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日本の「おもてなし」についての原点といわれる「茶道」について、説明しよう。
(3)茶道について
「おもてなしの心」は、茶道に始まったといわれ、最も有名なのは千利休(1522-1591)が登場してくる。千利休は秀吉の茶頭になったのが天正10年(1582年)頃ではないかと言われている。
① 利休七則
千利休が説いた茶道の心得としては、次の「利休七則」が有名である。
茶は服のよきように 炭は湯の沸くように 夏は涼しく、冬は暖かに 花は野にあるように 刻限は早めに 降らずとも雨の用意 相客に心せよ |
この「利休七則」は、次のように解釈されていて、「おもてなしの心」としての原動力になっている。
1.茶は服のよきように
「服」は「飲む」という意味で、よく「一服しよう」と使われている。したがって「お茶は飲む方にとってちょうどよい加減になるように」と解釈されている。その意味するところは、「おもてなしの心」は、「お客様の気持ちを考える」ことになる。
2.炭は湯の沸くように
お茶を立てるためのお湯は、お客様にお茶を差し上げるために丁度よくお湯を沸かそうということで、「おもてなしの心」には、「準備の正確さが重要である」としている。
3.夏は涼しく、冬は暖かに
「おもてなしの心」としては、「お客様に暑い夏は涼しさを、寒い冬は暖かさを提供する」という、「当たり前のことを当たり前に行う」ことを意味している。
4.花は野にあるように
茶室に花を活ける場合には、「おもてなしの心」としては、「花を花瓶に活けても、野に咲いているような自然さ」を表現することを意味しているが、その本質としては、「自然さ」である。
5.刻限は早めに
「おもてなしの心」では、準備は早めに行って、お客様のお迎えをする場合には、「心にゆとりを持ってお迎えする」ことにしなければならないことを意味している。
6.降らずとも雨の用意
雨が降っていなくても、いつ雨か降ってもよいように傘を用意しておくことを意味している。「おもてなしの心」では、「備えあれば憂いなし」のように、不測の事故に対して、ただちに対応しなければならないとしている。
7.相客に心せよ
同席されるお客様すべての「心くばり」をしなさいという意味であるが、「おもてなしの心」では、「すべてのお客様に心くばり」をして、一人でも疎かににしてはならないとしている。