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2013-12-04 10:12:00

今回は「マ-ケケティンク戦略のタイプ」の続きについて考え方を説明しよう。

 

マ-ケティング戦略の確立(10

 

③ 深層需要開発型

1.深層の意味

 「深層」という意味は、深い層とか奥深く隠れたところということであり、よく「マ-ケティング」において、「モチベ-ション・リサ-チ」の方法の一つとして「深層面接法」がある。

 

2.深層面接

 それは面接者の購買行動を引き起した動機を、面接者がまったく意識していない、いわゆる「深層」まで見極めようとする方法であるが、まさに生活者の「深層」に秘められていても、表面上にはまったく現れていない需要動機というものが必ず存在するものなのである。

 

3.生活者の不便

 世の中には生活者が不便に思っていることが非常に多いが、そのような商品やサ-ビスを提供する店舗がまったくない場合は、いかに生活者が欲しがってもないものはないので、しようがないとあきらめている。

 

4.生活者は叫べない

 つまり、生活者がいかに欲しくても、生活者が叫ぶところはまったく存在していなく、不便をかこっているのである。またそれがどのような形のビジネスかもまったく想像すらできない。

 

5.ス-パ-マ-ケットの例

 コンビニエンスストアを例にとると、コンビニエンスストアが登場する前は、ス-パ-マ-ケットの小型化店とか食料品の近代化というふうに見られていた。しかし、これでは今日の発展はあり得なかった。

 なぜなら、ス-パ-マ-ケットは、たしかに品揃えでははるかに多いが、それは主婦を対象にした品揃えであり、多品種の中から自分の好みに合致する商品を選択してもらおうとするものである。

 その上、ス-パ-マ-ケットは、売り場が拡大の一途をたどっており、食品だけでも相当な品種が陳列されていて、商品を探すのに時間がかかるし、レジスタ-で精算するにも行列をしなくてはならない。

 またス-パ-マ-ケットは、どちらかというと、商品化されたものではなく、素材そのものやら、半加工品のものが圧倒的に多い。最近になって、営業時間は、朝10時から夜8時とか9時とかになってきているが、それまでは長い間7時までであった。

 

6.コンビニエンスストアは深層需要開発型

 これに対して、コンビニエンスストアは、このス-パ-マ-ケットにない機能やサービスを提供している。まず商品の品揃えであるが、食品にたとえれば、買ってその場で食べられるものばかりという特徴がある。

 これがコンビニエンスストアの強みであり、商品の種類は標準的に1店当たり2,500品目ではあるが、ほとんど売れ筋が取り揃えられている。

 また、お客様がご来店されても、店舗の面積が狭いので商品を探すのにも時間がかからないし、レジスターでも待たされない。しかも、営業時間は24時間であるので、いつ行っても買い物ができるというのも嬉しいし、心理的にもお客様にとって大変ありがたい。

 例えば、電池一つをとっても、家庭ではそう買い置きしているものではないので、切らしてしまうと電気屋さんは閉まっているので手に入らない。また香典袋についても、不祝儀は突然やってくるので、近所に文具屋さんがなかったり、あっても営業時間が短かったり、休日にぶつかる。このような場合、コンビニエンスストアがあるとホットする。

 また、おにぎりやサンドイッチをたった一つ買う場合でも、気軽に買えるし、しかも飲物もそろっているので、ちょっとお腹を満たしたい時でも気軽に利用できる。また、お弁当もあれば、おそば類もあるし、サラダやお惣菜もあるといったように、食事をしたい時でも利用できる。つまり、いつでも、どんな購買動機でもお客様の「ニーズ」を満たしてくれる。

 例えば、独身の人が会社の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄り、夕食にはお弁当、あるいは白いご飯とお惣菜といったように、自分でアレンジできるし、残業した後の夜食ならおにぎりもあるし、カップラ-メンもあるというだけでなく、翌朝の食事のパンや飲物もあるといったように、独身者の冷蔵庫代わりの機能も有しているし、雑誌やマンガもおいてあるので、今の若者の生活感覚にもピッタリ合致している。

 さらに、最近は高齢化社会になってきて食事を作ることがおっくうな場合でも、コンビニエンスストアで十分間に合うし、家族でレジャ-に行く場合でも、母親は家族より早く起きてお弁当を作らなくても良いし、レジャ-帰りにファミリ-レストランに寄らなくても、コンビニエンスストアで買えば、早く家に帰れるといった利用が増えているのも現実の姿である。

 しかも、コピ-サ-ビス、宅配便とかDPEの取次ぎをはじめ、各種の収納代行業務(電気料金、ガス料金、生命保険料金、放送受信料、電話料金、ファミリ-バイク保険、自賠償保険、雑誌前払い料金など)、はがきや切手といったように、今までこれらのサ-ビス機能が不足していた人にとっては非常に便利である。これからは、決済だけではあるが、銀行の機能ができていくので、ますます便利になっていく。

 最近では、ミ-ルサ-ビスの宅配便もできた。この場合、自宅でも受け取れるし、店でも受け取れる。したがって、家でいつ来るか待たなくても、安心して外出ができるのが嬉しい。しかも、お金の支払をその場でしなくても良いという便利さがある。また、メニューが毎月変わるので飽きることもない。

 このように見てくると、コンビニエンスストアというのは、独身者ばかりでなく、生活機能のベースに役立ちそうな「コンビニエンス」を提供している。しかも、出店している場所は生活者の生活地域であるし、多くの店舗のオ-ナ-は地元の人であるので、地域住民に密着したビジネスといえる。

 そして、これらのコンビニエンスストアという機能は、お客様が内心欲しいと思っていても実現できなかったものを、コンビニエンスストアというまったく新しいビジネスで実現させたものであり、お客様の「ニ-ズ」の実現というより、「ウォンツ」の開発までしたビジネスといえる。

 つまり、このビジネスをお客様の立場から考えていくと、「お客様の不満解消店」であり、さらに「お客様への生活提案店」でもあるので、さらに「深層需要開発型」の典型的な例であろう。