連載「話題の商業施設オープン速報」で2017年に100店以上の飲食店を取材した桑原恵美子氏。桑原氏がベスト5に挙げたニューオープンの飲食店は、どの店もこれまでにはない斬新さや驚きがあった。「1位はあのラーメン! 2017年飲食店ベスト5」では桑原氏が独自に選んだ今年ニューオープンの店ベスト5を紹介したが、今回は桑原氏が取材を通して感じた2017年の食のトレンドを分析。今年の5大食トレンドとして紹介する。
“インスタ映え”乱立
「2017年ヒット商品番付(日経MJ)」「2017年新語・流行語大賞(ユーキャン)」にも選ばれた「インスタ映え」。今やヒット商品はインスタグラムから生まれるといっても過言ではなく、消費への影響の大きさから、メニュー開発時にインスタ映えを狙う店が増えてきている。
4月に全館オープンした「ギンザシックス」は、まさに“インスタ映え”グルメの宝庫だった。なかでも特筆すべきは、ファッションフロアのカフェで提供されるメニューの美しさ。ピエール・エルメとのコラボによる国内初のカフェ業態「カフェ ディオール バイ ピエール・エルメ」の美術品のようなスイーツ、英国ブランドのショップ「JOSEPH(ジョゼフ)」の旗艦店併設のブックカフェ「JOE'S CAFE(ジョーズカフェ)」のフルーツサンドの洗練度、米国のスターシェフであるデイヴィッド・マイヤーズ氏のカフェ「72°(ディグリース)ジューサリー+(プラス)カフェ バイ デイヴィッド マイヤーズ」の野菜を用いた料理の色鮮やかさは、インスタ映えグルメの進化を感じさせた。また、バー「ミクソロジーサロン」が提供する、科学実験のツールを用いた煎茶のカクテルは、「これがカクテルなのか!?」と目を疑うようなビジュアルのものが多かった。
7月にたて続けにオープンしたカジュアルなトリュフ料理専門店は、2店とも「これでもか」というほどトリュフを盛っていたが、インスタ映えを狙った演出でもあったのだろう。10月、青山本店とルミネエスト新宿店の2店が同時オープンした米国の「ALFRED TEA ROOM(アルフレッド ティー ルーム)」は、まさに米国のインスタグラマーたちが人気に火を付けたといえるブランド。どこを撮っても絵になるよう計算されし尽くされた空間作りと、「ここまでするならもはや紅茶でなくてもいいのでは」と思えるほどの鮮やかな色のティードリンクが印象に残った。2018年も“インスタ映え文化”は、ますます進化していきそうだ。