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2018-01-28 12:25:00

前回は、「競争戦略」のなかにおいて、「マクドナルドのプライスリ-ダ-」について説明したが、その「マクドナルド」に対して熾烈な「価格競争」で挑戦して敗れた事例を説明しよう。

 

個性化戦略(18

 

(3)熾烈な価格競争

 

① ハンバ-ガ-・スタンドの価格競争

 

 かつてロサンゼルスのハ-バ-ブル-バ-ドとマックファデンの交差点で、「マグドナルド」と「ハンバ-ガ-・スタンド(HAMBURGER STAND)」が相対していた店同士で、熾烈な「価格競争」を行った。

 「ハンバ-ガ-・スタンド」が39セントのレギュラ-・ハンバ-ガ-で新店をオ-プンさせたら、これに対抗して「マクドナルド」も39セントに値下げを断行した。これでは勝ち目がないと思った「ハンバ-ガ-・スタンド」は、なんとさらに25%にあたる10セント引きの29セントにしてしまった。

 これは、3ドルとか5ドルに対しての10セントでなく、39セントに対する10セントであるから驚かされてしまった。「マクドナルド」は、さすがエンパイア-で、この挑戦に乗らず、ずっと39セントを維持し続けた。

 

② バ-ガ-・ウォ-ズの影響

 

この影響によって、同じハ-バ-ブル-バ-ドのハ-バ-タウンの「バ-ガ-・キング」も39セントにしなければならなかった。また近隣の地域の「バ-ガ-・キング」も、週のうち2日間は39セントで販売したほどであった。

 「マクドナルド」は、かつて1979年にレギュラ-・ハンバ-ガ-を45セントから40セントに値下げを行った。この時代はものすごいインフレ時代であったので、このトピックは全米を湧かせたが、ライバル会社が「マクドナルド」より安い価格で提供したのは、恐らくはじめてであった。

 

(4)熾烈な価格競争の末路

 

① 企業戦略の違い

 

ロサンゼルスのマッファデンのハンバガ-・ウォーズは、これまでの例でいうならば、「ハンバ-ガ-・スタンド」は、「マクドナルド」よりはるかに有利に立たなければならないことになる。

 しかし、この両店は交差点で相対する目の前に位置しながら、以前「マクドナルド」の方が優位に立っていた。これは何を物語っているかというと、「競争戦略」の要因は確かに「価格戦略」は最大の要因であるものの。これがすべてではないという証である。

 「マクドナルド」を評するに、やはり最大公約数は「企業戦略」で、全世界を制するには、価格が10セントの開きであっても揺るがないのである。やはり、「マクドナルド」の「店舗運営の基本原則」である「QSCV」の勝利であった。

 

② マクドナルドの本質

 

「マクドナルド」は、商品の品質においても一段とすぐれているし、特にドリンク類については格差が歴然としていた。「接客サ-ビス」の面では、提供時間が断然早い。特にラッシュアワ-になると客数の差は「マクドナルド」に軍配があがってしまう。またサ-ビスの質になると圧倒的に「マクドナルド」の方が高く、価格の差以上の価値があった。

 「クリ-リネス」についてもまったく同じである。「ハンバ-ガ-・スタンド」が出現した時は、当然「クリ-ンリネス」は良かったが、その後のメインテナンスはまったく勝負にならなかった。かくして、「ハンバガ-・スタンド」は、無理がたたり会社全体の業績までも悪化させ、この店は撤退を余儀なくされられたばかりでなく、「ハンバガ-・スタンド」も何時の間にか姿を消してしまった。

 

(5)マクドナルドのシェア

 

「マクドナルド」の偉大さは色々に表現されているが、そのシェアの高さに驚かされる。アメリカのフ-ドサ-ビス産業の売上高(非商業部門を除く)においては、上位50社でなんと52.13%と半数以上を占めているくらいに上位寡占化が進行しているが、その中で「マクドナルド」は驚くなかれ、11.20%以上となり約1/5を占めている。

 またこの数字は、第2位の「KFC」が3.45%、第3位の「バ-ガ-・キング」が3.45%、第4位の「ピザハット」が2.98%、第5位の「ハ-デイズ」が1.93%とねこの4者を合計しても11.81%であり、「マクドナルド」のシェアの高さがうかがわれる。