植物由来の素材を使い、本物の肉とそっくりの食感や味わいを再現した代替肉が注目を集めている。背景にあるのは健康や地球環境への意識の高まりだ。モスフードサービスがビヨンド・ミートの代替肉パティを採用するなど、導入する企業が増えている。

台湾のモスバーガーで販売しているハンバーガー「MOS Burger with Beyond Meat」。ビヨンド・ミートの代替肉パティを使用した。日本での発売も検討している
台湾のモスバーガーで販売しているハンバーガー「MOS Burger with Beyond Meat」。ビヨンド・ミートの代替肉パティを使用した。日本での発売も検討している
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 欧州や米国では、新たな食材として代替肉が急速に浸透している。植物由来の素材を使用することからプラントベースフードとも呼ばれる。これらの地域では、ベジタリアンやビーガンなど野菜だけを食べる人が珍しくない。また、普段は肉も野菜も食べるが、時々野菜だけを食べる日を設けるフレキシタリアンという食のスタイルも広がりを見せている。そのため、代替肉メーカーが続々と登場。代替肉専用の売り場を設けるスーパーも増えている。

 米国では、代替肉ハンバーガー用パティを販売するビヨンド・ミート社が、2019年5月2日にナスダック市場に上場し、株価が高値を付けたことで注目を集めた。こうした海外の動向を受けて、国内でも、代替肉を導入する飲食店などが徐々に増え始めている。

モスバーガーが台湾で代替肉を導入

 モスバーガーを運営するモスフードサービスは、台湾の一部店舗でビヨンド・ミート社の代替肉パティを使用したハンバーガー「MOS Burger with Beyond Meat」を2019年6月6日に5店舗で発売した。売り上げは予想以上で、販売店舗の拡大を目指す。「台湾では健康への意識が高いお客さまが多く、代替肉を使ったハンバーガーとの相性はいい。日本での販売も検討している」とモスフードサービスの安藤芳徳・執行役員マーケティング本部長は話す。

 同社は、いち早く代替肉を導入した外食企業の一つ。2015年に大豆を主原料にしたパティを使用した「ソイパティモスバーガー」を販売。現在も継続販売している。ただし、このパティは肉を使っていないが、味や食感を整えるため一部つなぎとして動物性のゼラチンを用いていており、完全なプラントベースではない。

ソイパティを使用した「ソイパティモスバーガー」(税込み370円、以下同じ)
ソイパティを使用した「ソイパティモスバーガー」(税込み370円、以下同じ)
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 「ハンバーガーはジャンクフードというイメージを持たれている。我々には、野菜をたっぷり使ったハンバーガーをたくさん食べてもらいたいという思いがある」と安藤執行役員は話す。そうした思いを反映する商品として同社は、野菜をふんだんに使用した「モス野菜バーガー」や「モスの菜摘(なつみ)」といった商品を発売してきた。これらのラインアップにビヨンド・ミートのパティが加わることで、さらに健康的なブランドイメージをアピールできる。