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2011-11-19 22:05:00
清涼飲料市場における新たなチャンス

2011年、関西三都で新たな取り組みが始まった。10月に大阪マラソン、11月に神戸マラソン、さらに、2012年3月には京都マラソンが開催される。健康志向が高まるなか、2007年から開催された市民参加型の東京マラソンを契機に、ランニングブームが到来している。増加傾向にあるジョギング・ランニング人口(下図参照)に着目すれば、スポーツ・機能性飲料に期待がもてる。
ここ数年伸び悩んでいる清涼飲料市場であるが、このような社会の動きから、市場拡大の兆しをつかみ、消費者の飲用シーンに合った飲料を、タイムリーに顧客に提供していくことで、新たな市場獲得につながる。

最近のトレンドからみた成長のポイント

2008年、2009年の清涼飲料市場は、前年比マイナスで、それまでの成長が縮小に転じた。2010年は夏の猛暑による特需が発生し、2011年は震災後、生活必需品としての清涼飲料の重要性が再認識された。一見すると、市場が回復し、引き続き市場拡大が期待できるようにみえるが、ここ2年は自然現象による影響が大きい。今後、冒頭で述べたようなチャンスを獲得できなければ、人口減少に伴い、市場が縮小していくことは避けられない。そのようななか、最近の成功事例から、今後の成長のポイントを探る。
炭酸飲料は、一時、減少傾向にあったが、2007年「コカ・コーラ ゼロ」の発売後、消費者の健康志向に乗じて、清涼飲料市場を牽引した。過去にも、カロリーを控えた炭酸飲料が発売されたが、当時と比べ、甘味料の品質が向上したことや、メタボリック症候群・生活習慣病への意識の高まりなどにより、とくに、40歳以上の男性に、カロリーゼロや脂肪ゼロの飲料が受け入れられた。さらに、カロリーゼロを訴求するだけではなく、消費者に飲用シーンを提案することで需要を喚起している。たとえば、「コカ・コーラ ゼロフリー」は、カフェインゼロにより、自宅でリラックスして過ごす夜の時間帯の飲用シーン、サントリー「セブンアップクリアドライ」は、カフェインを配合した刺激的な味わいで、仕事中の飲用シーンを訴求している。
健康志向という消費者の意識の変化に合わせ、飲用シーンを想定した商品開発を行い、CMや店頭で消費者に訴求することで、ゼロ系飲料は、炭酸飲料の1ジャンルを形成した。社会の変化が、個人消費を刺激し、そのうえで、飲用メーカーからの商品、飲用シーンの訴求が相まって、市場拡大につながったといえる。

変化の兆し把握と飲用シーン提案による競争力強化

冒頭で期待がもてると述べたスポーツ・機能性飲料の場合、運動時の水分補給・栄養補給だけではなく、起床後、仕事中、夜間、体調不良時など、各社が一日の生活の中での飲用シーンを提案している。たとえば、大塚製薬の「アミノバリュー」は、活動前、活動中のアミノ酸の補給を訴え、商品の特色を打ち出している。コカ・コーラの「アクエリアス 朝・3プラス」は、起床後に体が求める水分補給と栄養補給を同時にもたらすことで、朝の飲用を提案している。
市場の変化を科学的に把握し、成長の兆しを察知したうえで、新たな飲用シーンを提案し、新たな市場を切り開いていくことが、これからの清涼飲料メーカーのマーケティングに求められている。

図 年1回以上の「ジョギング・ランニング」実施率

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