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2015-09-16 18:05:00

香港  2015/09/14(月曜日)
熊本県が香港拠点、農産品輸出拡大と観光誘致へ[経済]

熊本県と肥後銀行は11日、香港の九龍・尖沙咀東で「熊本県貿易協会香港事務所(熊本香港事務所)」の開所式を行った。同県にとって香港は農畜産物輸出で6割以上を占める重要な輸出相手先。食材市場の競争が激しい香港への農産物輸出を維持、拡大させるとともに、今年12月の香港―熊本の直行便就航を機に観光誘致も進める方針だ。

 



熊本県、肥後銀行、ヤマト運輸は昨年10月、香港を中心とするアジア向けの農林水産物などの輸出拡大に関する協定を締結。今回の事務所開設はその一環で、熊本県貿易協会の支部という位置付けとなる。県関連では既にシンガポールや上海などに現地事務所があり、香港事務所は香港、マカオを含む中国、台湾などを活動範囲とする。

西山英樹所長はNNAに対し、「県内の農家にとって海外輸出は敷居が高い印象。身近に感じてもらえるように情報の提供や発信をしていく。農家による香港でのイベント出展だけで終わらずに、継続的な輸出につなげたい」と抱負を語った。

熊本県農林水産部経営局流通企画課の荒木亮課長によると、県は農家による海外輸出を過去約10年にわたり支援してきた。2008年度以降、輸出額は右肩上がりで伸びているという。今後は、事務所開設を通じて、販売先の開拓と需要の掘り起こしを図り、牛肉やいちご、トマトのほか、ブリやハマチといった水産物の輸出も強化していく。

香港では、同県のキャラクター「くまモン」が若い女性の間で広く知られており、同キャラクターを通じて、熊本のイメージをさらに高める。

14年度の同県の農林水産物輸出額は過去最高となる35億4,000万円で、このうち農畜産物は3億8,000万円に上った。農畜産物のうち、香港への輸出額は全体の6割超を占める2億3,400万円。主な品目は牛肉(輸出額・1億600万円)、いちご(同5,000万円)、サツマイモ(2,100万円)など。

■12月には直行便就航

開所式に出席した肥後銀行の土山哲司取締役常務執行役員は、今年12月から熊本―香港の直行便が就航することに触れた上で、「熊本のおいしい食材を食べてもらい、結果としてインバウンドとして熊本を訪問してほしい」と述べた。西山所長によると、熊本香港事務所では農業体験などの観光ツアーの紹介も検討しているという。

肥後銀行は今年7月、地域振興部を創設し、傘下に農業と観光を後押しする専門の部署として地方創生戦略室を開設。来年2月には、熊本県などとともに、香港を含む海外への輸出を考える農家などを対象としたイベント「地域振興フェア」を開く予定で、熊本香港事務所の活用などに関して情報発信していく。

熊本県は今年11月、香港の流通業者やバイヤー向けに、同県産の農林水産物のプロモーションを行うレセプションを知事主催で開く予定。

香港から熊本県への観光客は、13年度が前年度比77%増の約2万3,000人で、14年度は前年度の2倍になる見通しだ。

同県はこれまで、県内で輸出関連セミナーの開催や香港での食材プロモーションを行ってきたほか、今年3月には香港のオンラインショッピングサイト「フィンガーショッピング(指点)」にも「熊本美食倶楽部」と称する店舗を出店。季節的な影響も受けるが、エビ、パン、飲料などの生鮮品や加工品10~20点を扱っている。<香港>