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2015-02-27 10:40:00

上海ニューズレター 【ジェトロ上海事務所 所長 三根 伸太郎】

(1)国務院が中国(上海)自由貿易試験区の地域的拡大を決定


昨年12月28日、全人代常務委員会にて国務院が上海での試験区の経験を天津、福建、広東に拡大、上海でも拡張することを発表した。具体的には、1、中国(天津)自由貿易試験区(天津港片区30㎢、天津空港片区43.1㎢、濱海新区中心商務片区46.8㎢)、2、中国(福建)自由貿易試験区(平潭片区43㎢、廈門片区43.78㎢、福州片区31.26㎢)、3、中国(広東)自由貿易試験区(広州南沙新区片区60㎢、深セン前海蛇口片区28.2㎢、珠海横琴新区片区28㎢)、4、中国(上海)自由貿易試験区(28.78㎢)の拡大(陸家嘴金融片区34.26㎢、金橋開発区片区20.48㎢、張江高科技片区37.2㎢、合計120.72㎢)であり、2015年3月1日より施行する。


特に、上海では浦東新区にまで拡張され、金融の自由化、人民元の国際化の優位性が拡充されると思われ、さらにサービス産業の開放、ネガティブリストでも2015年は進展が期待される。しかしながら、管理体制や詳細はまだ公表されておらず、3月までに関連法規が発表されるのを待たなければ全容および上海、天津、福建、広州のそれぞれの特徴は分からない。


(2)国際カンファレンス「上海自由貿易試験区とアジアの未来」を開催


今年1月23日には、ジェトロ・アジア経済研究所と上海社会科学院と今年度実施した連携研究「上海自由貿易試験区の経済効果」の成果をもとに、上海にて国際カンファレンス「上海自由貿易試験区とアジアの未来」を開催した。


アジア経済研究所の経済地理シミュレーション・モデル(IDE-GSM)の分析によって、自由貿易試験区と改革の国内への拡大がどのような政策的帰結をもたらしうるかについて議論が行われた。自由貿易試験区を対外的なサービス障壁の削減、ならびに波及的な製造業非関税障壁の削減と定義し、上海、さらに天津、広東、長江経済ベルトでの改革の普及を行うと、中国経済に正(プラス)の経済効果をもたらすものであった。
http://www.ide.go.jp/Japanese/Event/Sympo/150123.html


その意味で、昨年末に中国政府が上海での試験区の経験を3月より天津、福建、広東に拡大、上海でも拡張すると発表したことは、サービス産業や製造業の発展に寄与し、より大きな経済効果が期待されることになる。今後は、長江デルタ地域への輻射機能により全国の経済を牽引する役割が期待されよう。