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2018-05-03 18:23:00

今回は、「個性化戦略」のなかでも「仕入の個性化」「立地の個性化」と「店舗の個性化」について説明しよう。

 

個性化戦略(21

 

(4)仕入の個性化

 「仕入の個性化」というのは、他社にない仕入方法を開発して、他社に負けない価格で購入して、販売価格に反映させていることである。利は元にありといわれているように、仕入の個性化はお客様に安い価格で提供でき、その結果として企業に利益をもたらすことである。

 「マクドナルド」のように、その原材料の仕入を世界各国から仕入るシステムを開発し、他社より安い価格で安定的に販売価格を維持できるようにしている。

 「ドト-ルコ-ヒ-」は、コ-ヒ-豆を世界各国で、一番品質の高いものを輸入しているし、ハワイにコ-ヒ-園を開設し、他では手に入らないコ-ヒ-豆を使っている。

 「ミスタ-・ド-ナツ」は、仕入機構を設立し、わが国で最高の業者に1品1社制で、同じ品質の原材料を他社よりはるかに安い価格で購入している。

 「吉野家」は、牛肉、米、ワイン、醤油、玉ねぎ、生姜など、仕様書発注と大量購入によって、安全で最高の品質の原材料を世界的なル-トで購入している。

 

(5)立地の個性化

 小売業やフ-ドサ-ビス業は、「立地産業」といわれるくらいに、自社独自の「立地条件」を構築しなければならない。同じ角地であっても、それぞれ特徴があり、長所・短所を明確に把握していかなければならない。

 フ-ドサ-ビスでは、一般的には一等地を狙って出店するが、「立地の個性化」というのは、二等地・三等地に出店してもお客様を引き付けることができるビジネスになっていることが大前提である。

 路地裏には、素敵な店が多いといわれているが、「ビジネス・フォ-マット」に魅力があれば、二等地・三等地に出店することによって、店の土地や建物の物件費を低く抑えることが可能となり、お客様もわざわざ来てくださると同時に、店の利益も容易に獲得できるようになる。

 「モスバ-ガ-」は、全部が全部の店が駅前ではなく、駅から離れた場所とか、裏通りにある。「大戸屋」は、街中では1階の店はなく、地下とか2階に出店していても、お客様はどんどん来てくださる。

 

(6)店舗の個性化

 「店舗の個性化」というのは、あの店にまた行ってみたいというような雰囲気の良い店のことである。同じような「ビジネス・フォ-マット」でも、雰囲気の良い店というのは、お客様にとって安らぎを感じるものである。

 店舗コストを低くするために、当然設備投資は軽減するべきであるが、同じお金をかけても、良い雰囲気を出すことは可能であり、ト-タルでフォ-マットの設定が必要である。この雰囲気づくりは、華美にすることではなく、「アメニティ」を提供できることである。

 「店舗の個性化」でも「モスバ-ガ-」は光っている。一般的には、ほとんど標準化されていて、その典型的な例はコンビニエンスストアで、レイアウトは若干異なっている店はあっても、お客様から見た目は同じイメージに感じられる。

 ところが、「モスバ-ガ-」の店は1店1店異なる店づくりがなされている。なぜなら、商品の原価率が他のチェ-ンよりも高いために、出店コストや店舗コストを低く抑えることを基本として、一貫して目標としているのは「個人でも開店できる店づくり」であるため、他のチェーンより早く投資回収ができるシステムをとっている。そして、「モスバ-ガ-」の店舗は、その立地する地域にフィットする店づくりであるが、「ロゴ」についてはチェ-ンのイメ-ジづくりのために、統一されていることは言うまでもない。

 「モスバ-ガ-」では、2005年(平成17年)4月に、国立店を大改装した。オランダの絵本作家兼グラフィックデザイナ-のディック・ブル-ナ-と提携し、ファストカジュアル「緑モス」で、環境に配慮したデザインである。同店は植物の生えた「緑化看板」を使い、手書き風のロゴを採用している。オ-プンキッチンや車いすの利用者でも使えるバリアフリ-の対応のトイレを設置し、店舗面積約200㎡、客席数61.テラスの8席を除き完全禁煙としている。