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2018-03-18 11:48:00

2018/03/16(金)

日本産和牛、解禁後初の大規模イベント開催

日本畜産物輸出促進協議会は15日、マレーシア・クアラルンプールで日本産和牛の魅力や特徴を伝えるセミナーおよび情報交換会を開催した。イベントには、地場の輸入業者や飲食店関係者ら約100人が出席した。

和牛セミナーでは、食肉の切り分け方の解説やシェフによる調理デモンストレーションも行われた=15日、クアラルンプール(NNA撮影)

和牛セミナーでは、食肉の切り分け方の解説やシェフによる調理デモンストレーションも行われた=15日、クアラルンプール(NNA撮影)

今回のプロモーションは、昨年11月に日本産牛肉の輸入が7年ぶりに解禁されたことを受けてのもの。マレーシアでの大規模な和牛の売り込みイベントは今回が初めてとなる。農林水産省によると、今年1月までのマレーシア向け輸出量は11トン。

マレーシア国内では、豪州産の「和牛」が広く普及しているが、日本畜産物輸出促進協議会の菱沼毅理事は「日本産の和牛は血統、舌触り、香りがまったく異なる」と強調。特色を引き出すための調理デモンストレーションも合わせて実施し、ステーキだけではないしゃぶしゃぶや焼肉などの調理法も提案した。

イベントには、マレーシアを訪問中の宮腰光寛首相補佐官のほか、宮川眞喜雄・駐マレーシア日本大使、アフマドシャベリー・チーク農業・農業関連産業相が参加した。アフマドシャベリー農業・農業関連産業相は、「(価格の高い)日本産の和牛は国内ではニッチな商品ではあるが、一般に広く普及しているインド産の水牛や豪州産和牛に加えて、日本産和牛という選択肢が増えたことをうれしく思う」とあいさつ。宮腰首相補佐官は、「マレーシアのハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)認証は世界的にも信頼が高く、マレーシアで認められたことを契機として、他のイスラム諸国にも売り込んでいきたい」と話した。

宮腰首相補佐官は、農産物の輸出促進担当補佐官として、今回マレーシアとインドを訪問。マレーシアでは、和牛セミナーのほか日系食品メーカーを訪問し、輸出拡大策について意見交換した。

■認証取得による購買行動に変化なし

マレーシアへの日本産和牛輸出に当たっては、ハラル認証を取得することが必須となる。現在、日本国内でマレーシアへの輸出が認められている牛肉輸出施設は2社のみ。関係者によると、イスラム教の教義にのっとった作法で食肉を解体すると、血抜きが不十分になりやすく、肉の色や食感に多少影響するという。

もともとマレーシアでは、ハンドキャリーなどで持ち込まれる密輸品の日本産和牛が広く普及していた。また、高額商品だけに購買層は所得水準の高い華人系が中心だ。日本産和牛を扱う小売り関係者は「ハラル認証を取得したことでイスラム教徒(ムスリム)のマレー系が広く購入するようになった、というような変化は今のところ見られない」と話した。

地元の消費者が求める和牛の調理法はステーキが主で、サーロインなどの高級部位が中心となる。そのため、牛肉を一頭買いしても、脂肪分が少なくステーキに向かないすね肉などの部位が販売しにくいのが課題だという。