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2015-03-28 18:05:00

高級ハンバーガー店がモスクワに、マクドナルドはロシア全土に

モスクワの街で見つけた米テスラモーターの電気自動車

 3月19日に2月のロシアの主要マクロ統計が公表された。特に注目されたのは小売売上の数字で、市場予想(5.8%減)を大きく下回る前年同月比7.7%減となり、ロシアの景気後退が一段と強まっていることが明らかになった。

 

 昨年後半はプラス1%前後を推移していた小売売上の前年比は、12月にはルーブル急落・インフレ急伸(=物価上昇)を背景とする駆け込み需要もあり、前年比5.3%増と急回復を示した。

 この時期はロシア国民にとっては年末とクリスマス(ロシアは1月7日)を控えて消費が一番盛り上がる時期だが、銀行預金残高統計と照らし合わせてみると、多くの国民が預金を取り崩してお金を消費に回した姿が見て取れる。

 さすがに今年に入り、1月、2月は実質賃金も前年割れとなっており、ロシア人も消費を大幅に抑制しているようだ。

モスクワの景気が一目で分かる通り

消費関連指標の推移
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 筆者はこの統計が発表される直前までモスクワに滞在していたので、「街角景気」を確認すべくモスクワの中心部にあるスターリ(旧)アルバート通りに出かけた。

 この通りは観光ガイドには必ず掲載されている観光名所でもあり、平日でも地元の若者、あるいは地方からやってきたロシア人で賑わっている。

賃金の推移
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 それは観光客相手の土産物と併せて多くのカフェやレストラン、特にファストフード店が軒を連ねているからである。

 筆者がまず向かったのは、2013年12月に開店したシェイク・シャック(ShakeShack)ハンバーガー店である。

 シェイク・シャックは米ニューヨーク初の高級ハンバーガー店で、今年1月にニューヨーク証取に上場したことで日本でも注目を集めている。

 ハンバーガー界のスターバックスとも呼ばれているやに聞くが、確かモスクワの店舗は以前はスターバックスの店舗であったような記憶がある。

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ハンバーガーレストランのシェイク・シャック

 筆者が入店したのは午後2時頃で、店の中の座席は2割程度の入りであろうか。閑散としている。

 

 無理もない。マクドナルドの「ビッグ・マック」は、現在モスクワで100ルーブル(約200円)である。それと比べて、シェイク・シャックのお勧めである「Shackバーガー」は205ルーブル(約410円)、ビッグ・マック同様にパテを2枚のダブルにすると345ルーブル(約690円)である。

 この不景気のご時世にそんな高いハンバーガーが売れるわけがあるまい。

 ところが、筆者の注文したハンバーガーが出来上がるまで約10分、食べ終わるまでさらに10分過ぎた頃には座席が次々と埋まってきた。

 店を後にした3時頃には8割以上の座席が埋まっていた。客層は多くが大学生であろうか、学校帰りの仲間と連れ立ってハンバーガーあるいはお茶を飲みながら皆でタブレットの画面をのぞき込んだり、会話を楽しんでいる様子であった。

 シェイク・シャックではワインやビールも飲めるのだが、さすがに昼間からアルコールを飲む姿は見られない。

50年代の米国を謳うジョニー・ロケッツはどうか?

 同レストランは2014年10月には2号店を市内ショッピングセンター内に開店している。少なからぬ数のロシア人にとっては、まだこの程度の贅沢を楽しむ余裕はあるのだろう。

 しかし、ロシア人の財布の紐が経済危機前に比べて固くなっていることは間違いない。それは、すべての外資系のファストフードのビジネスがうまくいっているわけではないことから分かる。

 同じアルバート通りに2013年4月、米系のファストフード、ジョニー・ロケッツ(JohnnyRockets)が開店した。同レストランは全米と海外数十カ国で「50年代アメリカ」をテーマとした店舗、それにハンバーガーとシェイクが売り物のレストランである。

 筆者はこの会社の元経営陣と親交があり、モスクワ開店当時に「東京からは撤退したのに、モスクワで開店するとはどういう風の吹きまわしだ?!」とメールのやり取りをしたことを覚えている。

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