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2013-07-06 23:58:00
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  • SARAH NASSAUER

 米国人はチキンフィンガーやフライもの、それに夕食を短時間で作れる方法が好きで、この結果、質素な日本の食材の販売が増えている。ブレッドクラム(パンくず)で作る「パン粉」だ。

 

 シェフや食品メーカーなどによると、米国のものに比べて少し大きく、ふわふわしていて、さくさく感のあるパン粉は油で揚げなくてもフライのさくさく感が出る。このためチキンフィンガーなどの料理やマカロニやチーズへのトッピングに人気だ。

 

 

米国で販売されているパン粉

 

 パン粉はこれまでアジア系食品店でしか見つけることができなかった。また一般に、市販のブレッドクラムは消費者の買い物リストの下の方に記載されていた。しかし、今では、主要な食料品店が多くのパン粉ブランドを置くようになった。米国の伝統的な食料品店であるクローガーの広報担当者は、スイート・チポトレ、それにイタリアン・フレーバーのパン粉を今年中に販売する予定だと述べた。同社は過去2年間に4種類のパン粉を店に置くようになった。

 

 ゼネラル・ミルズ傘下のプログレッソは、家庭でチキンフィンガーやミートボールなどを作りたい人のために、味付きの新製品を発売する。アメリカン・ローランド・フードとキッコーマンも最近ホールウィートのパン粉を発売した。

 

 クラフト・フーズ・グループの2012年の調査では、キッチンに常にパン粉を置いている米国人は全体の約17%で、08年時点の5%を大きく上回った。クラフトの広報担当者は、パン粉はキッチンに最も急速に普及した食品の1つ(このほかでは魚のティラピア、玄米)だと話している。

 

 

 パン粉が主流派となったのは、テレビの料理番組やレストランのメニューでしばしば扱われるようになってからだ。フード・ネットワークの番組のプラニングなどをしているフード・ネットワーク・キッチンズの最高経営責任者(CEO)ロブ・ブライファー氏によると、同ネットワークは10年前に番組「レイチェル・レイの30分料理」でパン粉を使用し始めた。

 

 同氏は、パン粉は「真っ白で口を傷つけるほどに非常にとげとげ感がある」とし、これを使ったフライドチキンや魚のフライが一段とさくさくになることが分かれば、キッチンの必需品になると述べた。

 

 プログレッソのブランドマネジャー、オードラ・カーソン氏は「パン粉と呼ばれるこの小さな食材がレーダーに引っ掛かったのは07年のことだった」と述べた。その売上高はブレッドクラムの約3%だった。何十年にもわたってブレッドクラムの袋詰めを販売していた同社は同年にパンコ・クリスピー・ブレッドクラムを売り出した。

 

 アメリカン・ローランド・フードは2年前、そのパン粉パッケージを改良し、主にアジア系食品店で何年も続けてきた平らな袋をやめて、主流の客にアピールするように立たせることのできる袋に替えた。さらにホールウィートとイタリアンのバージョンも新たに加えた。

 

 市場調査会社ミンテルの食品サービスアナリスト、キャシー・ヘイデン氏は、10年以降パン粉という言葉が使われているレストラン・メニューは約22%増えたと述べた。

 

 レストランのシェフがパン粉を好むのは、丸みがあり密度が高い米国スタイルのブレッドクラムに比べてさくさく感が強く、油の吸収も少ないからだ。食品会社シスコの料理開発部門の上級ディレクター、ニール・ドハーティー氏は、パン粉はまた、「小さなエビを大きく見せたい」と思うレストランにも人気だと話した。レストランの加熱ランプの下に置いてもパン粉はさくさく感をなくさない。これに対して伝統的ブレッドクラムは湿ってしまう。

 

 サンディエゴの26歳の母親アンナ・スロープ氏はパン粉をハンバーガーに使う。ウスターソースやタマネギ、スパイスと一緒にパティにパン粉を混ぜる。また、彼女はマカデミアナッツでまぶしたフィッシュ・タコスにもパン粉を使う。これによってブレッドクラムを使った場合よりも全体がうまくまとまるという。ネットで新しいレシピを探すと、全てのサイトがブレッドクラムではなく、パン粉の使用を勧めているという。

 

 米国の業界の言い伝えによると、第2次大戦中、日本軍の兵士は煙を出して敵に見つかることのないように、戦車のバッテリーから取った電気で料理をしているうちに、上等なブレッドクラム用の耳なしパンを作る方法を発見したという。ロサンゼルスのパンメーカー、アッパー・クラスト・エンタープライジズの最高財務責任者(CFO)エド・シェリー氏は「この話はその通りだと思う」と話した。同社は1980年代初めに伝統的パン粉を作った最初の米企業だという。

 

 日本ではパン粉はあらゆる商店で入手が可能だ。家庭のキッチンに常備されており、魚の揚げ物や豚カツ(衣をつけたポークカツレツ)に使用されている。

 

 人気のサイトであるオールレシピ・ドット・コム(Allrecipes.com)の広報担当者によると、同サイトには現在パン粉を使った80のレシピが載っており、この数は11年の46を大きく上回っている。