新型コロナウイルス禍の外食産業への影響をどう見ていますか。
すかいらーく創業者の横川竟氏(以下、横川氏):主な外食企業の既存店売上高の前年同期比の推移を見ると、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンなどファストフードは強かった。一方で、居酒屋、ファミリーレストランという「テーブルサービス」がメインの外食店は厳しかった。中でも(焼き肉など)専門店はいいけど総合的なメニューを提供する店がだめ。これは、小売業で百貨店が厳しくなったことと、僕は同じだと思っているんですよ。
小売店は(様々な商品を幅広く取りそろえた)よろず屋から始まり、成長していった。外食はファミレスから産業化が始まり、様々な業態へと分化していった。僕は、ファミレスの役割がもう終わったんだと思っています。ファミレスは次にどこへ変化していくのか。実は、僕はそこに非常に興味があるんです。
「食堂化がファミレスをだめにした」
ファミレスを生み出し、外食の産業化を引っ張ったご自身が「役割を終えた」とおっしゃるのですね。ユニクロやワークマンなど「カテゴリーキラー」の台頭と共に、百貨店の存在感が薄れた。外食もこうした歴史をなぞるということでしょうか。
横川氏:あくまで僕流の見方ですけどね。百貨店で言うと、そごう・西武がセブン&アイ・ホールディングスの手を離れようとしていますね。僕は、東京・渋谷にある西武をずっと観察していましたが、売り場も、売り物も、売り子も変わらなくて。皮肉っぽい言い方になりますが、コンビニの人には百貨店のビジネスはできないのかなと思いました。
ファミレスがだめになったのは、ファストフードのマネをして、安売りを始めてしまったのが原因です。僕は「食堂化」と言っています。価格勝負になると、ファストフードには勝てません。
テーブルレストランで成功した人が、ファストフードで成功した例はないんです。その逆もそう。ファストフードは小売業で、テーブルサービスはレストラン業という違いがあるのではないでしょうか。すかいらーくもファストフードは全て失敗し、牛丼の吉野家もテーブルサービスの会社を買収して、結局売ってしまいましたね。