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2015-02-12 17:54:00
 
2015 年 2 月 9 日 06:16 JST

 

 

米コカ・コーラとペプシコが今週発表する10-12月期決算では、海外での不振が明らかになりそうだが、国内事業は改善している公算が大きい David Vogin

 米コカ・コーラとペプシコが今週発表する10-12月期(2014年第4四半期)決算では、海外での不振が明らかになりそうだが、国内事業は改善している公算が大きい。

 両社とも、海外の主要市場については売り上げ不振と為替要因の逆風を発表するとみられる。今年は外国の景気鈍化と政治的変動の高まりで、同様の事態が続く可能性がある。

 これに対し米国では、消費者の炭酸飲料消費は依然減っているものの支出額が再び増え始めるなど、状況は明るい。過去数カ月間、炭酸飲料のドルベースの売上高はわずかではあるが、伸びに転じた。

 両社の10-12月期売上高は減少した公算が大きい。コカ・コーラは既に10月に、14年の利益目標を達成できないとの見通しを示した。これは過去数年間で初めてのことだ。

 10日に決算発表するコカ・コーラの10-12月期の販売量についてJPモルガン・チェースは、ブラジルとメキシコで1%、欧州と日本で2%、中国では4%、それぞれ減少したと見ている。同社製品の1人当たり消費量が世界最大のメキシコでの炭酸飲料消費は、政府が14年1月に甘い飲料への「肥満税」を導入したことから減少している。

 

 コカ・コーラは利益の大半を海外で稼いでおり、12月には、10-12月期の営業利益がドル高の影響で6〜7%縮小したようだと明らかにした。また、今年は為替要因が5〜6%の逆風になると予想している。同社はユーロや円など主要通貨についてヘッジしているが、新興国通貨のヘッジはコストが高すぎるという。

 11日に業績を発表するペプシコは11年、ロシアの乳製品・果汁メーカーのウィム・ビル・ダンを約50億ドル(約6000億円)で買収して同国に大きな期待を寄せた。ペプシコの売り上げの約7%はロシア関係だ。ロシアのコモディティー依存経済と通貨ルーブルは、原油価格の急落とウクライナ・クリミア半島の編入後の西側による制裁で大打撃を受けている。

 同社はまた、やはり主要な石油輸出国であるベネズエラで打撃を被ると見られる。同国は14年にリセッションに陥り、今年は7%の経済縮小が予想されている。コンシューマー・エッジ・リサーチは、ペプシコの利益のうちベネズエラから得られるのは4%だとし、同社は同国の公式交換レート、1ドル=6.3ボリバルでは利益を上げられない企業の仲間入りする公算が大きいとしている。日用品のキンバリー・クラークは1月、1バレル=50ボリバルの別レート採用後に4億6200万ドルのベネズエラ関連特損を発表した。

 景気回復、賃金上昇、失業率低下の恩恵を受けている米国の消費者の負担は、石油の値下がりで一段と軽減している。コカ・コーラとペプシコはこれを一助に、国内での飲料製品の値上げができるようになった。シティ・リサーチによると、アルコール飲料を除く飲料製品の消費者物価指数は2年間横ばいが続いたが、14年9〜12月は毎月上昇した。

 この結果、米国での炭酸飲料販売量が健康志向の高まりを受け10年連続で減少するなか、売上高は増加することになった。モルガン・スタンレーがIRIの店舗データを引用したところでは、14年12月28日までの12週間では、炭酸飲料の価格は3.8%上昇し、その売上高は1.2%増加した。ドルベースの売上高は14年上半期にはマイナスだったが、7-9月期に入ってプラスに転じた。

 値上がりによって、米第3位の炭酸飲料メーカー、ドクターペッパー・スナップル・グループは大きく押し上げられた。売り上げのほとんどを米国内で得ている同社は12日に10-12月期業績を発表する。同社株は最近、投資家の人気を集めており、今年これまでに8.8%上昇した。これに対し、ペプシコは2.3%の上昇、コカ・コーラは1.8%の下落だ。

 バークレイズは最近の調査ノートで、「米国での改善傾向と外国通貨や市場の問題にあまり関係していないことから、(ドクターペッパーの)株式は決算発表シーズンを通じて支えられるだろう」との見方を示した。