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2021-06-05 21:30:00

KDDI、料理宅配3位のmenuに出資 スマホ決済拡充

【イブニングスクープ】

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蛯原健さん他2名の投稿蛯原健石川温大岩佐和子

 

KDDIは料理宅配で国内3位のmenu(メニュー、東京・新宿)と資本業務提携する。50億円前後を投じて20%を出資する。通信事業の成長が頭打ちとなるなか、注文データを生かしたスマートフォン決済サービスの拡充などにつなげる。料理宅配はウーバーイーツジャパン(東京・港)と出前館が国内2強だが、巣ごもり需要増による市場の拡大が競争を促しはじめた。

6月をめどに提携契約を結ぶ。メニューには現在、スマホゲーム会社や広告会社を傘下にもつレアゾン・ホールディングス(東京・新宿)が全額出資している。第三者割当増資により、KDDIが20%を出資する。メニューはKDDIの持ち分法適用会社となる。

メニューは2018年設立の新興企業。データ分析のヴァリューズ(東京・港)によると、21年4月のアプリ利用者数は97万8千人で、ウーバーイーツ(456万人)と出前館(355万人)に次ぐ3位だ。国内では6万店が加盟しており、ウーバーイーツ(10万店超)と出前館(7万店超)を追い上げる。

KDDIは出資を通じて加盟店増など規模拡大を支えるほか、スマホ決済サービス「auペイ」でメニューの購入代金を支払えるようにする。約3000万人のKDDIの顧客基盤を生かし、顧客データとメニューの利用履歴を統合した嗜好分析にも役立てる。顧客の好みにあった近隣飲食店を提案したり、割引クーポンを配信したりする計画だ。

新型コロナ下で料理宅配の市場は急速に伸びた。市場調査会社のエヌピーディー・ジャパン(東京・港)によると、外食業態による料理宅配市場は20年に6264億円と、19年から50%増加した。これまでは年5%前後で成長していた。

KDDIの主力の既存通信事業は人口減少などで成長が鈍化している。一方で、金融事業や電子商取引事業などの非通信事業は、22年3月期には営業利益で前期比26%増える見通し。30年には既存の通信事業を上回ると予想している。

他の通信会社も決済事業を強化する理由などから料理宅配に目を向けている。ウーバーイーツジャパンの親会社である米ウーバーテクノロジーズにはソフトバンクグループ(SBG)が傘下の投資ファンドを通じて出資しており、出前館はソフトバンクグループの一員であるLINEが3割超を出資する実質子会社だ。