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2014-08-23 00:07:00

有機栽培の野菜は、農薬を使う従来の野菜に比べ、いくつかの点で栄養的にすぐれているとする研究が2014年7月、イギリスの科学雑誌『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ニュートリション(BJN)』に掲載された。2012年に「有機野菜は従来野菜より栄養的に勝る点はない」とする研究が発表されて大きな話題となったが、実際にはむしろ有機野菜のほうが「おいしくて健康的」であることが証明されたかたちだ。

 論文を発表したのは、アメリカ・ワシントン州立大学のチャールズ・ベンブルック教授とイギリスの研究者ら。同教授らは共同で343本の論文を分析、従来野菜に比べ有機野菜には抗酸化物質が18~69パーセント多く含まれていると結論付けた。大まかに言うと、普段の食生活で有機野菜を食べるようにすれば、毎日2皿分多く抗酸化物質を摂取できることになる。

 有機農法では、従来の農法で広く普及している化学農薬は使われない。さまざまな害から守ってくれる農薬がないことで、有機栽培の野菜は、みずから抗酸化物質と呼ばれる化合物をより多く作り出し、ダメージと戦う。その野菜を人間が食べたとき、抗酸化物質は、今度はわれわれの体をダメージから守ってくれるのだ。

 さらにすばらしいのは、農薬を使わずに有機栽培で育てられた植物は、味も良くなること。BJNに掲載された研究によると、抗酸化物質の濃度が高いと、食物がもつ人間の感覚器を刺激する性質(味、香り、舌ざわりなど)が変化し、またわれわれが食物独自の味わいを感じ取る感覚にも影響を与えるという。