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2013-06-28 11:59:00

伊勢丹シンガポール・オーチャード店に出店している鮮魚店「平嶋水産」では、日本産の養殖ぶりの販売が浸透しつつある。約4年前まで圧倒的に売れる鮮魚はサーモンだけで、ぶりは1日に2本ほどの販売量だったのが、今では半月で40本を継続的に販売するまでに成長した。サーモンは1週間で400~500キログラム前後を販売するが、それに続くぶりは、1週間に200キログラム前後が売れている。

ぶり(はまち)の養殖が盛んな九州から産地直送で仕入れている。色がすぐに変化するため、鮮度管理が難しく、仕入れリスクが高いぶりは、伊勢丹に出店した8年前には主力商品ではなく切り身として提供するだけだった。しかし、日系百貨店として日本産の食材や食べ方など日本の食文化を広めたいとの伊勢丹シンガポールと連携し、約4年前から定着化を推し進めてきた。

養殖業者と商品改良や産地直送に取り組むとともに、日本で魚市場や魚の小売りの現場に長年携わってきた経験がある同店のスタッフと細やかな管理体制や仕入れルートを構築。約4年前から日本の小売店と変わらない鮮度で店頭販売できるようになったため、切り身だけでなくお造りでも提供できるようになったという。ここ数年間には、日本の生産業者が日本国内だけでなく海外への輸出にも目を向け始め、仲卸を通さず産地直送での取引が進んだことも背景にある。

冬場の旬の時期に、売り場で試食を実施するほか、切り身に照り焼きのたれや西京味噌などを漬ける調理法や、海鮮丼など新しい食べ方も提案。年2回行われる伊勢丹シンガポールの食品売場での九州フェアとの連動も奏功。「南方で捕れる魚は脂が乗っていないが、特に中国系シンガポール人の方々が脂のノリが良い魚を好むようになり、ここ2年で定着した」(平嶋水産の平嶋昭大ディレクター)として、一連のぶり製品は、どれも定番人気商品への成長を遂げている。

平嶋水産は、マレーシアを拠点に水産加工業を展開していた水産加工会社が、伊勢丹マレーシアの開業と同時に出店し、鮮魚・水産加工品の小売業に参入。シンガポールでは、種類豊富な加工寿司、恵方巻きなどを定着させてきた実績がある。

http://news.nna.jp/free/news/20130624spd004A.html