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2014-05-15 10:35:00

シンガポール  2014/05/14(水曜日)
JA全農とひびきの合弁、来年に外食店計画[農水]

全国農業協同組合連合会(JA全農)と飲食店事業を手掛けるひびき(埼玉県川越市)の合弁会社「JーACEひびき」は、日本産の豚肉と鶏肉の輸出拡大を狙い、来年の秋にシンガポールに外食店を出店する計画だ。シンガポールを世界への発信基地と位置づけ、東南アジアで2017年までに5店舗、20年頃までに10店の出店を目指す。

今年の夏~秋ごろをめどに、東京に飲食店を出店する。豚肉と鶏肉を使った外食店になる予定で、JA全農が日本各地の産直原料を供給。ひびきが特許を持つ生産から加工、販売まで一貫した流通履歴管理システムを活用しながら、多店舗展開を狙う。収穫量の多い南九州か東北をテーマにした店舗になりそうだという。

JーACEひびきの社長に就任した、ひびきの日疋好春社長は、海外展開について、来年の秋ごろに、シンガポールに出店する意向を示す。「人の往来が盛んで、多民族が集まる土地柄」であることから、飲食店の進出が盛んなタイ・バンコクよりも、世界への情報発信力はシンガポールのほうが高いと見ているという。

日疋社長は「シンガポールにはマレーシアや米国などから価格の安い豚肉や鶏肉が入っており、競争は激しいが、まずは日本産の豚肉・鶏肉の価値を明確に周知できるような店舗開発が必要。差別化が浸透してから、シンガポールを起点に多店舗展開につなげたい」と話している。

JーACEひびきは、JAグループなどが出資するファンド「JA・6次化ファンド」を活用して設立された。資本金は3億円。JA全農が39.7%、ひびきが10.3%、JA・6次化ファンドが50%を出資している。JA全農とひびきは12日、東京で記者会見し、合弁会社の設立を発表している。

日本から海外への和牛輸出は2013年に約58億円だったのに対して、鶏肉は約13億円、豚肉は約4億4,000万円にとどまっている。環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐる関税協議で、日本は米国から豚肉や牛肉の大幅な関税の引き下げを迫られており、牛肉だけでなく豚肉の輸出に対する関心も高まりつつある。日疋社長は、将来的に豚肉、鶏肉の輸出額を年間1億円へ引き上げたい、としているほか、牛肉の取り扱いも視野に入れているという。

JーACEひびきは2019年までに東京を中心とした首都圏で50店の出店を目指す。郷土色を全面に打ち出した大型店舗が2割、持ち帰りもできる大衆向けの店舗を8割とする計画。

ひびきは先月、シンガポールの郊外に埼玉県の東松山名物であるみそだれをつけた「やきとり」店を出店していた。このほか、ベトナム・ハノイ、インドネシア・ジャカルタ、フィリピン・マニラへのフランチャイズや合弁での出店要請があるという。「日本のご当地やきとりという業態に興味をもってもらえている」(日疋社長)と、シンガポールが持つ情報発信力に、手応えを感じている。