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2015-04-03 18:04:00
 
 
2015 年 3 月 31 日 11:15 JST 更新

 

 

訴訟の行方次第では、マクドナルドのような大手小売業者とそのフランチャイズ加盟店との関係が揺らぐ可能性もGetty Images

 米ファストフード大手マクドナルドのフランチャイズ加盟店の労使紛争に絡む訴訟で、会社側弁護士は30日、ニューヨーク・マンハッタンの連邦判事に対し、同社は外部の労組が行っている同社のブランドに対する一斉攻撃の犠牲者だと述べた。この訴訟の行方次第では、マクドナルドのような大手小売業者とそのフランチャイズ加盟店との関係が揺らぐ可能性もある。

 争点になっているのは、マクドナルドのようなフランチャイズで店舗を展開する企業が、加盟店の従業員の待遇について責任を共有しているかどうかだ。フランチャイズの中でも特にファストフードは低賃金なことが多い。

 連邦政府の独立行政機関である全米労働関係委員会(NLRB)のゼネラルカウンシル(法律顧問)は昨年7月、マクドナルドのケースではイエス、つまりマクドナルドがそうした責任を共有しているとの判断を下した。同法律顧問はオバマ政権から任命された人物で、米国の労働関係法を執行する首席検事の役割を演じている。同法律顧問は昨年12月、マクドナルドと幾つかのフランチャイズ加盟店が、賃金と労働環境の改善を求めて活動するレストラン労働者の権利を侵害しているとして告発した。

 この告発の動きは、マクドナルドなど米国の企業とNLRBとの緊張含みの関係をあらためて浮き彫りにするもので、低賃金労働者の賃上げを認めるよう求める圧力が増している。

 この訴訟の展開によっては、労組がファストフード労働者を組織化し賃金交渉を行うのが容易になる可能性がある。さらに他の業界のフランチャイズ方式をとる企業に対し、労働問題でもっと大きな負担を強いる可能性もある。

 全米のファストフード労働者の団体で、サービス従業員国際労組(SEIU)が支援しているファストフード・フォワード(FFF)はマクドナルドなどファストフード・レストランの前でデモを実施するなどして、時給15ドル(約1800円)の最低賃金と労組結成権を要求している。

 ニューヨーク・マンハッタン地区で30日に行われた連邦行政裁判の審理は、NLRB法律顧問のマクドナルド提訴を扱う幾つかの統合審理の最初のものだ。他の審理はシカゴとロサンゼルスで開かれる。ローレン・エスポシト判事(元NLRB検事で労組弁護士)がこの3つの審理をすべて担当している。

 この日の審理で争点となったのは、労働者の権利擁護キャンペーンを支援するためSEIUが雇用した調査・コミュニケーション会社をマクドナルドが召喚できるかどうかだ。マクドナルドは、同社にはこのキャンペーンの背後にある動機をもっとよく知る権利があると主張した。

 マクドナルド側を代表するウィリス・ゴールドスミス弁護士はエスポシト判事に対し、「われわれにはこうした容赦ない攻撃から会社を守る権利がある」と述べた。

 これに対し、NLRB法律顧問、SEIU、そしてSEIUが労働者保護キャンペーンを支援するため雇った会社を代表する弁護士は、マクドナルドには原告側の文書へのアクセス権がないと反論した。エスポシト同判事は、マクドナルド側による召喚要求を棄却するかどうか判断を下さなかった。

 SEIUの法律チームのメンバーであるデービッド・ディーン氏はインタビューで、キャンペーン支援のため雇った会社をマクドナルドが調べようとしていることは、「事実上、フランチャイズ加盟店での労働関係にマクドナルドが深く関与している」ことを示していると述べた。

 マクドナルドは、フランチャイズ加盟店は自らの店舗労働者の賃金を設定し、労働条件を管理していると主張している。フランチャイズ加盟店は同社の1万4000店強の全米レストランの90%を所有している。

 国際フランチャイズ協会(IFA)など業者団体は、フランチャイズシステムはフランチャイズ店舗の所有者に自主性を与えており、ビジネスモデルとして確立されてていると述べ、マクドナルドなどフランチャイズの本部を「合同雇用主」として扱うのは、このシステムを損なう、と主張している。

 マクドナルドのケースでエスポシト連邦行政判事が判決を下すまでには数カ月かかる見通し。同判事がマクドナルドに不利な判断を下せば、同社はワシントンにあるNLRBのフルメンバー(5人)委員会に上訴する見通しだ。係争はその後、連邦控訴裁判所に進む可能性もある。また最終的には米連邦最高裁が下すかもしれない。