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2015-02-04 16:50:00

NAMIなど175団体が連邦介入で解決促す書簡提出

米国・西海岸の主要港湾での大規模な労働争議は、米国の食肉・家きん肉産業に週当たり3000万ドル以上のコスト負担を強いており、すでに5000万ドルの輸出機会が失われている。西海岸からは毎月20万トン(7億5000万ドル)の食肉・家きん肉がアジア市場に輸出されている。2014年は年間で84億ドル、週当たりでは1億6000万ドル以上である。この損失額の見積はNAMI(北アメリカ食肉協会)が試算公表したもので、同協会のバリー・カーペンターCEOは、この労働争議は「クライシス(危機)である」と指摘した。

PMA(太平洋海事協会)とILWU(国際港湾倉庫労働者組合)の労使交渉は、西海岸の主要な港湾すべてに影響している。カーペンター氏は「輸出業者は製品を出荷できず、販売機会を逃している。特にチルド製品はシェルフライフが短いために最も影響を受けている。西海岸からは毎月1万トンのチルドビーフと1万6000トンのチルドポークがアジアに輸出されている。これらのチルド製品はコンテナ船に積載できずにドックに滞留している。製品価値は失いつつあり、海外のバイヤーのキャッシュフローにも大きな影響を与えている」とし、事態収拾のためにはオバマ大統領が早く介入すべきであると強調している。

またローリー・ブライン米国食肉輸入評議会ディレクターも、「争議の長期化によって西海岸の港湾への入船が遅れ、牛肉輸入が妨げられている。牛肉の全輸入量の40%が西海岸の港から輸入されるが、入港できても輸出待ちの肉で倉庫がいっぱいなため、製品を貯蔵する場所がない」としており、輸出入ともに事態が深刻化している。西海外の港湾の状況を受けて、フィラデルフィアなど東海岸に進路を変更する動きもあるが、フィラデルフィア港もオセアニアからの大量輸入で稼働が追い付かない状況にあるという。

◎完全閉鎖は1日当り20億ドルの損失◎

前述の事態を受けて、NAMIは食肉加工業者、生産者、アグリビジネス関係者、卸売業者、小売業者、輸入業者、輸出業者、物流・輸送会社など175団体・機関とともに、労使双方に交渉の妥結を促す書簡を出した。この書簡では、連邦の労働争議調停機関のスコット・ベッケンバウフ氏を指名し、ILWUとPMAが互いに受け入れ可能な解決策を提案し、交渉妥結に向けて対処するように要請している。

また書簡では、交渉の長期化は経済的な損失が大きいことも強調。多くのターミナルで交通渋滞に陥り、輸入の遅れと輸出の失速を招いている。米国の輸入の40%以上を占めるドックと港湾が閉鎖されると、米国経済にとって1日当たり20億ドル以上の損失に繋がる可能性があるとして早期の解決を求めている。

 

※2015年年1月26日 CATTLE BUYERS WEEKLY
(なお、この件に関して1月27付ロイター電は労使がコンテナ積載トラックのメンテナンス設備などについて暫定合意し、交渉が進捗しつつあると報じています)

 
トピックス

牛肉加工製品の対日輸出条件を公表―FSIS

 
 

USDA・FSIS(米国農務省食品安全検査局)は1月23日、日本(厚生労働省)と合意したEVプログラムの改正条件をWebサイトで公表した。これにより、ビーフジャーキーやビーフソーセージなどの牛肉加工品の対日輸出が可能となった。

対象製品は「牛肉と牛肉加工製品は、FSIS規則に従って小腸遠位部と扁桃腺を確実に除去した生後30カ月未満の牛に由来するもの」(9CFR310.22(a)(2)及びFSIS指令6100.4)で、2015年1月23日以降に合衆国内でと畜された牛に由来し、米国連邦食肉検査法の下で検査され、FSISマークを受けた(合格した)もの。USDAが衛生証明書を発行する。

と畜場/牛肉処理工場はAMS(農業マーケティング局)の品質評価プログラム(QSA Program GVD1035A)の承認施設で、日本向けのEVプログラムの下で作動するQSA LT-30 プログラム(月齢30カ月未満を確認する品質システム)などが前提条件となる。なお、生鮮/冷凍牛肉と牛臓器(生で無傷な牛肉)のひき肉は添加調味料無しを条件として2013年6月3日付で、湯煎された小腸、胃袋類、血管(大動脈を含む)は2014年4月1日付で日本への輸出が可能になっている。正式な公表条件は下記を参照下さい。
http://www.fsis.usda.gov/wps/portal/fsis/topics/international-affairs/exporting-products/export-library-requirements-by-country/Japan