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2013-07-25 12:58:00
かつての美術館の飲食店は付帯設備的位置づけで、オーナー側に運営するノウハウが乏しいこともあり、レベルは高くはなかった。この反省から国立新美術館、東急文化村のザ ミュージアムなどブランド力を持つ外食企業をテナントとして誘致する動きが広がった。 
     
 

  そして今、民間の美術館ではさらに進んだ取組みが始まっている。外部の外食企業に委託せず、自社で集客力のある飲食店を運営する独自の取組みだ。代表例がヴァンジ彫刻庭園美術館、ベルナール・ビュフェ美術館、IZU PHOTO MUSEUM、井上靖文学館の4館を持ち、「リストランテ プリマヴェーラ」を基幹店としてレストラン4店を運営する「クレマチスの丘(静岡県長泉町)」だ。

 開館時から厨房を支える黒羽徹氏は、静岡県から食に関わる仕事人として表彰され、東海地域を代表する料理人として料理を文化・芸術として発信してきた。

 
 
     
 

 美術館の来訪者利用だけでなく、レストランを利用するために訪れるファンづくりに力を注ぐ。プリマヴェーラのテラス席の景観を前面に出し、花とアートを好む庭園、美術館の顧客にもアピールした。

 美術館の魅力とは別に、販促用の印刷物からホームページまで大部分を内製化し、レストランが自力で集客できるノウハウを蓄積して経営にあたる。

 地域の誇りとなる店づくりによって店舗ブランドの価値を高めたことで、飲食部門は商圏が拡大し、他県からの来訪者が増加している。