インフォメーション

2013-07-28 09:51:00

今回は「マ-ケティンクマ資源とドメイン」について考え方を説明しよう。

 

マ-ケティング戦略の確立(6)

 

[2]マ-ケティング資源と戦略ドメイン

 「マ-ケティング戦略」を確立するために、「資源」と「戦略ドメイン」について考察することが重要である。

(1)戦略ドメインの必要性

 「マ-ケティング戦略」を確立する場合、企業は「お客様の立場に立つ」ことであるが、この意味するところは、「需要創造」「お客様創造」のための「マ-ケティング・ミックスの創造」を行うことである。

 いま時代の流れは、同質化競争でなく、「競争戦略」の中で「戦略ドメイン(事業領域)」を明確することによって「個性化戦略」を明確にしておかなければならない。つまり、お客様の「ニ-ズ」や「ウォンツ」を的確に把握し実現していくためには、現状を否定し「新しいビジネス・プランの企画開発」を行わなければならない。

 

(2)戦略ドメインの意味

① 戦略ドメイン意味

 「戦略ドメイン(strategic domain)」について、嶋口充輝は「マ-ケティング・パラダイム」の中で、次のように説明している。

 市場競争が激化し、個別企業のもつ経営資源が相対的に希少になってくるとき、企業はその戦略として、投資に対する効率や有効性を高めようとする行動をとる。この経営資源の投下に際して、どこに、どのように自社の対象を絞るかが、戦略ドメイン、つまり戦略的に強みを生かせる生存領域決定の問題である。したがって、今日の企業戦略の中核は、この戦略ドメインの明確化にあると言っても過言でないほど、その重要性が大きくなっている。

 一般に、戦略ドメインは、どのような顧客機能(ニ-ズ)を、どの顧客対象層に、どのような独自の経営資源や技術で対応するのかによって規定されることが多い。しかし、その企業が競合他社に対してもつ市場地位によっても、ドメインが、きわめて特定化されたり、かなり抽象度の高い一般的規定であったりする。たとえば、もし業界最大の経営資源をもつリ-ダ-型の企業であるなら、他社との同質競争でも規模で圧倒できるからドメインは、一般的な事業コンセプトや理念そのものに近くなる。

 また、チャレンジャ-型なら、ニ-ズと経営資源(技術)を絞った対リ-ダ-差別型ドメインとなり、適所追求型のニッチャ-企業ならニ-ズ、経営資源、市場層、すべて特定化した市場細分化型ドメインになると考えられよう。

 戦略ドメインは、結局、市場内で、誰に、何を、どのように資源投入すべきかを決め、組織のソトに対しアイデンティティをつくり、ウチに対し統一のベクトル合わせをする企業努力である。

 さらに、嶋口充輝は「戦略的マ-ケティングの論理」で、次のように説明している。

 戦略ドメインは、企業の外に向けて組織の市場内アイデンティを確立し、内に向けて人びとの価値統一をはかる必要があるため、その生存領域を出来るだけコミュニケ-トしやすい簡潔な言葉で表現しうることが望ましい。もともと、戦略ドメインは、市場分析や経営資源分析と共に、きわめて創造的な策定プロセスをともなうものだが、最終的に確定される戦略ドメインは、次のような表現特性を繁栄している必要があろう。

1.シンボル性

2.単純性

3.両立性

4.競争優位性

5.実行柔軟性

 

② ドメインの定義

 野中郁次郎と吉田健二は、「マ-ケティング理論の実際」で、次のように説明している。

 「経営理念」は、その最も理想的構成からいえば、

1.組織の戦略的使命ないしドメイン(事業領域)

2.その使命を遂行するために必要なタスク(課題)

3.そのタスクを遂行するための方針

4.その方針を遂行する上での行動規範

などを含むであろう。

 その構成要素はハイアラキ-(ピラミッド型の階層制度)を構成し、1から4に移行するにつれて理念がより具体的に操作化されていくことになる。もっとも、このようなけ経営理念の構成はあくまで1つの理想型であり、現実の経営理念は、創業者の事業についての直感や執念、事業運営についての成功要因、あるいは従業員はかくあるべしという行動規範などが混在していたものを、後継者群が過去の大きな意思決定や行動を検討し、今後の組織のあり方に関連させてより論理的に整理していくプロセスのなかから、より明示的に形成されていくだろう。

 さらに、「ドメイン」について、次のように説明している。

(独自の生存領域と使命)

 「戦略」とは、組織の内部資源を、その外部環境の生み出す機会ならびに脅威に適合させることである。そして一般的には、いかなる戦略も

1.ドメインの定義(どのような領域で環境と相互作用をすべきか。より具体的には「わが社の事業は何か。組織としていかなるミッションを達成したいか」について言明)

2.必要な経営資源の蓄積(そのドメインにおける組織目標を達成するために要求される関連資源をいかに蓄積すべきか)

3.蓄積した経営資源の差別的展開(蓄積した資源を競合者に対して優位性を保てるようにいかに展開すべきか)

の3つの構成要素から成り立っている。このうち、企業の全社戦略として第一義的に重要なのは、ドメインの選択または定義の問題である。

 ドメインは、組織独自の事業活動の領域のことであり、ドメインの定義とは、典型的には「わが社の事業とは何か」という組織の社会的存立基盤にかかわる問いに答えることである。ドメインの定義は、基本的には組織の環境適応の戦略ないしグランド・デザインの長期的構図を描くことである。

 戦略の環境の生み出す機会(opportunities)や脅威(threats)に組織が蓄積した経営資源を適合的に展開させることであると考えれば、ドメインの定義は、組織がその経営資源を展開すべき機会集合の関連範囲を特定することである。