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2014-05-15 10:30:00
米国でコメは主食か、副菜か。こんな疑問を吹き飛ばそうと、カリフォルニア州で「ライスバンズ」と呼ばれる加工食品が年内にも発売される。売り出すのはコメ卸大手で回転寿司のカッパ・クリエイトホールディングスと元気寿司を傘下に持つ神明(神戸市)だ。その戦略を通じて北米の最新コメ事情を追った。

 米カリフォルニア州の州都サクラメント市郊外。地平線が見えないほど広大な草原に神明の工場が姿を現しつつある。生産するのはライスバンズ。炊いたコメを直径8センチ、厚さ1センチの円状にまとめた冷凍加工食品だ。

神明が北米で展開する「ライスバンズ」の調理例

 食卓に出す直前に電子レンジで温めてサーモン、アボカドなど好みの具を載せて食べる。パンの代わりにコメを用いたサンドイッチのようなイメージだ。日本ではモスフードサービスの「モスライスバーガー」が近い。

 このライスバンズは北米のコメ市場を変革する力を秘めている。ヒントはロサンゼルス市内の食品スーパーにあった。北米ではダイエットや健康志向の高まりで、小麦などに含まれるたんぱく質「グルテン」を省いた食品の需要が急拡大。日本の「トクホ(特定保健用食品)」のように、米農務省(USDA)も基準に沿った商品を「オーガニック(自然)食品」として認定しているほどだ。

自然食としてコメが注目されている(ロサンゼルス市内のスーパーで、写真:SHINGO MURAYAMA)

 しかもアジア系移民の増加で、北米のコメ市場は着実な伸びが期待できる。

 認定食品の代表例が、お粥やピラフなどコメの加工食品だ。ロス市内のスーパーでは専用の陳列棚ができるほどの人気ぶりで、具の入っていないターメリックライスは一人前で5ドル(500円強)ほど。ライスバンズも4個入りで4~5ドル程度の小売価格を想定している。

 神明の現地法人、SHINMEI U.S.Aの副社長、川端申也氏は「コメを炊く食習慣がない北米だからこそ、まずコメの食文化を売り込む。ブルーオーシャン(未開拓市場)は大きいですよ」と話す。建設中の工場では1時間に6000個のライスバンズを生産できる。スーパーのほか、学校や病院の給食でも需要を見込む。川端氏は空路、サンプルを持ってメキシコにも出向く。

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