をまいていく灌漑方式。比較的低コストで効率的に灌漑できる。

(増島繁延)

(カザフスタン、米国、中国)

ビジネス短信 230b55078765cef5


2020-01-11 12:34:00

欧州ロシアCIS課

2019年12月23日

世界中で食品デリバリーサービスが普及する中、ロシアでも市場が急成長を遂げている。ロシア鉄道の子会社で、長距離旅客列車の運行を担う連邦旅客会社(FPK)は12月16日、レストランやカフェから列車へのフード・デリバリーサービスの開始を発表した。

サービス内容について、同社によると、立ち上げ当初はまず、顧客が乗車している列車へのピザ注文サービスの提供を行い、将来的には、国内の既存の食品取り扱いチェーンへの注文も可能とする予定。列車への配達は、同サービスと関係するレストランやカフェの配達業者により行われるかたちだ。

乗客が注文する方法としては、切符の購入時にロシア鉄道のサイトにログインして、乗車券サービスのセクションに入り、その他の追加サービスの中から、フード・デリバリーの項目を選択する。ロシア鉄道のウェブサイトで個人のアカウントを有している場合、そこからも手続きが可能。同サービスが注文できるのは列車出発の48時間前まで。

現在、試験が実施されており、モスクワのクルスク駅を出発・経由する列車と、モスクワのレニングラード駅から出発する列車で同サービスを利用できる。今後は、2019年末までに、FPKが運行する長距離列車では、モスクワのベラルーシ駅、カザン駅、パベレツキー駅、ヤロスラブリ駅、リガ駅、キエフ駅、サンクトペテルブルクのモスクワ駅、ラドガ駅から出発する列車で、同サービスを利用できるようになる。さらに、ニジュニ・ノブゴロドのモスクワ駅出発の列車でも食事が注文できる。

2020年には、同サービスはほかのルートにも拡大される予定で、FPKは同社の列車を運行するロシアの全都市で、提供する意向だ。現在、列車にフード・デリバリーサービスを担当するパートナー企業を募集している。

ロシアのフード・デリバリーサービス市場は近年、急成長を遂げている。大手メディアグループRBCによると、2019年の市場規模は前年比25.3%増の約1,700億ルーブル(約2,890億円、1ルーブル=約1.7円)に達するようだ。アプリを通じたフード・デリバリーの大手、デリバリー・クラブのオレグ・ハウストフ市場調査部長は、同市場の急成長の要因を「消費者行動の変化により、フード・デリバリーはタクシー配車アプリと同様、時間を節約したい人々の日常的なニーズ(の1つ)となっている」と指摘している(小売事業者向け情報サイト「リテイラー」10月14日)。

デリバリーサービスの将来性について、ソフトウエア開発会社ファースト・ライン・ソフトウエアのウラジミル・リトシェンコ開発部長は「同サービスは快適な都市生活という概念を補完するもので、さまざまなカテゴリーの住民、訪問者、観光客のニーズが考慮され、公共スペース、公園、博物館などさまざまな施設に導入され得る」と語っている(「リテイラー」10月14日)。

(秋塲美恵子)

(ロシア)

ビジネス短信 d0eec8b081883c4d


2020-01-11 12:31:00
ランキング

ビーフパッカー上位30社、と畜能力1位はJBS

 
 

本紙調査による「全米ビーフパッカーランキング」(1日当たりのと畜能力を基にしたランキング)では、JBS USAがと畜能力において引き続き全米1位の牛肉処理業者となった。ただし年間売上高と処理頭数では、タイソンが1位となる。

JBSは現在のと畜能力を全米9工場・2万9000頭と公表している。これは6工場・2万8000頭の処理能力を持つタイソンフーズを1000頭上回るが、2018年のタイソンフーズ社の処理頭数は689万5000頭で、JBSの680万頭を上回っている。

牛肉の売上高(2018年度総売上高・2018年9月30日までの実績)は、タイソンが154億7300万ドルで全米1位。JBSは140億ドルだった。カーギルはと畜能力2万3000頭、2018年度の総と畜頭数630万頭、売上高123億ドルで、引き続き3位となった。

JBSは、ミネソタ州パイプストーンにあるJ&B Groupの付加価値型牛肉加工施設とのリース契約を発表。今後数カ月以内に取得する予定(購入額は非公表)だという。この施設は12月末に閉鎖される予定だったが、これにより130人の雇用が保護されることになる。

上位30社の1日当たりと畜能力は、この1年でわずかに減少した。上位30社合計のと畜能力は、52工場・12万6430頭。前年の52工場・12万6870頭より440頭少ない。上位5社合計は27工場・9万8500頭で前年(9万9000頭)から500頭減少した。

上位3社の2018年の商業用と畜におけるシェアは61.5%、去勢牛・未経産牛におけるシェアは69.5%。上位5社では、同76.8%と2017年比0.3%減。去勢牛・未経産牛におけるシェアは84.4%で0.2%上昇した。

 

※2019年12月16日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 2019ビーフパッカー上位30社
 

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