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2012-03-24 17:31:00

1.「食品産業の中期ビジョン」とは?

 政府が昨年の秋にまとめた「食と農林漁業の再生基本方針・行動計画」に沿って、農林水産省が作成する『食品産業の将来ビジョン』のことです。今月中に具体的な数値目標などを決定、公表の予定です。

2.最近の動向

 「農漁業・食品加工・流通・飲食店」など、食品関連産業の2009年度の市場規模は、95兆7,000億円でした。
 今回、農水省がまとめる「中期ビジョン」では、この市場規模を2020年までに120兆円に拡大する目標が盛り込まれる予定です。
 中でも面白いのは、農漁業者が1次産品を生産するだけでなく、2次産業の食品加工や3次産業の流通・サービスにも取り組むという点です。
 1次産業と2次産業、そして3次産業の「1」と「2」と「3」を掛け合わせた「6」にちなんで、「6次産業化」と名付けています。

3.今後の展開

 現時点で想定される施策としては、農家が宅配業者とともに、お弁当やお惣菜の生産・販売を手掛けたり、農産物をネット直販したりするケースがあります。こうした取り組みにより、新たな需要を開拓することで、現在は1兆円に留まる「6次産業」の売り上げを、2015年までに3兆円、2020年までに10兆円規模に拡大する方針です。
 市場規模拡大のためのもう一つの柱は、食品の輸出拡大です。昨年2011年の輸出総額は、福島原発の事故の影響などもあり、前年比8.3%減少の4,513億円に留まりました。この落ち込みを、展示会の開催など、情報発信力の強化により、2020年までに1兆円に増やしたい考えです。
 今回まとめられる「中期ビジョン」で興味深いのは、積極的に民間企業と協力する姿勢です。もともとは、この「中期ビジョン」は、農家の所得を引き上げ、安定的に農業の担い手を確保することを目的としていました。1次産業の需要拡大、そして付加価値を高める今回の試み、タッグを組む企業の選定も大きなポイントになりそうです。

http://www.smam-jp.com/market/report/keyword/1219575_1982.html