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2013-10-10 18:29:00
    By
  • HEIDI MITCHELL

 職場のデスクで昼食を食べたり、ランチをとらないで済ませたりもする米国人が増えている。昼の休憩をとらないことは健康に悪いのだろうか。テネシー大学チャタヌーガ校で産業組織や職業上の健康心理学を教えるクリス・カニンガム教授の見解を紹介する。

 

頭脳活力の流出

 仕事に集中するための注意力は精神的、社会的、そして体力的な活力を奪い、ストレスや低い生産性につながる、とカニンガム教授は指摘する。同教授は「デスクから離れてランチ休憩をとることは活力流出の原因から自らを切り離すことになる」と指摘、「仕事が終わったときではなく、日中にこれらの活力の一部を再び取り戻す機会になる」と話す。

 

 

 カニンガム教授によると、失われた活力の源を完全に取り戻すのにどれだけの休憩が必要かについて確かなデータはないという。同教授は、これには個人差があり、10分で大丈夫な人もいれば、1時間必要な人もいると指摘する。

 

緑とのふれあい

 椅子に一日中座っていると生産性や気分、肉体的な健全性の妨げになることを示す研究が数多くあり、カニンガム教授は少なくとも日中に1度は何か活動的なものをすべきだと提案する。「少なくとも廊下を歩くことだ」と言う。また、可能であれば、ネット通販や電子メールのチェック、銀行への用足しではなく、何か精神的に高揚できるものに休憩時間のすべてを使うといいと教授は話す。

 カニンガム教授は米心理学者ウィリアム・ジェームズ氏が提唱した受け身の注意力という19世紀の概念を取り上げる。この概念は、一見したところ労力無しで自身が魅了され、引きつけられる何かに集中することで、内なる力を取り戻すことができるというものだ。

 研究によると、活力を補充する最も簡単な方法は自然とのふれあいだ。カニンガム教授は「ただ環境を変えることで何に関心を向けるべきかを決める必要性から開放され、それ自体がある種の息抜きになる」と話す。

 

同僚との交流

 研究によると、同僚と終日、交流を図るとかなり活力が得られる可能性がある。

 

Are there real health benefits in taking a lunch break? Heidi Mitchell has answers on Lunch Break. Photo: Getty Images.

 カニンガム教授は「あなたが営業職やコールセンターで働いているというなら、なぜ人と一緒にランチをとりたがらないか理解できる」と述べた上で、「だが一部の人にとっては、それは終日携わっていることとかなり違うため、(人と一緒のランチから)得るものは大きい」と話す。

 カニンガム教授は同僚と頻繁にランチに出掛けるのを好む。ただ、ランチでは仕事の話はしない。「活力を取り戻す活動だ」と言う。

 ただ、唯一の欠点は「ランチを経費で落とせないこと」だという。

 

食事を楽しむ

 最近の予備的な研究で、カニンガム教授は医学実習生を対象に日々の活動の中で何に最もストレスを感じ、活力が損なわれると感じるか、またどんな活動で活力が戻るか程度を評価してもらった。教授は「就労時間中に食事をとることは、唯一、活力を取り戻すものとして評価された活動だった。そして、それは彼らにとって非常に有意義なものだった」と話す。

 栄養士は長い間、1日を通して少しずつ食事をとることが新陳代謝のレベルを維持するのに役立つと指摘してきた。ほとんどの人は昼食を食べ過ぎた後の倦怠(けんたい)感を経験したことがあるだろう。

 カニンガム教授は「ランチにサンクスギビング(感謝祭)並みの食事をとることは明らかにお勧めできない」と述べ、「繰り返すが、あなたを取り巻く世界に心を奪われる機会を持つことだ。食事を楽しむことはそれに当たる」と話した。